法学部Faculty of Law
LAW300AB(法学 / law 300)企業結合法企業結合法
柴田 和史Kazufumi SHIBATA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法学部Faculty of Law |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | A0060 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 年間授業/Yearly |
曜日・時限Day/Period | 月5/Mon.5 |
科目種別Class Type | 講義 |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 3~4 |
単位数Credit(s) | 4 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(法律学科)Category (法律学科) | |
カテゴリー(政治学科(2021年度以降入学者))Category (政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(政治学科(2020年度以前入学者))Category (政治学科(2020年度以前入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2021年度以降入学者))Category (国際政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2020年度以前入学者))Category (国際政治学科(2020年度以前入学者)) |
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Outline (in English)
【Course outline】
Students will study on corporation law and combination of corporations. Especially students will study on Mergers and Acquisition, Leveraged Buyout, Two-tier Tender Offer, Shark Repellent, Crown Jewel Option, Pacman Defense, Golden Parachute, Lock up Option and Poison Pill.
【Learning Objectives】
The goals of this course are to able to obtain advanced knowledge about the corporation law and M&A regulations.
【Learning activities outside of classroom】
Before/after each class meeting, students will be expected to spend 4 hours to understand the course content.
【Grading Criteria/Policies】
Final grade will be decided based on the following process:
Term-end examination:100%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
この講義は「裁判と法」「企業・経営と法」「国際社会と法」の各コースに配置されている。
この講義では、第1に、株式会社の合併・会社分割・株式交換などの組織再編行為、第2に、企業買収(いわゆるM&A)の攻撃方法ないし防禦方法、第3に、トラスト・コンツェルン・財閥・親子会社・持株会社・ホールディングスカンパニーなどに関するさまざまな法的問題をできる限りわかりやすく解説する。
講義の最初に、クジラとメダカの話をするのも、学生に物事の本質を的確に把握し理解してほしいと考えるところからの冒険的な(マンガ的な?)試みである。
すでに社会人になった多くの卒業生から、柴田先生の講義をもう一度聴きたいという挨拶をしばしば頂く。それは、学生時代においては、あまり身近に感じられなかった会社法や企業結合法の知識が、社会人になると、急激にその必要性を痛感することになるからである。そうして、本講義で取り扱うところの幅が広く奥の深い問題は、本屋で売っている本を数冊読めば、ことたりるというようなものではない。19世紀のヨーロッパ・アメリカ・日本の資本主義から20世紀の帝国主義の時代を経て21世紀の国際資本主義の時代において、株式会社や持株会社やコンツェルンがどのように生成し発展してきたか、そして、今後どのように展開していくかについて、あるときは巨大スクリーンに映し出すかのように、またあるときは顕微鏡で分析するかのように、君たちの頭の中にイメージを送り出したいと考えている。
最終的に単位を取らなくてもよいから、法政大学法学部を卒業する多くの学生に聞いて頂きたいと心から願うものである。
到達目標Goal
現在21歳前後の君たち学生は、おそらく、これから平均して約70年間を生きなければならない。わが国の国際競争力は相対的に低下し、人口が毎年60万人~100万人ずつ減少し(60万人が減少するということは、毎年毎年、鳥取県や島根県が消えていくことに相当する)、超高齢社会に突入し、総人口に占める働く者の数が減少し、そのうえ、政府の政策によって引き起こされるインフレが予想される日本のこれからの30年間を考えるために(さすがに、30年以上先はわからない)、また、その中を生き抜くために、必要不可欠の知識を提供したいと考えている。
具体的には、組織再編行為に関する会社法の主要な条文を理解し、多様なM&Aの攻撃方法と防禦方法を理解し、コンツェルンや親子会社などについてのさまざまな法的問題および社会的な問題を理解することを到達目標とする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」、「DP2」、「DP3」、「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
