国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications
HIS500G1-211(史学 / History 500)多民族共生論ⅡBMultiethnic Coexistence II B
朝鮮・在日朝鮮人と日本社会
髙栁 俊男Toshio TAKAYANAGI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | X2030 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 木2/Thu.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
This class aims to study about Japanese multicultural coexistence, by reading of my own papers on Japan-Korea relations or Korean minority in Japan.
This year, we will focus on films about Korea, the Korean schools established by the Tokyo Metropolitan Government, and immigration to North Korea.
Final grade will be calculated according to the following process. In-class presentation 35%, in-class contribution 30%, and term-end report 35%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
在日朝鮮人をめぐる日本の多民族共生について考察する。
①在日朝鮮人(総称)が経てきた歴史を明らかにする
②政治史や運動史のみならず、生活史・文化史・精神史の解明に重点を置く
③日本における朝鮮民族との民族間関係や相互認識の諸相を考察する
④在日朝鮮人の事例をもとに、日本国内の他の民族間関係について考える際の視点を養う
⑤一次資料を含めた文献の調査や読解に関してレベルアップを図る
到達目標Goal
上記「授業の概要と目的」にある各項目について、大学院修士課程の学生として求められるレベルに達することを目標とする。
具体的には、在日朝鮮人の経てきた歴史・文化やその日本社会との関わりを、自らの知性と感性により時間的・空間的広がりの中で理解し、受け売りや図式的把握ではなく、自らの言葉で具体的・実証的に語れるようになることを目指す。
また、「研究」という自らの行為を、より客観的・多面的に眺める契機を得るようにする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち,「DP2」と「DP3」の達成のために特に重要であり,「DP1」と「DP4」の達成のために重要である
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
秋学期のこの授業では、日本社会に大きな比重を占める「異民族集団」である在日朝鮮人を素材に、日本における異文化摩擦や多民族共生の姿を具体的に考察している。
2012年度から8年間、戦後、各種の民族団体・政党・社会運動団体ないし日本政府関係機関などが出した朝鮮関係のパンフレット・小冊子を読み解きながら、戦後の朝鮮・在日朝鮮人をめぐる論調や運動の系譜を追う作業を行った。取り上げたテーマは、戦後初期の在日朝鮮人運動、都立時代も含めた民族学校、朝鮮戦争、北朝鮮帰国事業、祖国自由往来運動、朝鮮高校生への襲撃事件、日韓条約、外国人学校法案、出入国管理法案、金嬉老事件、日立就職差別事件と民闘連運動、韓国民主化運動、在日韓国人政治犯、丸正事件、在日朝鮮人理解のための副読本作成、などである。
定年前最後のサバティカルを経た昨年度からは、私自身が大学生以来、このテーマで執筆してきた各種の文章を取り上げている。研究者としての自己の歩みを俎上に載せるのは、必ずしも受講者に範を垂れる意味ではなく、その試行錯誤や紆余曲折の歩みを示すことで、同じく「研究」に携わる立場である受講生に、何らかの参考や示唆となることを期待するからである。
今年度は、映像関係、都立朝鮮人学校、北朝鮮帰国事業を中心に扱う。取り上げるそれぞれの著作は、その時代の社会潮流や研究動向の産物であり、また当然のこととしてその後のことは書いていないので、現在からみたら不十分な箇所もある。受講者は、テキスト内容を正確に読み解くとともに、それらを「当時」と「現在」という2つの文脈の中に置いて、客観的・学術的に分析していく。すなわち、なぜこのような主張がなされたか、「当時」の背景を明らかにすると同時に、「現在」の目から見た認識の問題点や、当該課題のその後の推移、さらには研究史の進展などもフォローしつつ報告するよう努めること。
授業の進め方としては、テキストをレポーターの報告と全員の討論で読んでいく。受講者が少なければレポーター無しの回も設けたい。関連映像の視聴も、適宜織りまぜる。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[未定/undecided]:導入
受講者の自己紹介、授業計画の解説、当面のテキスト配付、など。
第2回[未定/undecided]:朝鮮人の登場する映画①
朝鮮人の登場する日本映画作品の流れを追う。(その1)
第3回[未定/undecided]:朝鮮人の登場する映画②
朝鮮人の登場する日本映画作品の流れを追う。(その2)
第4回[未定/undecided]:都立朝鮮人学校の映画
『朝鮮の子』に関する論考を考察する。
第5回[未定/undecided]:枝川町朝鮮人簡易住宅建設
関連して、枝川町の朝鮮人簡易住宅建設に関する論文を読む。
第6回[未定/undecided]:都立朝鮮人学校資料集
関連して、都立朝鮮人学校資料集の解題を読む。
第7回[未定/undecided]:北朝鮮帰国事業関係の映画①
帰国事業関係の映画について、その概略をたどる。
第8回[未定/undecided]:北朝鮮帰国事業関係の映画②
代表作『海を渡る友情』に関する論考を俎上に載せる。(その1)
第9回[未定/undecided]:北朝鮮帰国事業関係の映画③
代表作『海を渡る友情』に関する論考を俎上に載せる。(その2)
第10回[未定/undecided]:北朝鮮帰国事業関係の映画④
『海女のリャンさん』『ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。』を扱う。
第11回[未定/undecided]:北朝鮮帰国事業
金英達氏とつくった帰国事業の資料集について回顧する。
第12回[未定/undecided]:教育の中の北朝鮮帰国事業
北朝鮮帰国事業をどう教えるかについて考える。
第13回[未定/undecided]:尹学準先生
北朝鮮帰国事業にも関わりのあった尹学準先生の経てきた道をたどる。
第14回[未定/undecided]:まとめ
これまでの全13回の授業をまとめる。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
テキストに登場する文献や授業中に指示する関連文献の講読、関連映像の視聴、関連箇所への訪問など。
本授業の準備学習・復習時間は、各2 時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
その都度、紙媒体もしくはpdfで配付する。
参考書References
『韓国朝鮮を知る事典』(平凡社)、『在日コリアン辞典』(明石書店)などの事典類
成績評価の方法と基準Grading criteria
レポーター時の報告35%、普段の授業への貢献度30%、および学期末の授業総括報告書35%を目安に、総合的に判断する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
私の授業では教員を含む参加者全員が、最後に自分なりの授業総括報告書を作成し共有化しており、それを次年度の授業改善に活かすよう努めている。
近年、留学生の受講も増えてきたが、一般学生も留学生も、ともに意義を感じるような授業を目指したい。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
朝鮮近現代史、とくに在日朝鮮人(広義)の歴史や文化の研究、日朝関係史
<研究テーマ>
在日朝鮮人の歴史や文化を、従来の「差別問題」という視角からでは抜け落ちてしまう諸側面も含めて、多面的に描き出し、新しい時代に合わせた等身大の在日像と、日本社会のあるべき姿を考察すること。そのために文献収集や聞き書きを行ない、これまで光が当てられなかったような個人の事例を数多く集めること。
<主要研究業績>
・「渡日初期の尹学準―密航・法政大学・帰国事業」(法政大学国際文化学部『異文化』第5 号論文編、2004 年)
・「短歌と在日朝鮮人―韓武夫を手がかりとして」(日本社会文学会『社会文学』第26 号、2007 年)
・「飯田・下伊那研修を意義あるものとするために―国際系学部の事前学習授
業の実際から」(「学輪IIDA」機関誌『学輪』第2号、2016年)
*詳細は、本学の「学術研究データベース」をご参照