国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications
FRI500G1－306（情報学フロンティア / Frontiers of informatics 500）多文化情報メディア論ⅠＢMulticultural Information Media I B
ポピュラー音楽制作とスタジオ技術の歴史
大嶋 良明Yoshiaki OHSHIMA
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2022 |
| 授業コードClass code | X2037 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 水5/Wed.5 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
This course deals with a cross-disciplinary area of Musicology, Computer Music and History of various musical instruments and studio production gears. Course materials will be taken from "Material Culture and Electronic
Sound (Artefacts: Studies in the History of Science and Technology)" by
Smithsonian Institution Scholarly Press.
Grading policy is as follows:
In-class contribution: 25%
Analysis report on reading assignment: 25%
Homework: 20%
Term paper: 30%
Your must achieve at least 60% in the overall grade to pass for academic credit.
The average study time outside of class per week would be approximately 4 hours.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
この科目では現代社会をメディアとしての特性から分析する。スミソニアン学術協会が中心となって編纂するArtefactsシリーズより音楽文化をテーマとしてとりあげ、アメリカ、イギリスとヨーロッパでの電気楽器、音楽制作との関連を学ぶなかから英米現代文化を理解する。原書購読にとどまらずフィールド録音、映画音楽、放送音源など様々なメディア媒体を活用して、演奏の記録や音楽史上での関連事項についても調べ理解を深める。
到達目標Goal
近現代の英米社会における口承音楽、楽器演奏、実験音楽、ポピュラー音楽の制作や分析に関心を持ち、それらの欧米での研究の最新動向が身につく。またミュージコロジーのさまざまな研究領域について認識できる。ここで取り扱うそれらの楽器や音楽手法に触発された現代の芸術家とその活動についても関連を見いだすことができるようになる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち，「DP1」の達成のために特に重要であり，「DP2」と「DP3」の達成のために重要である
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
講義と輪講により行う。
・複数レポータ制による輪講（英語文献の講読を中心とする）
・各自が学習内容を相互閲覧可能なオンライン記録とすることを目指す。
・視野形成と問題意識の深化を目的として、リスナーとして演奏者、制作者としての音楽体験に関連する話題提供を歓迎する。
・教員と履修者全員によるオープンなディスカッションを目指す。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：イントロダクション
本講義のねらいと取り扱う論考の全体視野を身に着ける。
第2回[対面/face to face]：フィールド録音とブルース音楽
1940年代のミシシッピ州刑務所Parchman Farmでのフィールド録音と記録から口承音楽としての囚人歌からデルタ・ブルースの関連を学ぶ。
第3回[対面/face to face]：欧米教会音楽における電子オルガン
1930年代のアメリカと1960年代ノルウェーでのハモンドオルガンの受容普及と教会文化との軋轢の歴史を学び、教会音楽での電子オルガンの果たした役割とその時代的な関係を検討する。
第4回[対面/face to face]：アメリカ音楽文化におけるハモンドオルガン
Mark Vailの“The Hammond Organ: Beauty in the B”を参考に1950年代以降を中心にポピュラー音楽と教会音楽の視点からアメリカ文化を考察する。
第5回[対面/face to face]：Ethel Smithとオルガン音楽
1940年代から1970年代にかけてのEthel Smithのレコード音源、編曲楽譜、映画、新聞記事などを手掛かりにアメリカのポピュラー音楽文化に足跡を残した演奏家の芸能活動と音楽出版について学ぶ。
第6回[対面/face to face]：Moog シンセサイザー
Trevor Pinchによる“Analog Days: The Invention and Impact of the Moog Synthesizer”ほかの資料を参考に電子楽器としてのMoogの革新性と1970年代のポピュラー音楽に与えた影響を検討し音楽史上における文化的価値について考察する。
第7回[対面/face to face]：ドラムマシンとサンプラー
初期のドラムマシンに始まりMellotronやFairlightなどのサンプラー楽器が1970年代以降の英米のポピュラー音楽に果たした役割とその影響について検討する。
第8回[対面/face to face]：前衛音楽とアメリカ西海岸のカウンターカルチャー
Pauline OliverosらSan Francisco Tape Music Centerのメンバーが現代作家との協力関係の中で活動し1960年代アメリカの対抗文化に及ぼした影響について学ぶ。
第9回[対面/face to face]：イギリス放送文化における電子音楽の隠された次元
Daphne Oramが取り組んだOramics Machine、BBC Radiophonic WorkshopのDelia Derbyshire、EMSのDavid Cockerellらの先駆的業績を取り上げ電子音楽、放送文化、劇伴音楽における英国文化の影響について検討する。
第10回[対面/face to face]：電子楽器と映画音楽
テルミン、VCS3, Moogなどの20世紀の電子楽器が映画音楽やレコード芸術に果たした役割を検討する。
第11回[対面/face to face]：前衛「楽器」としてのフィルターとダブ・ミュージックの誕生
1970年代のシュトックハウゼンとKing Tubbyによるポピュラー音楽のダブというかけ離れたジャンルでの音楽制作の共通項としてフィルター操作の役割と音楽表現上の位置づけを検討する。
