国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications
FRI500G1-301(情報学フロンティア / Frontiers of informatics 500)多文化情報空間論ⅠAMulticultural Informatics I A
九鬼周造の哲学研究
森村 修Osamu MORIMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | X2034 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 月5/Mon.5 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
(Course outline)
The aim of this course is to help students acquire Japanese aesthetic consciousness through the phenomenon of "iki" analyzed in "the structure of iki."
(Learning Objectives)
At the end of the course, students are expected to understand the Japanese aesthetic.
(Learning activities outside of classroom)
例 1:Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than four hours for a class.
(Grading Criteria /Policy)
Your overall grade in the class will be decided based on the following oral presentation: 50%、discussant: 30%、in class contribution: 20%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
授業の概要
2022年度は、九鬼周造の哲学をテーマに主要著作を読んでいく。日本の哲学、特に京都学派の中でも特異な位置にある哲学者が九鬼周造(1888-1941)である。八年もの間、フランスやドイツに滞在し、当時の最先端の哲学思想を体験した稀有な存在である。そうした経験もあって、西田幾多郎(1870-1945)や田邊元(1885-1961)などのいわゆる「京都学派」の哲学とは一線を画す存在でもある。その一つの例が、九鬼周造を一躍有名にした『「いき」の構造』(1930)であろう。
そこで、春学期は同書を用いて、日本人や日本の文化における「美意識」を九鬼が哲学的に分析したかを考察する。それゆえ、本講義の目的は、同書によって分析される「いき」という現象を通じて、「日本的美意識」がどのように成立しているかを明らかにすることにある。
到達目標Goal
①九鬼周造の哲学を概括することができる。
②日本的美意識について考えることができる。
③レジュメを書くことができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち,「DP2」の達成のために特に重要であり,「DP1」と「DP3」の達成のために重要である
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
(1)基本的に「演習」形式で行う。
(2)毎回、担当者を決め、レジュメを作成してもらう。
◆レジュメには、①担当箇所の翻訳と解説、②用語説明、③考察、④問題点を記載する。
(3)授業の進め方
①特定質問者を決めて、担当者の発表に対して、質問を行う。
②それ以外の授業参加者と教員を含めて質疑を行い、問題点について議論する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:イントロダクション
・授業の進め方についての説明
・発表の順番等の決定
第2回[対面/face to face]:一 序説
・「いき」とは何か
第3回[対面/face to face]:二 「いき」の内包的構造
・内包性 (intensioanlity)
第4回[対面/face to face]:三 「いき」の外延的構造
・外延性
(extensionality)
第5回[対面/face to face]:四 「いき」の自然的表現
・「いき」の文化
第6回[対面/face to face]:五 「いき」の芸術的表現
・「いき」と芸術・美学
第7回[対面/face to face]:六 結語
・九鬼哲学における『「いき」の構造』の位置づけ
第8回[対面/face to face]:「風流に関する一考察」①
・風流とは何か?
第9回[対面/face to face]:「風流に関する一考察」②
・「もののあわれ」
・「幽玄」
第10回[対面/face to face]:「情緒の系図」①
・文学における「情緒」とは何か
第11回[対面/face to face]:「情緒の系図」②
・歌における「情緒」
第12回[対面/face to face]:「情緒の系図」③
・「情緒」の哲学分析
第13回[対面/face to face]:九鬼哲学における文学の位置①
・九鬼周造の「文芸論」
第14回[対面/face to face]:九鬼哲学における文学の位置②
・文学の形而上学に向けて
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・担当者は、テキストの該当箇所のレジュメを発表前日までに教員に提出すること。
