国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
PHL300GA(哲学 / Philosophy 300)こころとからだの現象学Phenomenology of Mind-Body
森村 修Osamu MORIMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | C0802 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 水4/Wed.4 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
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Outline (in English)
【Course outline】What is the "unconscious"?
We all have dreams. But do we always see them when we want to? It's not so easy. And why do we say things wrong? Why do we have desires and needs? These are the result of the "unconscious," according to Sigmund Freud (1856-1939), the founder of psychoanalysis.
In 2022, we will philosophically consider the unconscious discovered by psychoanalysis. Psychoanalysis, founded by Freud, was succeeded by the French structuralist Jacques Lacan (1901-1981) in the latter half of the 20th century. In this class, we will philosophically analyze the structure of the unconscious, focusing mainly on Lacan's theories.
【Learning Objectives】
At the end of the course, students are expected to learn the basics of the relationship between consciousness and the unconscious and to be able to explain the structure of the unconscious philosophically.
【Learning activities outside of classroom】
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than four hours for a class.
【Grading Criteria /Policy】
Your overall grade in the class will be decided based on the following Term-end examination: 30%,Short reports : 30%、in class contribution: 40%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
こころとからだの関係を考える
あなたたちには「こころ」が「あります」か? 多くの人が「こころがある」と答えると思います。それでは、次の質問です。「それでは、あなたが言うように「こころがある」ならば、それは「どこにあります」か?」。ほとんどの人が「頭にある」、より正確には「脳にある」と答えるかもしれません。それでは、「こころが頭(脳)にある」ならば、こころと脳とは、どのように関係していますか?」。「こころがある」と答えた人に質問します。それでは、「こころは見えたり触れたり、知覚できたりしますか?」。もしも「こころ」が見えたり触れたりできないのに、あなたはどうして「ある」と言えるのでしょうか? あなたは「自分で体験しているから」と答えるかもしれません。それでは、「自分で体験するから、「こころはある」のですか? それでは尋ねますが、「あなたの体験は、あなたの「どこで」するのでしょうか? こころで体験するのですか? からだで体験するのですか?
私たちは、「こころがからだにある」とか「こころを持っている」と日常生活の中で疑問を持たずに漠然と信じています。ただ、哲学はこうした常識を徹底的に疑います。何も前提にしないこと、それが哲学的立場としての「現象学」のモットーです。そこで「こころとからだの現象学」という本科目は、「こころとからだ」を考え、それらがどのように結びついているのか(結びついていないのか)について徹底的に追求していきます。
「無意識」とは何か
私たちは夢を見ることがあります。それでは夢はわたしたちが見たいときに、いつも見ることができるのでしょうか? なかなかそうはいきません。また、どうして言い間違いなどが起きるのでしょうか? 正しいことを言おうとしたのに、変なことを言ってしまうのは、なぜでしょうか? 食欲や睡眠欲のような生理的な欲求は別にして、思わずしてしまうことや、嫌いだと思う前に避けてしまうのはなぜでしょう? これらは「無意識」のせいだと、精神分析学の創始者ジークムント・フロイト(1856-1939)と言います。
2022年度は精神分析学によって発見された「無意識」を哲学的に考えていきます。フロイトによって創始された精神分析学は、20世紀後半フランスのジャック・ラカン(1901-1981)によって構造主義的な精神分析学として引き継がれます。本授業では、主にラカンの学説を取り上げながら、無意識の構造を哲学的に分析していきます。
到達目標Goal
・精神分析学を学ぶことによって、意識と無意識の関係の基礎を学ぶことができる。
・無意識の構造について、哲学的に説明できるようになる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
【授業の進め方】
本科目は、原則的には講義形式で行いますが、人数が多くない場合は演習形式も取り入れていきます。必要に応じて受講生たちから積極的に意見を聞くなどして、受講生1人ひとりが自分の「意識と無意識/からだの関係」に対して自覚的になるように、授業を進めます。というのも、現象学という哲学の立場は、主観的体験を重視し、自らの体験に基づいて哲学的な問いを立てていく哲学の立場だからです。
【授業の方法】
授業は、基本的には、『ラカンの仕事』の解説に即して授業する予定です。事前に必要な箇所を読んで、授業の準備をしてくださると理解が進みます。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:イントロダクション
講義の概略と進め方
・精神分析学前史
・ジークムント・フロイトは何をしたか?
2[対面/face to face]:精神分析学とは何か①
・フロイトによる無意識の発見
3[対面/face to face]:精神分析学とは何か②
・『夢判断』
・『精神分析学入門』
4[対面/face to face]:ラカンの精神分析学①
・初期の著作
(1926-33)
5[対面/face to face]:ラカンの精神分析学②
・鏡像段階
(1936)
6[対面/face to face]:ラカンの精神分析学③
・現実原則の彼岸
(1936)
7[対面/face to face]:ラカンの精神分析学④
・ローマ講演
(1953)
8[対面/face to face]:ラカンの精神分析学⑤
・「盗まれた手紙」
(1956)
9[対面/face to face]:ラカンの精神分析学⑥
・「文字(手紙)という審級」
(1957)
10[対面/face to face]:ラカンの精神分析学⑦
・エディプス・コンプレックス
11[対面/face to face]:ラカンの精神分析学⑧
・精神病
12[対面/face to face]:ラカンの精神分析学⑨
・「主体の転覆」
(1960)
13[対面/face to face]:ラカンの精神分析学⑩
・『アンコール』
(1972-73)
14[対面/face to face]:ラカンの思想の展開
・ラカンの精神分析学以後
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・資料として提示しているテキストを事前に読んで、レジュメを書いて、提出できるように準備しておいてください。レジュメの形式などについての諸注意は、最初の回にアナウンスします。
・本授業の準備・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
(1) ビチェ・ベンヴェヌート『ラカンの仕事』、青土社、1994年
〔古本でしか手に入らないので、必要に応じて、配布する〕
(2) Bice Benvenuto & Roger Kennedy, The Works of Jacques Lacan: An Introduction, Free Association Books, 1986.
参考書References
(1) 新宮一成『ラカンの精神分析』、講談社現代新書、1995年
(2) 向井雅明『ラカン入門』、ちくま学芸文庫、2016年
※ その他については、授業内で指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
・討議への参加(30%)・授業内発表レジュメ(30%)・期末課題レポート(40%)。
以上を総合的に評価し、評定を決める。この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とする。
※ リアルタイム・オンライン授業の場合は、成績評価の方法と基準に変更がある。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
「こころとからだ」の関係について考えることは、簡単なようでとても難しいので、なるべく具体的な経験をもとに議論を進めるようにする。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
リアクションペーパー、課題提出等に授業支援システムを利用することがある。授業前後に確認すること。
関連科目
・「こころの科学」は姉妹科目である。合わせて履修することを推奨する。どちらが先でも良い。「こころ」について多角的な捉え方を学ぶことは人間について理解を深める基礎となる(甲先生)。
・「文化情報概論」や「文化情報の哲学」などと基本的なモチーフは共有しているので、これらとともに受講することが望ましいです。「概論」はこころとコミュニケーションの関係をテーマにしています。