第12回[対面/face to face]：CCRMA
学際的研究としての大学での電子音楽研究に焦点を当てて、1970年代に開設され現在も続くスタンフォード大学のCCRMAが及ぼした影響とその功績を、デジタルシンセサイザーの開発研究と電子音楽の制作環境を中心に検討する。また同時期に開設されいずれも今日まで活発な研究活動を展開するフランスのIRCAMとの対比において考察する。
第13回[対面/face to face]：演奏におけるartefacts
音楽演奏におけるartefacts(ここでは付加的人工物)による楽器の構造的・機能的拡大や楽器概念の拡大について検討する。
第14回[対面/face to face]：まとめ
総括するディスカッションをおこない、得られた知識をまとめる。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
毎回の授業終了後、受講生はクラス内での発表および討議について各自の発表内容、発言、担当教員のコメント、クラス内での質疑応答などを学内ネット（後述【情報機器】の項を参照のこと）にアップロードしてオンライン記録として情報共有すること。
予習復習として、毎回の授業で担当教員が指定するテキスト（英語原著論文を含む）を熟読し、気づいた論点や疑問点については学内ネットにアップロードし授業内での発言に備えること。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト（教科書）Textbooks
Frode Weium, Tim Boon (Ed), "Material Culture and Electronic Sound (Artefacts: Studies in the History of Science and Technology)", Smithsonian Institution Scholarly Press (2013), ISBN 978-1-935623-10-6
参考書References
【アメリカ文化におけるポピュラー音楽】大和田俊之、「アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで」、講談社(2011)、ISBN: 978-4062584975
【英米文化における教会音楽】越川弘英、「教会音楽ガイド」、日本基督教団出版局 (2010), ISBN: 978-4818407497
【ポピュラー音楽、教会音楽と電子楽器】
Vail M., ”The Hammond Organ: Beauty in the B,”Backbeat Books (2002), ISBN: 978-0879307059
Pinch T., ”Analog Days: The Invention and Impact of the Moog Synthesizer, ”Harvard University Press (2004), ISBN: 978-0674016170
Vail M., “Vintage Synthesizers,” Backbeat Books (2000), ISBN: 978-0879306038
【フィールド録音、ブルース音楽、黒人文化】Lomax A., Jackson B.,“Parchman Farm: Photographs and Field Recordings 1947-1959,”Dust-to-Digital (2015), ISBN: 978-0981734293
【アメリカの電子音楽研究】Nelson A., “The Sound of Innovation: Stanford and the Computer Music Revolution,” The MIT Press (2015), ISBN: 978-0262328807
【60年代カウンターカルチャーと前衛音楽】
Bernstein, D., “The San Francisco Tape Music Center: 1960s Counterculture and the Avant-Garde,”University of California Press (2008), ISBN: 978-0520256170
【Ethel Smithと教会音楽、ポピュラー音楽】
大嶋良明、「Ethel Smith をめぐって」、『異文化』,第18号、pp231-240, 法政大学国際文化学部 (2017), ISSN: 13493256
Smith E., “Ethel Smith’s Favorite Hymns for Hammond Organ,” Ethel Smith Music Corp.(1948).
Smith E., “Ethel Smith’s Easter Music for the Spinet Model Hammond Organ,” Ethel Smith Music Corp.(1954).
Smith E., “Ethel Smith’s Simplified Transcriptions of Spirituals Registered for Pipe and Hammond Organ,” Ethel Smith Music Corp.(1949).
Ethel Smith Music Corp. (Ed.), “20 Stars, 40 Hits for Hammond Organ (Pre-set and Spinet Models),” Ethel Smith Music Corp. (1957).
Smith E. (Arr.), “The Golden Organ Instructor,” Charles Hansen Educational Sheet Music and Books (c1973)
その他必要に応じて提示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点25%
輪講25%
課題20%
学期末レポート30%
を総合的に評価する。
設定した達成目標を60％以上達成している場合に合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
文献購読とレポーター制による学習負荷については工夫に努める。2018年度は購読文献に現代的視点を取り入れ、インターネット上のメディア情報についても取り扱った。2021年度は担当教員が国内研究を取得したので、2022年度にはこの間の深化を盛り込んだ内容としたい。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
授業においてノートPC、プロジェクタ、インターネット接続環境を使用する。国際文化研究科では、学習成果の記録性を確保し各自の学習内容の相互参照性を高めるため、担当教員と履修者全員が編集するWikiやポートフォリオツール等のCMSを個々の研究科科目において使用する。各自の学習内容のポートフォリオ化に十分に活用されたい。
その他の重要事項Others
ジャンルキーワード：ミュージコロジー、現代音楽、コンピュータ音楽、電子楽器、ポピューラー音楽、アーティファクト（知的人工物）、音響メディア、メディアアート
担当教員の専門分野等
担当教員の実務経験
担当教員はIT企業での研究所勤務において15年間のディジタル信号処理（特にディジタル音響、統計モデルによる音声認識）、マルチメディア処理（音楽音響、電子透かし）分野の経験がある。