国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
FRI200GA(情報学フロンティア / Frontiers of informatics 200)文化情報学概論Introduction to Philosophy of Information-Culture
森村 修Osamu MORIMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | C0213 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | 情報倫理学 |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 月3/Mon.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | ○ |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
This subject is an "introduction" of a new academic term "informatics of culture" advocated by the Faculty of Intercultural communication. In 2022, we will consider the question of " What is the relationship between communication and its environment?! " and we will examine the problems of "communication".
【Learning Objectives】
At the end of the course, students are expected to examine the issue of communication.
【Learning activities outside of classroom】
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than four hours for a class.
【Grading Criteria /Policy】
Your overall grade in the class will be decided based on the following
Term-end examination: 30%、Short reports : 30%、in class contribution: 40%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
《授業の概要》
本科目は、国際文化学部が提唱する「文化情報学」という新しい学問の「入門(introduction)」にあたる科目です。「文化情報学」とは、様々な文化現象を「文化情報」として捉え直し考察する学問です。そして、それぞれ固有の文化現象のなかに共通する新しい〈意味〉や〈価値〉を見出したり、文化現象を「文化情報」という角度から解釈し直したり、「文化情報」としての〈新しい意味〉や〈新しい価値〉を創出したりすることを目指します。
2022年度の本授業では、「エコロジー(=生態学 ecology〕ってなに?!」というテーマで、様々な学問にアプローチすることによって、いろいろな角度から「生態学(=エコロジー)」を考えていきます。ただ注意してもらいたいのは、最近流行の〈環境に優しい〉とか〈自然との共生〉を唄う「エコ」という意味での「エコロジー」ではないということです。
この授業の先導役として、天才的な知の巨人グレゴリー・ベイトソン(1904-1980)の思想を検討します。ベイトソンは民族学から精神医学、さらには動物行動学を研究しています。様々な学問を研究しながらも、それらの学問研究の中で、彼が取り組んでいる共通点は、「コミュニケーション」を「環境」との関係性の中で考察するということです。ベイトソンは、最初は「民俗学者」として東南アジアをフィールドワークの現場に選び、その地域の住民がどのようなコミュニケーションを行なっているかということを研究することから学者の道を始めました。その後、精神病院の患者がどのような「環境」に置かれると精神疾患を発症するかという問題を「コミュニケーション」と家族関係という角度から取り組み、患者の置かれた「家庭環境」から分析する「精神医学研究者」になりました。そして、動物のコミュニケーションを「環境」との関係で捉える一風変わった「動物行動学者」として、クジラやイルカの調査研究に加わったりしています。彼の思想遍歴を辿ることで、私たちの「文化情報学」のひとつのあり方が見えてくると思います。
《授業の目的》
そこで本科目では、ベイトソンの『精神の生態学』(1971)(Gregory Bateson, Steps to an Ecology of Mind, University of Chicago Press; Univ of Chicago PR版,2000」にちりばめられた様々なテーマを追求しながら、「人と人(自分と他人、親と子ども、など)の〈あいだ〉の「コミュニケーション」だけでなく、人と動物、人と人工物などの〈あいだ〉にも「コミュニケーション」を見出し、「コミュニケーションと環境との関わり」を考えていくことを目的とします。
そして「コミュニケーション」をめぐる「他者承認」の問題や、最近若者の間で話題になっている「コミュ障」問題や、実際の精神障害としての「コミュニケーション障害」を検討します。
さらにこの授業では、「精神の生態学」の影響を受けた、現代フランスの思想家フェリックス・ガタリ(1930-1992)の思想にも触れたいと思っています。彼は「精神の生態学」だけでなく、「社会の生態学」・「自然の生態学」を含めて、「三つの生態学(=エコロジー)」を提唱しています。さらにガタリの真意は、現代における新しい「生態学」として「情報の生態学」があると上野俊哉氏(和光大学教授)が述べています。この「四つの生態学」までを考察することが目標です。
【授業の意義】
本科目の意義は、「文化情報学」の立場から「コミュニケーション」と「環境」との関係というテーマを検討することによって、「異文化コミニュケーション」や「異文化交流・異文化理解」という領域とは異なる仕方で「コミュニケーション」を考察できるようになります。
到達目標Goal
・本科目の到達目標は、ベイトソンの「精神の生態学(ecology of mind)」という立場を学ぶことで、人間の文化、さらには動物の「文化」すらも含めて考察できる、より広い超域的思考を身につけることを目指します。
・「精神の生態学」の領域をさらに拡大し、現代フランスの思想家フェリックス・ガタリのいう「三つのエコロジー(精神のエコロジー、社会のエコロジー、自然のエコロジー)や「情報のエコロジー」(上野俊哉)も視野に入れて「コミュニケーション」という問題を考察することを目指します。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
本授業は、基本的に講義形式で行います。ただ、テーマに応じて、受講生の意見や考えを積極的に聞くことを試みたいと考えています。また、リアクションペーパーを用いることで、各自の文化観を聞くこともあります。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[未定/undecided]:イントロダクション
・授業を受ける上でのガイダンスと注意点
・授業概要説明
第2回[未定/undecided]:グレゴリー・ベイトソンとは誰か
・ ベイトソン紹介
・『精神の生態学』概要
第3回[未定/undecided]:ベイトソン『精神の生態学』読解(1)
・「関係の力学」から文化の総体を見る
第4回[未定/undecided]:ベイトソン『精神の生態学』読解(2)
・芸術の感動はどんな情報伝達によって得られるのか
第5回[未定/undecided]:ベイトソン『精神の生態学』読解(3)
・人を統合失調症に引き込むコンテクストを探る
・「ダブルバインド」仮説とは何か?
