市ヶ谷リベラルアーツセンター(ILAC)ILAC Course
PHL200LA(哲学 / Philosophy 200)倫理学LⅠEthics LI
森村 修Osamu MORIMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 市ヶ谷リベラルアーツセンター(ILAC)ILAC Course |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | Q1391 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 金2/Fri.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 法文営国環キ1~4年 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
選択・必修Optional/Compulsory | |
カテゴリー(2017年度以降)Category (2018~) |
2017年度以降入学者 ILAC科目 200番台 リベラルアーツ科目 1群(人文分野) |
カテゴリー(2016年度以前)Category (2017) |
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Outline (in English)
【Course outline】
In this course, we examine the question "What is care?" from the perspective of "Global Ethics of Care and Justice". At that time, in this subject, we will consider the problem of care labor by examining the specific question of "who cares who". In addition, we will ask the contemporary significance of the previously controversial issue of the conflict between care and justice. From there, the aim of this course is to help students examine the question of what is care ethics in global ethics in the 21st century from various angles.
【Learning Objectives】
At the end of the course, students are expected to describe the differences between ethics of justice and ethics of care in detail and to understand the concept of care comprehensively.
【Learning activities outside of classroom】
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than four hours for a class.
【Grading Criteria /Policy】
Final grade will be calculated according to the following process Mid-term report (30%), term-end examination (30%), and in-class contribution(40%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
《授業の概要》
2020年から2022年にかけて、新型コロナウィルス感染の爆発的流行(パンデミックpandemic)に、全世界が巻き込まれた。2022年になっても収束する決定的な要因を見出せず、世界では感染は増え続けている。それに対して、各国の医療は感染者の治療に間に合っているとはいえない状況にある。
生死を分ける「トリアージ(どの患者から治療するかという優先順位づけ)」が日常的に行われ、「生命の線引き」が後を絶たない。また、若年層には重篤化する傾向が少なく、感染しても無症状の可能性が高いのに対して、中高年層や持病を持った患者は死に至るケースが多い。これらのことから、年齢差別的な事態も引き起こされかねない。
コロナウィルスのパンデミックによって、私たちの社会の「道徳性」の弱さが露呈し、個人主義的というよりも利己主義的な個人の倫理観や社会道徳の意味などが問われている。自己中心的な価値観に基づくあまり、誰もが自分以外の他者に対して〈優しくない〉雰囲気を醸し出している。
本授業では、「ケアの倫理」という立場から、「自己をケアすること」・「他者をケアすること」から出発し、いかに社会や国家だけでなく、世界や地球全体を守り、ケアするかという大きな問いにまで視野を広げていく。
そこで本授業では、自分の個人的な行為が、見ず知らずの多数の人に影響を与えかねない現代社会の倫理性の問題を、「ケア」という角度から哲学的・倫理学的に分析する。
《授業の目的》
本科目は、1980年代に始まった比較的新しい「ケアの倫理」を学んでいく科目である。「ケアの倫理」では、「ケアとは何か」、「誰が誰をケアするのか」、「グローバル・エシックスにおけるケアとは何か」などの様々な問いを検討することを通じて、「ケア」という概念が私たちが生きている現場で必要不可欠な概念であることを明らかにする。また、「他者をケアすることの意味」や「自己へのケアの必要性」を考察することの重要性を学んでいく。
さらに「グローバル社会におけるケアの意味」、「正義の倫理」と「ケアの倫理」との対比を考察しながら、「愛とケア」に重点を置く、新しい「愛とケアのグローバル倫理」を構築することが、本授業の最終的なテーマである。
到達目標Goal
(1)「倫理学」という学問について、近隣諸学(哲学、法学、宗教学、政治学など)との違いを説明することができる。
(2)「応用倫理学」のなかで、「生命倫理学」と「ケアの倫理学」との異同について比較することができる。
(3)「正義の倫理」と「ケアの倫理」についての歴史的経緯について、具体的に述べることができる。
(4)「ケア」概念を包括的に理解し、学際的な立場から、科学と倫理学の学問性の違いについて説明することができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科:DP3・DP4、法学部・政治学科:DP1、法学部・国際政治学科:DP1、文学部:DP1、経営学部:DP3、国際文化学部:DP2、人間環境学部:DP2、キャリアデザイン学部:DP1
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
【授業の方法】
基本的に、授業は「講義形式」で行う。場合によっては、リアクションペーパーを用いて、受講生の皆さんと討論することも考えている。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:イントロダクション
・履修上の注意
・「ケアの倫理」についての概要説明
2[対面/face to face]:第1章 生きることの倫理①
・生きることの質(QOL)
3[対面/face to face]:第1章 生きることの倫理②
・健康であることの意味
4[対面/face to face]:第1章 生きることの倫理③
・死ぬことの意味
5[対面/face to face]:第1章 生きることの倫理④
・死に立ち会うこと
6[対面/face to face]:第1章 生きることの倫理⑤
・ペットロス
7[対面/face to face]:第1章 生きることの倫理⑥
・死への準備教育(Death Education)
8[対面/face to face]:第2章 「ケア」の倫理①
・「ケア」の思想①——メイヤロフ『ケアの本質』
9[対面/face to face]:第2章 「ケア」の倫理②
・「ケア」の思想②——義理ガン『もう一つの声』
10[対面/face to face]:第2章 「ケア」の倫理③
・〈心〉が傷ついた人のケア
11[対面/face to face]:第2章 「ケア」の倫理④
・スピリチュアルケア(spiritual care)——〈いたみ〉を分かち合うこと
12[対面/face to face]:第3章 支え合うことの倫理
・ケア意識の発達
13[対面/face to face]:第3章 支え合うことの倫理
・ケアする人を支えるために
14[対面/face to face]:まとめ
・「自己へのケア」から「他者へのケア」へ、そして「支え合いとしてのケア」へ
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業内で触れたことについて、様々な書籍、雑誌、新聞やインターネットで確認し、自分の知識を増やすように心がけること。倫理学は、生き方に関わる学問である。座学では何も身につかない。積極的に、倫理的な問題を考え、自ら主体的に学ぶように日頃から気をつける必要がある。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
・森村修『ケアの倫理』(大修館書店、2000年)
・森村修『ケアの形而上学』(大修館書店、2020年)
・Virginia Held, THe Ethics of Care: Personal, Political, and Global, Oxford University Press, 2006.
参考書References
竹田純郎・伊坂青司・森秀樹編『生と死の現在──家庭・学校・地域のなかのデス・エデュケーション』(ナカニシヤ出版、2002年)
成績評価の方法と基準Grading criteria
毎回の授業への参加を見る小テスト(40%)や授業内で行うレポート課題(30%)と期末試験(30%)によって、総合的に評価する。
〈要注意〉
・リアルタイム・オンライン授業の場合には、成績評価の方法と基準も変更する。具体的な方法と基準は、授業内や学習支援システムで提示する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
ビデオ、DVDなどAV機器を用いる場合がある。
その他の重要事項Others
「ケアの倫理」は、単に授業ですわっていれば自然と身につくものではない。自らの主体的な実践を伴わない「ケア」や「〈癒しと救い〉」は、単なる「絵に描いた餅」でしかなく、生きるためには何の役にも立たない。受講生各自が、自らの日々の生活のなかで、「ケアとは何か」「何をケアするのか」「ケアするためには何が必要なのか」「ケアとは何をしなければならないことなのか」などという問いを自らに問いかけ、それに答える努力を欠かさないようにしてもらいたい。