国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
ART300GA(芸術学 / Art studies 300)パフォーマンスの美学Aesthetics of Performance
〈からだ〉の美学—写される〈からだ〉・加工される〈自己〉、そして構築されるセクシュアリティ
森村 修Osamu MORIMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | C0850 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | パフォーマンス・スタディーズ |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 水3/Wed.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | × |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | 人数制限あり・選抜試験 |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
【Course outline】
The aim of this course is to help students acquire to pursue the "beauty of performance" expressed in the cultural, political and social context from the standpoint of aesthetics. In 2022, we will try to approach from the viewpoint of Body Studies how Body has been expressed while paying attention to the beauty of the body.
【Learning Objectives】
At the end of the course, students are expected to learn about the basics of "performance studies.
【Learning activities outside of classroom】
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than four hours for a class.
【Grading Criteria /Policy)】
Final grade will be calculated according to the following process Mid-term report (30%), term-end examination (30%), and in-class contribution (40%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
本授業の目的は、「美学=感性学(aesthetics)」の立場から、文化的・政治的・社会的な文脈で身体を用いて表現された「パフォーマンス(performance)」の「美しさ」を追求することです。
2022年度では、私たちの〈からだの美しさ〉に着目しながら、〈からだ〉がどのように表現されてきたかを「ボディ・スタディーズ(Body Studies)」の観点からアプローチすることを試みます。その際に、特に「セクシュアリティとパフォーマンス」というテーマで、特定のアーティストが「パフォーマンス・アート」の手法を用いて、積極的に自らの性/アイデンティティーを問題にしていることを考察します。
到達目標Goal
(1)アートについて、既成の価値観・マスメディアの流す価値観に対する、批判的視点を身につけることができる。
(2)自らの価値観を問い直し、新たに刷新するための表現手段を具体的に説明することができる。
(3)高校までの芸術教育や制度的なアート認識を新たに問い直し、自らの視点で「パフォーマンス」や、パフォーマンスを用いたアートについての鑑賞方法や参加方法について、説明できる。
(4)アートの領域の内部で生じた、20世紀以降のさまざまな変遷を辿ることで、「前衛芸術」のあり方について、現在のパフォーマンス・アートのあり方を予測することができる
(5)「パフォーマンス・スタディーズ」の基本について学ぶことができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
【授業の方法】
①基本的には、「講義形式」で行うが、受講生との積極的な対話や討議を行います。
②パフォーマンス・スタディーズに関わる代表的な映像作品(実験映像・映画・演劇の記録など)を上映する。そこで、諸作品について、さまざまな解釈をしながら、授業参加者と討議していきます。
③必要に応じて、課外活動としてフィールド・ワークも考えています(自由参加)。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:イントロダクション
・講義の目的と概要についての解説を行う。
2[対面/face to face]:Body Studiesの基礎①
・Body StudiesとPerformanceとの関係について概観する
3[対面/face to face]:Body Studiesの基礎②
・被写体としての〈からだ〉について考察する。
4[対面/face to face]:Body Studiesの応用①
──フェミニズムとパフォーマンス①
・表現される〈からだ〉をセクシュアリティから考える
5[対面/face to face]:Body Studiesの応用②
──フェミニズムとパフォーマンス②
・〈からだ〉を痛めつけることから見えてくるもの
6[対面/face to face]:Body Studiesの現在①
・〈からだ〉に映し出されるアイデンティティーを考える
7[対面/face to face]:Body Studiesの現在②
・〈からだ〉に刻まれた記憶と痛み
8[対面/face to face]:現代写真論からみた〈からだ〉の美しさ①
・〈自分〉を映し出すこと——セルフ・ポートレイト
9[対面/face to face]:現代写真論からみた〈からだ〉の美しさ②
・〈日常〉を切り取ること——スナップ写真の〈顔〉
10[対面/face to face]:現代写真論からみた〈からだ〉の美しさ③
・〈はだか〉ってキレイだけどヤバイよね?①——アートか猥褻か
11[対面/face to face]:現代写真論からみた〈からだ〉の美しさ④
・〈はだか〉ってキレイだけどヤバイよね?②——アートと検閲
12[対面/face to face]:浮世絵・春画からみた〈からだ〉①
・春画はアートかポルノグラフィか?
13[対面/face to face]:浮世絵・春画からみた〈からだ〉②
・春画における身体表現
14[対面/face to face]:まとめ
・これからのBody StudiesとAesthetics of performance
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
パフォーマンス・スタディーズは、1980年代に登場した新しい研究です。日常性の中に潜む様々なパフォーマンス(言語的な物語に始まり、演劇やダンスなどの身体表現や、祭祀や儀礼などの文化的儀式など)に注意を向け、概念化し、言語表現にもたらすことで、パフォーマンス・スタディーズそのものの裾野の広がりを注視してもらいたいです。また、〈からだ〉に特化したBody Studiesは、Performance Studiesのひとつの方向性を示しています。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
特に、特定のテキストは用いません。
授業内で配布するテキストの抜粋などを用いて、事前に読んできてもらうことを考えています。
参考書References
(1) Margo DeMello, Body Studies: An Introduction, Routledge, 2014.(マーゴ・デメッロ『ボディ・スタディーズ——性、人種、エイジング、健康/病の身体学への招待』、晃洋書房、2017年)
(2) 早川聞多『春画』、角川ソフィア文庫、2019年
(3) タイモン・スクリーチ『春画——片手で読む江戸の絵』、講談社学術文庫、2010年
成績評価の方法と基準Grading criteria
【成績評価】
①授業内での積極的な議論参加、発言・質問など(25%)
②期末リポート(75%)
【評価基準】
①作品を読んだり、見たりする際に、積極的に自らの意見を表明すること。表現することが、本講義にとって重要な評価基準になっている。
②期末リポートは、あくまで「批評(critique)」が求められている。単なる感想・意見では評価できない。「批評文」には、一定の「規準(criterion)」が前提されている必要がある。
(1)自分自身の「評価規準」が明確であること。
(2)自らの「評価規準」に照らして、自分の意見・主張が明確に述べられていること
(3)自分の意見・主張を読み手に説得的に表現できていること
(4)自分の表現が自分勝手な思い込みによる羅列ではなく、きちんと論理的に組立てられて述べられていることこの成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし
その他の重要事項Others
・本講義がめざしているのは、パフォーマンス・スタディーズやBody studiesを学ぶことによって、受講生自らが自分の美意識や価値観を問い直すことである。それゆえ、パフォーマンスという概念の検討を通じて、参加者全員に、既成の価値観やマスメディアが大量に流す情報に対する批判的な姿勢が求められている。それゆえ、本講義では、自らの価値観を積極的に打ち破る勇気をもつ学生の参加を望む。
・インターネットやマスメディアに毒された価値観をいったん破壊して、新しい美意識や価値観を構築するきっかけを掴むことが本講義の真の目的である。
・本科目は「表象文化」の科目群に位置づけられているが、本科目が重視する「現前性(presentation)」は「表象(representation)」概念の批判を含んでいることに注意すべきだろう。「現前性」にとって重要なのは、「「現場性」・「直接性」・「現在性」に特化した「パフォーマンス性(performativity)」であり、「いま・ここ」を最大限重視するアート作品に積極的に関与し、参加する態度であることを明記しておきたい。
受講上の注意
・授業に積極的に参加し、自らの価値観を問う実践(パフォーマンス)を行わない学生の参加は遠慮してもらいたい。
・受講生多数の場合は、初回の授業で選抜することも考えているので、初回の授業には必ず出席すること。初回の授業に参加しないものは、受講を認めない場合もあるので、要注意。