第6回[未定/undecided]:ベイトソン『精神の生態学』読解(4)
・イルカ研究に基づく「創造的ダブルバインド」論
第7回[未定/undecided]:ベイトソン『精神の生態学』読解(5)
・コミュニケーションの発生と進化を考察する
・「コミュ障」とは何か?
第8回[未定/undecided]:ガタリ『三つのエコロジー』(1)
・三つの「エコロジー(生態学)」
(1)「精神のエコロジー」
・ベイトソンの「精神の生態学」を新たに捉え直す
第9回[未定/undecided]:ガタリ『三つのエコロジー』読解(2)
・三つの「エコロジー(生態学)」
(2) 「社会のエコロジー」
・高度資本主義と社会との関係を問い直す
第10回[未定/undecided]:ガタリ『三つのエコロジー』読解(3)
・三つの「エコロジー(生態学)」
(3) 自然のエコロジー
・自然と社会の関係を問い直す
第11回[未定/undecided]:ガタリ『三つのエコロジー』読解(4)
・四つ目の「エコロジー」としての「情報のエコロジー」(by 上野俊哉)
第12回[未定/undecided]:「エコロジー」から「エコソフィー(生態哲学)」へ①
・「エコソフィー」とは何か?
第13回[未定/undecided]:「エコロジー」から「エコソフィー(生態哲学)」へ②
・助け合う動物たちは、どんなコミュニケーションをしているのだろうか?
第14回[未定/undecided]:まとめ
コミュニケーションは、難しいよね——でも、コミュニケーションしたいよね(本当かよ?)
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・各回のテーマによって、各自に意見を聞くことがあるので、頭を柔軟にしておいてください。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
・必要に応じて、ベイトソンのテキストのコピーや資料を配布します。
参考書References
・グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学』改訂第2版、新思索社、2000年
・Gregory Bateson, Steps to an Ecology of Mind, The University of Chicago Press, 2000
・フェリックス・ガタリ「三つのエコロジー』、平凡社ライブラリー、2008年
・上野俊哉『四つのエコロジー』、河出書房新社、2016年
成績評価の方法と基準Grading criteria
小テストなどを行うことで授業の理解度を確認し、学期末に試験(レポート)を課して、総合的に判断します。期末試験(30%)・小テスト(30%)・平常点(40%)。
※この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とします
※要注意
リアルタイム・オンライン授業の場合は成績評価の方法と基準も変更します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし
その他の重要事項Others
【注意点】
(1)「文化情報学」とは、狭い意味での「情報学(informatics)」や「情報科学(information science)」ではありません。。
・「文化情報学」は、文化の「情報学」ではなく、「文化情報」の「学」を意味しています。したがって、「情報科学」のつもりで「情報学」を理解しないように。
(2) 私たちは、他の国の文化や他の国の人たちから学ぶだけでなく、動物や植物、地球環境から多くのものを学ぶ必要があります。こうした視点を確保するためにも「文化情報学」という考えは重要だと思います。
注意点
大人数にはならないとは思いますが、コミュニケーションの問題を真剣に考え学びたい人以外は、なるべく参加をご遠慮ください。
議論は大いに推奨しますが、仲間同士のコミュニケーションとしての「私語」は厳禁です。居眠りは、「コミュニケーション拒否」として考えますので、ご退室願います。