法務研究科Law School
LAW500A2(法学 / law 500)公法演習Seminar on Public Law
交告 尚史、日野田 浩行Hisashi KOKETSU, Hiroyuki HINODA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | V1251 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 金2/Fri.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 2~ |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 選択 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
法律基本科目群(応用科目) 公法系 |
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Outline (in English)
【Course outline】
This course aims to enhance the development of students' skills to analyze and consider public law cases which need the knowledge about constitutional law and administrative law.
【Learning Objectives】
At the end of the course, students are expected to properly analyze complex public law cases, and consider the way of legal solution about those cases.
【Learning activities outside of classroom】
Before each class meeting, students will be expected to have read the relevant case from the text. Your required study time is at least four hours for each class meeting.
【Grading criteria/Policies】
Your overall grade in the class will be decided based on the following
Term-end report:50% , mid-term reports and presentations :50%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
国・公共団体と個人との間には、様々な形での紛争が生じている。かかる現実の紛争は、様々な法領域にわたる複合的な法問題を提起することとなり、こうした問題に適切な法的解決を見いだすためには、憲法、行政法を主とする法分野につき、実体・手続の両面から、また理論と実務の双方を視野に入れながら、総合的に考察する視点が必要となる場合も少なくない。「公法演習」では、こうした総合的視点が要求される公法の現代的課題に焦をめぐる具体的紛争事例につき、適切な法的解決のあり方を学ぶ。なお、授業の中でインターネットを用いる。
到達目標Goal
「公法演習」においては、上記のとおり、国および個人との間の、いわばタテの法律関係において、現代社会の中で生ずる様々な紛争につき、「憲法演習Ⅰ・Ⅱ」や「行政法演習Ⅰ・Ⅱ」等で獲得した知識やスキルを応用して、各回のテーマの現代的課題を意識しながら、そこでとりあげる具体的事例につき適切に事案分析を行ったうえで、憲法上の論点と行政法上の論点を整理し、その相互の関連性や位置づけにも留意したうえで、適切な権利の実現・救済方法を説得力ある法的議論でもって提示できる能力を養うことを目標とする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」と「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
上記到達目標を達成するため、本授業においては、憲法上の争点と行政法の争点の両方が問題となる具体的事例をとりあげ、それらの事例につき、憲法の教員と行政法の教員が交互に授業を担当しながら、各争点につき整理、検討を行っていく。受講生には、期末のレポート提出と1回または2回程度の報告が求められる。学生の報告については授業内で講評を行うと共に、学習支援システムの掲示板の利用や、メールでのやり取りでの質疑応答を通じて、学生の疑問点等についてはきめ細かなフィードバックに務める。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:外国人の人権と入管法制
マクリーン事件最高裁判決で示された外国人の人権と在留制度の関係に関する基本的判断枠組みを確認したうえで、その後の国際人権法の展開もふまえた新たな議論状況を検討する。
第2回[対面/face to face]:裁量処分の司法審査の方式
マクリーン事件最高裁判決を行政法の観点から検討する。社会通念審査と呼ばれる裁量統制のあり方を学び、第3回のテーマで取り上げる剣道受講拒否訴訟で示された審査方式と比較する。
第3回[対面/face to face]:精神的自由と懲戒処分
君が代起立斉唱訴訟および剣道受講拒否訴訟を手がかりに、職務上・教育上の懲戒処分により精神的自由の制約が問題となる事例につき、主として憲法論の観点から検討を行う。
第4回[対面/face to face]:行訴法上の差止め訴訟と当事者訴訟
君が代起立斉唱訴訟を読み、起立斉唱の要求を拒む教員がどのような行為をどのような訴訟で争ったのかを確認し、それらの訴訟類型を使いこなすために知っておかなければならない事項を学ぶ。
第5回[対面/face to face]:精神的自由の公法的規制
徳島市公安条例事件最高裁判決および成田新法事件最高裁判決等を手がかりに、条例による精神的自由の規制や精神的自由の公法的規制における手続保障の問題につき、主として憲法論の観点から検討を行う。
第6回[対面/face to face]:法律と条例の関係
地方公共団体が地域の実情に見合った条例を制定しようと考えた場合に、常に念頭に置かなければならないのが憲法94条の「法律の範囲内で」という条件に反しないかどうかという問題である。徳島市公安条例事件最高裁判決を足掛かりにして行政法の観点からこの問題を検討する。
第7回[対面/face to face]:経済的自由の公法的規制
タクシー運賃の変更を巡る一連の判決や医薬品の郵便販売等を制限する薬事法施行規則の改正に係る最高裁判決を手がかりに、経済的自由の規制をめぐる救済のあり方につき、主として憲法論の観点から検討を行う。
第8回[対面/face to face]:事業者の経済的自由と行政庁の裁量権行使
タクシー運賃の変更を巡る一連の判決を素材として、事業者の経済的自由と行政庁の規制権限がぶつかり合う局面を観察し、行政法の立場から、行政手続のあり方および裁量権行使の合理性について検討する。
第9回[対面/face to face]:福祉受給権と司法審査
学生無年金訴訟、老齢加算廃止訴訟および児童扶養手当打切り事件等を手がかりに、福祉受給権に係る司法審査のあり方について、主として憲法論の観点から検討を行う。
第10回[対面/face to face]:生活保護制度の運用を巡る行政法上の論点
老齢加算廃止訴訟最高裁判決を用いて、生活保護基準の設定に係る裁量の広狭、生活保護基準を受給者の不利益に変更する場合の信頼保護等の問題、および司法審査のあり方について、行政法学の見地から学ぶ。
第11回[対面/face to face]:教育を受ける権利の実現
旭川学テ訴訟最高裁判決の基本的判断を確認したのち、障害のある生徒の教育を受ける権利に係る裁判例を手がかりに、教育を受ける権利の実現のあり方につき、主として憲法論の観点から検討を行う。
第12回[対面/face to face]:インクルーシブ社会における障害児童の学校選択
難病に罹患した児童が特別支援学校ではなく小学校への入学を希望した事件に係る下級審判決を素材にして、就学校決定の仕組みをインクルーシブ社会の観点から検討し、司法審査のあり方を行政法の観点から考察する。
第13回[対面/face to face]:国と地方の行政組織
ロッキード事件最高裁判決および沖縄代理署名訴訟を手がかりに、内閣総理大臣と行政各部との関係や国と地方の係争につき、主として憲法論の観点から検討を行う。
第14回[対面/face to face]:価値関係的判断と行政裁量
ロッキード事件は刑事事件であるが、丸紅ルートの第一審判決を読むと、傍論ながらも、航空会社が新機種導入に際して受ける事業計画変更認可の審査基準について、そこに登場する抽象的な概念を価値関係的概念と捉えたうえで、その適用と行政裁量との関係を緻密に考察していることが分かる。その部分を行政法の観点から考察する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
市川正人・曽和俊文・池田直樹『ケースメソッド公法[第3版]』(日本評論社)
参考書References
長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選Ⅰ・Ⅱ[第7版]』(有斐閣)
宇賀克也・交告尚史・山本隆司編『行政判例百選Ⅰ・Ⅱ[第7版]』(有斐閣)
成績評価の方法と基準Grading criteria
期末レポート:50%、授業内報告:50%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
各事例につき、憲法と行政法の教員が交互に授業を行う方式のため、教員間の連携には注意します。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
レジュメの配布や連絡等につき、学習支援システムおよび法政大学専用Gmailを用いますので、情報端末は用意しておいて下さい。また、4月以降の状況によってはWeb会議システム(Zoom)を利用する可能性もあります。