国際文化学部Faculty of Intercultural Communication

【概要】教養としての政治学をまなびます。春セメスターでは入門者向けの教科書をもちい、政治学の概論をひととおり勉強します。メディアと政治のかかわりから始まり、そもそも投票に行くべきなのか、また、政治家とはどんな人たちなのか、政治制度としての民主主義の基本的な特徴を検討したのち、一般の市民生活にまだしも近い地方自治の世界や、アジア各国を含めた政治体制の国際比較、グローバル化された経済と政治の相互作用、国際テロリズムといったテーマを検討します。秋セメスターでは、特定の分野を掘り下げた研究（各論）として、「人間にとって貧困とは何か」という課題に取り組みます。見田宗介『まなざしの地獄』を参考図書としつつ、よそ者としての貧者や、貧困と家族、子どもにとっての貧困、グローバリゼーションと貧困、見えない貧困、といったテーマを見つめなおします。
【意義①：あなた個人に直接役立つ】文系色が濃いが情報学にも取り組む学際的な学部の出身者として、国内外の社会問題にたいする知識や考察を掘り下げることで専門性のある職業に就き、一定の安定した待遇を得たい方にとっては役立つ学びとなります。
【意義②：あなた個人にとっては間接的だが、世代や社会全体には直接役立つ】民主主義のもと、主権者である国民に、政治にかんする洞察力がないと、衆愚政治におちいる危険性があります。教養としての政治学をまなぶ意義は、若い世代の政治にかんする洞察力を高め、民主主義の質の向上を図る点にあります。

This seminar introduces students to basic conceptual instruments of political research. The students are expected to develop their media literacy necessary to critically evaluate political discourses.

●１．社会科学分野における読み書き能力（リテラシー）の向上：日常言語としての日本語や英語から、大学生の専門的な学びに必要な学習言語としての日本語や英語への移行を果たす。具体的には、政治学の教科書や、メディアの言説に触れ、漢字の読みや意味がわからない場合、わからないまま放置せずに自分から調べることを習慣化する。また英語については、ネット上で提供されている自動翻訳で得られた日本語をそのまま読み上げ、自分でも内容がよくわからないのに発表するのではなく、英語の構文や社会的背景を考えられる人になる。
●２．多文化的な状況にたいする理解力の向上：多文化的な状況を理解するのに英語以外の外国語も必要であることを理解する。具体的には、英語以外の外国語を使える人（諸外国語圏ＳＡ経験者・参加予定者など）にたいして「『こんにちは』って中国語orスペイン語orドイツ語orフランス語or朝鮮語orロシア語で言ってみて～」などと発言する行為は、英語圏または日本語圏における単一言語使用 monolingualism からみた内／外区分に無意識に影響されているのではないかと、自分に問いかけられる人になる。
●３．しくみとしての社会のイメージを自分のなかに持つ：地球全体にせよ、ひとつの町や村にせよ、さまざまな現象をうみだす社会はしくみとして複雑です。まずは、複雑なしくみを前に理解するのをあきらめたり、乱暴なやり方で単純化してしまうといった態度はとらないよう心がける。その上で、複雑な社会に関するイメージを自分のなかで少しずつ作りあげるよう普段から努力し、そのためにゼミ内外での学びやコミュニケーションを活用できる人になる。

By the end of the course, students are expected to :
- Improving her or his literacy in the field of social sciences.
- Enhancing her or his multicultural competence.
- Elaborating her or his own image of society as a complex system.

国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」「DP4」に関連。

日本語 / Japanese

この授業の進め方と方法はつぎのとおりです：

１．教科書の輪読（授業内の発表＋議論）
２．新聞コーナー（学生による話題提供、報道のされ方の分析、討論）

なお、これらの課題にかんするフィードバックは基本的に授業時間内で行いますが、学習支援システムやGoogle ClassroomなどLMS上で行う場合もあります。

この科目は「対面授業」の科目ですが、感染状況の先行きが見通せないため、隔週で対面と未定を交互に置いてあります。変更が生じた場合には、学習支援システムで変更周知を行います。コロナ対策については、「【学生の意見等からの気づき】Changes following student comments」もあわせてご覧ください。