・特定質問者は、テキストの該当箇所に関する質問を3つ以上考え、簡単な質問表を作ってくること(発表当日でよい)
・それ以外の参加者は、該当箇所について質問を1つは考え、当日の議論に参加する準備をすること。
・本授業の準備・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
九鬼周造『「いき」の構造』、岩波文庫、1979年
九鬼周造『「いき」の構造』全注釈・藤田正勝、講談社学術文庫、2003年
『対訳『「いき」の構造』奈良博訳、講談社インターナショナル、2008年
参考書References
安田武・多田道太郎『「いき」の構造』を読む』、ちくま学芸文庫、2015年
◆ その他については、授業中に指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
・個別報告発表(50%)(回数および内容による評価)
・特定質問担当(30%)(質問内容による評価)
・討論参加(20%)(内容による評価)
※ 以上に基づいて、総合的に評価する。
※ なお、無断欠席は認めない。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特になし
その他の重要事項Others
最近の大学院生の中には、基本的なテキスト読解が不十分な者が見受けられる。テキストを「読む」というのは、テキストを「読み解く」のであって「読み込む」のではないことは肝に銘じるべきである。「読み込む」ということは、自分の考えをテキストに投影することであり、それは単なる勝手な解釈に過ぎない。それでは、真にテキストを「読解する」ことにならない。あくまで「虚心坦懐」にテキストに向かい、「眼光紙背を徹する」態度でテキストに向かわなければ、哲学的なテキストを「読む」ことはできない。
また、担当者はレジュメを作成する上で、引用されているテキストはもちろん、それ以外にも用語・概念などについて、徹底的に下調べを行うべきである。担当者以外に対して、教員から授業中に質問することが多々あるので、担当者と同様に準備を怠らないでほしい。
演習とはpractice(=実践)を意味しているのであり、テキストを「読む」という実践は五感を十分に活用することです。授業に参加する皆さんは、哲学を「実践する」態度で臨んでもらいたい。
【受講上の注意】
本授業は、哲学・倫理学、思想の分野に深くコミットしているために、自身の思考の鍛錬を要する。テキストを読むこと、それに基づいて自分の思考を実践すること、これらの作業は哲学研究にとって必須のものと心得てもらいたい。単に、カルチュラル・スタディーズや、ポスト・コロニアリズム研究などとは異なるので、注意を要する。
担当教員の専門分野等
<専門領域> 現代哲学(現象学・構造主義以後のフランス哲学)・現代倫理学(ケアの倫理学・応用倫理学)
<研究テーマ> 生命体・地球を含む「生の倫理学」(例えば、暴力や虐待、テロなどによるトラウマやPTSDに苦しむ人たちを「生・生活・人生・生命(life)」という観点からケアしていくためにしなければならない義務・責任を考察する)
<主要研究業績>
1.【単著】森村修『ケアの形而上学』、大修館書店、2020年
2.【共著】森村修「「社会政治的トラウマ」の倫理」、牧野英二・小野原雅夫・山本英輔・斎藤元紀編『哲学の変換と知の越境』所収、法政大学出版局、2019年【臨床哲学・生の倫理学】
3.【共著】森村修「アマルティア・セン──自由と正義のアイデア」、栩木玲子/法政大学国際文化学部編『〈境界〉を生きる思想家たち』所収、法政大学出版局、2016年【現代倫理学】
4.【共著】森村修「ヨーロッパ」という問題─テロルと放射能時代における哲学」、熊田泰章編『国際文化研究への道: 共生と連帯を求めて』所収、彩流社、2013 年【現代哲学】
5.【論文】森村修「西田幾多郎の「グラマトロジー」——〈書〉の美学=感性学(エステティクス)の可能性」、東北大学哲学研究室編『思索』、2021年(近刊)【日本哲学】
6.【論文】森村修「西田幾多郎の〈グラマトロジー〉序説——〈日本語で哲学すること〉の〈意味〉について」、法政大学国際文化学部編『異文化21』、2020年【日本哲学】
7.【論文】森村修「市川白弦の「空-無政府-共同体論(Śūnya-Anarchist-Communism)」――小笠原秀実の仏教アナキズムと西谷啓治の自衛論批判をめぐって」、法政大学国際文化学部編『異文化20』、2019年【日本哲学】
8. 【論文】森村修「技術は「ヒューマニズムを超える」か? (1)—ハイパー・ニヒリズム時代におけるハイデガーの「技術哲学」(1)」、法政大学国際文化学部編『異文化19』論文編、2018年【現代ドイツ哲学・応用倫理学】
9. 【論文】森村修「パウル・ツェランという問題(1)—ガダマーとデリダの「途切れない対話」(1)」、法政大学国際文化学部編『異文化』論文編、2017年【現代ドイツ・フランス哲学】
10. 【論文】森村修「思想の翻訳と文字の問題──比較思想から間文化性の比較思考へ」、比較思想学会編『比較思想研究』第42号、2016年【日本哲学・Intercultural Philosophy】
11. 【論文】森村修「センの「道徳哲学」(1) ──パトナム「事実/価値二分法の崩壊」論を手がかりに(1)」、法政大学国際文化学部編『異文化17』論文篇、2016年【現代倫理学】
12. 【論文】森村修「「性的差異」のケア倫理学──フェミニズム倫理学と和辻倫理学における「肉体」の問題」、『比較思想研究』第41号、2015年【日本哲学・ケアの倫理学】
13. 【論文】森村修「喪と/あるいはメランコリー(1) ──デリダの〈精神分析の哲学〉(1)」、法政大学国際文化学部編『異文化16』論文篇、2015年【現代哲学】