企業結合法は通年講義である。
会社法や商法の知識を全然持ち合わせない学生でも、容易に理解できるように、十分に配慮して講義を進めるので、勉強が大変だと心配することはまったく無用である。
実際、企業結合法の講義において必要となる会社法や商法の知識は、本講義において必要最小限の要点を解説するので安心してほしい。
企業結合法では、大きく分けて3つの分野を講義する。
第1は、合併・会社分割・株式交換などについての会社法が規定する基本的なものを条文に沿って説明し、法的な問題をわかりやすく解説する。
これらは、現代の日本において、頻繁に行われていることであり、君たちが将来就職する会社においても、かなりの確率で君たちが合併や会社分割等に巻き込まれることが考えられる。そのとき、何が起こっているかを正確にわからないということは、大変に不安なこととなる。
第2は、一般にM&Aと言われる分野であるが、企業買収のターゲットとなる会社をどのように選定するか、ターゲットとなる会社の株式をどのように取得するか、ターゲットとなる会社を獲得するための資金をどのように調達するかなどの攻撃方法の問題、および、ターゲットとなった会社がどのようにして攻撃から身を守るかという防禦方法の問題について解説する。
第3は、トラスト・コンツェルン・財閥・持株会社といった複雑な企業結合が国内・国外において歴史的にどのような役割を果たしてきたか、また、現在および将来の日本経済において、親子会社・持株会社・ホールディングスカンパニー・コンツェルンがどのように展開するか、そこにはどのような問題があるか、さらに、その問題はどのようにして解決されるべきかなどを解説する。
原則として、予習は不要である。可能な限り、高校生にもわかるような丁寧さで説明するつもりである。
なお、講義の際には、「令和元年の会社法改正を織り込んだ六法」と指定教科書『会社法詳解(第3版)』を持参してほしい。また、必要に応じて、資料やレジメを配布する予定である。
授業は対面式の教室授業を予定しているが、新型コロナ・ウイルスの感染拡大など状況の変化に柔軟に対応したいと考えているので、状況によってはオンライン授業になるともありうる。
なお、新型コロナ・ウイルスの関係で、オンライン授業を余儀なくされる場合は、以上の記載を、適宜、オンライン授業用に読み替えてほしい。
なお、法政大学の学習支援システム(Hoppii)を活用するから、必ず、確認してほしい。
学生の授業外での質問については、原則として、授業内でフィードバックする予定である。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:株式会社の基本構造・基本思想
株式会社の基本構造および会社法の基本思想などについて講義する。クジラとメダカの問題も解説する。
2[対面/face to face]:株主総会①・株式会社の最高意思決定機関・株主総会の権限
株主総会が株式会社の最高意思決定機関であること、および、株主総会の権限などについて講義する。
3[対面/face to face]:株主総会②・株主総会の機能・株主総会決議の瑕疵
株主総会の機能、および、株主総会決議の瑕疵の問題などについて講義する。
4[対面/face to face]:取締役①・取締役の地位権限
取締役の地位および権限について講義する。
5[対面/face to face]:取締役②・取締役の義務
取締役の義務について講義する。
6[対面/face to face]:取締役③・取締役の会社に対する責任
取締役の会社に対する責任について講義する。
7[対面/face to face]:取締役④・取締役の責任の追及
取締役の責任の追及方法について講義する。
8[対面/face to face]:取締役⑤・取締役の第三者に対する責任
取締役の第三者に対する責任について講義する。
9[対面/face to face]:合併①・合併の意義と機能・合併契約の意義
合併の意義と機能・合併契約の意義と内容などについて講義する。
10[対面/face to face]:合併②・事前情報開示・合併承認決議・少数株主
合併における事前情報開示・合併承認決議・少数株主の保護の問題などについて講義する。
11[対面/face to face]:合併③・新株予約権者・債権者保護
合併における新株予約権者の保護の問題・債権者保護の問題などについて講義する。
12[対面/face to face]:合併④・合併の効果
合併が完成したときの合併の諸効果の諸問題などについて講義する。
13[対面/face to face]:合併⑤・事後情報開示・合併無効の訴え
合併における事後情報開示・合併無効の訴えなどについて講義する。
14[対面/face to face]:法人格否認の法理
法人格否認の法理の意義と機能・法人格否認の法理の意義と内容などについて講義する。現実に生起した事例を元に、法的な問題を分析し検討する。また、社会的な問題にも言及する。
15[対面/face to face]:株式交換・株式移転
株式交換の意義・株式交換契約・株式交換の手続・株式交換の効果・略式株式交換・簡易株式交換・株式交換無効の訴えなどについて講義する。株式移転の意義・株式移転計画・株式移転の手続・株式移転の効果・株式移転無効の訴えなどについて講義する。
16[対面/face to face]:株式会社法の基礎理論・株主総会・取締役・代表取締役・法人格否認の法理などの復習
株式会社の基本構造・基本思想、株主総会および取締役について会社法が定めている内容、さらには春学期の授業で扱った内容の全てを復習し、加えて、時間的に取り扱えなかった内容を講義する。
17[対面/face to face]:M&A①・株式公開買付
株式公開買付の意義、手続、法的な問題などについて講義する。
18[対面/face to face]:M&A②・ターゲット会社を攻撃する方法
ターゲット会社を攻撃する方法などについて講義する。
19[対面/face to face]:M&A③・ターゲット会社の防禦方法
ターゲット会社の防禦方法などについて講義する。
20[対面/face to face]:カルテル・トラスト・コンツェルン
M&Aの発展史を踏まえて、トラスト及びコンツェルンの法的意義や法的問題を講義する。
21[対面/face to face]:財閥と財閥解体と財閥復活?