あり / Yes

なし / No

授業形態/methods of teaching：対面/face to face

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

1[対面/face to face]：初顔合わせ
将来の希望とゼミでの学びにかんするトーク

教科書の入手方法の確認、輪読や新聞コーナーの担当日程決定

2[未定/undecided]：政治を知ろう　～メディアと政治～

教科書①13-33頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

3[対面/face to face]：選挙に行こう　～18歳選挙権～

教科書①34-61頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

4[未定/undecided]：政治家の生活を覗いてみよう　～政治家と有権者、政治家と政党～

教科書①62-88頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

5[対面/face to face]：議会を知ろう　～なぜ「会派」が必要なのか～

教科書①91-115頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

6[未定/undecided]：政策を考えてみよう　～政策過程・執政制度・政官関係～

教科書①116-142頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

7[対面/face to face]：デモクラシーを考えてみよう　～「みんな」で決める複数のやり方～

教科書①143-169頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

8[未定/undecided]：社会の現場を知ろう　～市民社会の意義～

教科書①173-203頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

9[対面/face to face]：市役所と地方議会に行ってみよう　～地方自治の理念と現実～

教科書①204-232頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

10[未定/undecided]：支え合う仕組みを考えよう　～福祉国家とその変容～

教科書①233-260頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

11[対面/face to face]：国家の仕組みと運営を考えてみよう　～政治体制とガバナンス～

教科書①263-291頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

12[未定/undecided]：海外と関わろう　～グローバル化する政治と経済の相互作用～

教科書①292-323頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

13[未定/undecided]：海外に出よう　～安全保障の問題と国際協力～

教科書①324-352頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

14[対面/face to face]：まとめ（予備日）

春セメスターの取り組みのふりかえりと、秋セメスター教科書の入手方法や学期中の分担の確認

1[対面/face to face]：孤立と零落　～貧困体験の中核～

教科書②9-21頁に関する発表と議論

2[未定/undecided]：貧困の社会学・序説　～見田宗介「まなざしの地獄」を読む～

教科書②22-34頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

3[対面/face to face]：貧しい暮らし

教科書②35-48頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

4[未定/undecided]：よそ者としての貧者　～まなざしと不安～

教科書②49-63頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

5[対面/face to face]：排除の地理学　～貧者の生活世界～

教科書②64-80頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

6[未定/undecided]：貧困と家族　～「恥」・近代家族・福祉国家～

教科書②81-95頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

7[対面/face to face]：責められる家族　～貧困の犯罪化をめぐって～

教科書②96-111頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

8[未定/undecided]：子どもにとって貧困とは何か　

教科書②112-127頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

9[対面/face to face]：貧困と友人関係　～「伴を慕う心」の行方～

教科書②128-142頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

10[未定/undecided]：グローバリゼーションと貧困（１）　～階級・階層構造と社会変動～

教科書②157-170頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

11[対面/face to face]：グローバリゼーションと貧困（２）　～誰が排除されているのか～

教科書②171-183頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

12[未定/undecided]：グローバリゼーションと貧困（３）　～空間構造の変動～

教科書②184-198頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

13[未定/undecided]：見える貧困、見えない貧困

教科書②199-212頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

14[対面/face to face]：社会を否定する人々、社会を求める人々

教科書②213-230頁に関する学生の発表と議論
新聞コーナー

１．次回で扱われる教科書の内容を読む
２．海外メディアや国内の地方紙を毎日読む習慣をつける。この演習と関係ありそうな記事をチェックする。
３．大学設置基準によると、講義や演習で２単位を得るのに必要な予習・復習の時間は１回につき４時間以上とされているそうです。この基準にしたがうなら、あなたがこの演習の予習や復習にかける時間は、１日あたり35分程度以上となります。

Students will be expected to have completed the required assignments before class meeting. According to the Standards for the Establishment of Universities in Japan, students are required to prepare and review at least four hours per session to earn two credits.

【春】教科書①永井史男・水島治郎・品田裕『政治学入門』ミネルヴァ書房、2019年。
【秋】教科書②西澤晃彦『人間にとって貧困とは何か』放送大学教材、2019年。

・法政大学オンラインデータベースに入っているJapanKnowledgeなどの事典・辞典類をもちい、分からない用語や単語を調べること
・見田宗介『まなざしの地獄』河出書房新社、2008年。

成績評価の方法と基準はつぎのとおりです。

演習への出席が成績評価項目としてかかげられていませんが、対面授業とリアルタイム・オンライン授業の双方において、水４～５限の時間帯に、演習に参加することが、単位修得の前提条件となります。

1. 学生による発表（新聞コーナー１回３点、教科書発表１回10点満点）35%
2. 授業参加の積極性（担当範囲外での発言やHoppii掲示板への書き込みなど）20%
3. その他（授業運営への協力など）10%
4. 期末提出物（タームペーパーなど）35%

Several components contribute to a student's final grade. Not the least of these is attendance. Your final grade is determined as follows:

1. Student presentations in the classroom (Brief weekly reports by each student on international or local news in Japan; In-class oral presentations on the textbook with preparation of a written summary) - 35%
2. Discussion / Active contribution (Participating in class discussions and Posting on the Learning Management System Message Board) - 20%
3. Other kinds of contribution (Cooperation in class management) - 10%
4. Term paper - 35%

【このゼミを取るか迷っている人へ】「必要な学びなのかもしれないけれど、つまらなさそう」が多くの人にとって政治学の入り口です。しかし、ゼミで勉強して他の人の話を聞いたり、知識がついてくるのにしたがい「必要だし興味も持てる」に少しずつ変わっていきます。
【コロナ対策】このシラバスを執筆している2022年1月19日現在、日本政府はまん延防止等重点措置を首都圏を含む13都県に適用しようとしています。コロナ禍の初年度であった2020年度は、Zoomなど新しい機器の使い方を苦労して身に付けつつ、その利点のおかげでゼミの活動を続けることができました。コロナ禍２年目となった2021年度は、みな使い方には慣れましたが、遠隔だけではメンバー間の横のつながりを作るには十分でないことも実感しました。就職活動をする人や、各国の感染状況が落ち着けば、さまざま形で海外留学をする人も出てくることが予想されます。感染状況が落ち着いている限りで対面を原則としつつ、感染が急拡大している局面や、授業当日に出席できない人への配慮として、Zoomの録画なども活用し、ゼミの活動に継続的に参加してもらえる方策を準備したいと考えています。

報告原稿やさまざまな連絡、学期末の成果物の提出など、基本的にすべてウェブ上（学習支援システムやGoogle Classroom）で行なっています。Zoomを使った画面共有を利用して、学生の皆さんに報告をお願いする場合があります。端末やインターネット接続（有線が望ましい）など、自宅の情報環境を整備してください。また、自宅など学外からも法政大学図書館のオンラインデータベースが利用できるよう、VPN接続の使い方をマスターしてください。PressReaderの利用を新聞コーナーにかんし推奨しています。　

進路について、個別の面接を実施しています。公務員試験、教職課程、大学院進学などを志望されている方は、早めにご相談を。