わが国の財閥と財閥解体について、法的意義や法的問題を講義する。
22[対面/face to face]:独占禁止法と持株会社・ホールディングスカンパニー
独占禁止法と持株会社に関する法的問題などを講義する。
23[対面/face to face]:親子会社・支配従属会社
親子会社・支配従属関係にある会社についての法的問題などを講義する。
24[対面/face to face]:コンツェルンと労働者
コンツェルン(親子会社および支配従属関係にある会社)における労働者の問題などを講義する。
25[対面/face to face]:新設分割
会社分割の意義・新設分割の意義・新設分割計画の内容・新設分割の手続・効果などについて講義する。
26[対面/face to face]:吸収分割
吸収分割の意義・吸収分割契約の内容・吸収分割の手続・効果などについて講義する。
27[対面/face to face]:株式等売渡請求制度
平成26年会社法改正で成立した株式等売渡請求制度の概要とその問題点を講義する。
28[対面/face to face]:株式交付
令和元年会社法改正で成立した株式交付制度の概要とその問題点を講義する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
下記に参考書として指定した『日経文庫ビジュアル・図でわかる会社法(第2版)』の関連するページを読んでくることが強く望まれる、が、しかし、これまでの経験から、あまり期待はしない。
本講義を履修登録するか否かとは関係なく、『日経文庫ビジュアル・図でわかる会社法(第2版)』(1100円)を電車の中やバスの中、友達との時間待ちのときなどに、見開き2頁だけでも、ぼーっとながめる習慣を付けておくと、知らないうちに会社法の知識が君の頭に入るから、就職活動にすごく役立つし、社会人になった後は、自分は他の人より頭が良いと思えると思う。
嘘だと思うのなら、amazonの『日経文庫ビジュアル・図でわかる会社法』のカスタマーレビュー(書評)を見てください。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
柴田和史(著)『会社法詳解(第3版)』(商事法務・2021年4月)を教科書に指定します。
かつて使用した『会社法詳解(第2版)』は、令和元年の会社法改正が織り込まれていないので、教科書として不適当です。記述内容が変更されており、また、新しい説明が不足します。もちろん、講義中に指示する頁数が異なることになり、試験の範囲等を指定するときもずれが生じたりします。
参考書References
柴田和史(著)『日経文庫ビジュアル・図でわかる会社法(第2版)』(日経BP、2021年1月)を参考書にします。
また、柴田和史(著)『教養としての会社法』を2022年4月頃に刊行する予定です。やさしく記述してありますから、会社法が苦手という学生は、こちらも読んでみることをお勧めします。
成績評価の方法と基準Grading criteria
特別な事態とならない限り、学期末の期末試験で成績の評価をするつもりである。
基本的には、春学期の期末試験の評価の配分が50%、秋学期の期末試験の評価の配分が50%の予定である。
ただし、今後も新型コロナ・ウイルスが猛威をふるい、その対応を余儀なくされるときは、万事、柔軟に対応しなければならないと考える。その結果、期末試験の実施が困難な場合には、別の適切な評価方法が採用されることもありうる。
この科目は、通年講義であるから、春学期だけの単位を取るとか、秋学期だけの単位を取るということはできない。したがって、通年で4単位が取れるか、全然取れないかのいずれかになる。
春学期についても秋学期についても、新型コロナ・ウイルスの状況によるが、可能ならば、通常の教室での講義を行いたいと考え、また、通常の期末試験を行いたいと考えるが、状況によっては、オンライン授業やオンライン期末試験、レポート提出などということになるかもしれない。また、授業をオンライン方式で行うことになると、それに対応した新しい試験方式を用いることになるかもしれない。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
講義中、熱意のあまり口調が早くなることがあるので、注意したい。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
大学や法学部がオンライン授業方式を採用すると決定する場合、適宜、私のオンライン授業に対応した機器を用意しなければならないことになる。
その他の重要事項Others
国際競争力が相対的に低下し、人口が毎年60万人~100万人ずつ減少し、超高齢社会に突入し、総人口に占める働く者の数が減少し、そのうえ、インフレが予想される日本のこれからの30年を考えるために、そして、これからの30年間を生き抜くために必要不可欠の知識を提供したいと考えています。
ぜひ、多く学生の受講を望みます。