通信教育部(通信学習)School of Correspondence Education (Correspondence Learning)
LAW300TB(法学 / law 300)債権各論Law of Contracts and Torts
教科担当責任者 / Instructor in charge of class:川村 洋子Youko KAWAMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 通信教育部(通信学習)School of Correspondence Education (Correspondence Learning) |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
担当者Instructor name | 足利 沙緒理、川村 洋子 |
科目種別Class Type | 通信学習(リポート・試験) |
履修学年Grade | 3~4 |
単位数Credit(s) | 4 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 法学部 法律学科 専門教育科目 |
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Outline (in English)
This course introduces students to the basic concepts of contract law and tort law so as to enable them to deal effectively with the disputes related to contracts and torts. The principles of contract law are mostly provided in Chapter 2, Part.3 of the Japanese Civil Code, and those of tort law in Chapter 5. The course will also address the basic principles of unjust enrichment and negotiorum gestio under Chapter 3 and 4 of the Civil Code.
Upon completion of this course, students should have a clearer sense of how the law operates and how lawyers (courts) help to shape it in civil law practice, enhance reasoning skills in relation to complex legal problems and develop the ability to identify major contract and tort issues which may arise in a particular factual situation.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
【学習の到達目標】Goal
① 契約の概念及び双務契約上の権利義務の発生・関係・消滅に関わるルールを説明することができること
② 民法に規定された契約類型についてその権利義務の発生・関係・終了に関わるルールを説明することができること
③ 基本型不法行為の類型並びに要件・効果、複合型不法行為の種類・適用領域並びに要件・効果、及びその他の法定債権(不当利得・事務管理)の基本的内容を説明することができること
④ ①から③の知識を活用して、具体的な問題を解決する能力を身につけること
【この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)】Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
① 契約の概念及び双務契約上の権利義務の発生・関係・消滅に関わるルールを説明することができること
② 民法に規定された契約類型についてその権利義務の発生・関係・終了に関わるルールを説明することができること
③ 基本型不法行為の類型並びに要件・効果、複合型不法行為の種類・適用領域並びに要件・効果、及びその他の法定債権(不当利得・事務管理)の基本的内容を説明することができること
④ ①から③の知識を活用して、具体的な問題を解決する能力を身につけること
【授業で使用する言語】Default language used in class
日本語 / Japanese
【科目の概要】Method(s)
「債権各論」は、民法第三編「債権」の第二章から第五章までの各種の債権発生原因を扱う。条文としては521条から724条の2にわたる、相当に広範な領域を対象とする。
債権は、その発生原因を基準にするとき、契約的債権と、不法行為に代表される法定債権(事務管理、不当利得、不法行為)の二つに大別される。契約的債権に関する法は、さらに、契約総則(契約の成立、基本的効力、解除)と、13の契約類型(売買、贈与、賃貸借、使用貸借、消費貸借、請負、委任等)別に規定が置かれている契約各則に分かれる。法定債権を発生させる原因には、先に挙げた不法行為の他、不当利得と事務管理が含まれる。
いずれも、今日的な課題に直面している。契約法理を、契約当事者が私的自治としてつくりだす新しい契約現象を国による保障の結びつく契約関係として法的構成していく道具と捉えたとき(契約関係の構成システム)、どのような構成システムが有効であり得るか、を主体的に問わなければならない。
また、産業革命以降の社会が生み出した現代的な過失(間接加害型)不法行為は、単純な過失行為から、危殆責任、医療過誤、広域被害までの広い振幅をもつ。明治期につくられた民法の不法行為の条文とのくい違いに対して判例がどのように対応し、また学説がどのような理論をもってそのくい違いを埋めようと試みているか、を学習することが不可欠な分野である。
【成績評価基準】Grading criteria
最終成績は単位修得試験により評価する。(ただし、リポート学習もしっかりと行うこと。)
【テキスト名および詳細】Textbooks
指定市販本『新ハイブリッド民法4 債権各論』新版、法律文化社、滝沢昌彦他、2018年、¥3,000+税
【学習指導、注意点等】Work to be done outside of class (preparation, etc.)
学習に際しては以下の点に留意していただきたい。なお、通信学習のリポートに添削・講評でフィードバックする。
① 債権各論に限らず、およそ民法を学ぶに際しては、条文を必ず参照する習慣をつけること。条文を使いこなす能力を身につけていることが法学部生の強みである。
② 契約制度及び不法行為制度に関わる基本的な概念を正確に理解すること(不法行為における「過失」とは、或いは「不法原因給付」とは何か)。そのためには、まず各概念について説明している箇所を丁寧に読み、整理することが必要である。
③ さらに、契約法も不法行為法も古くから存在する法制度であり、時代の変遷とともにその役割を変容させつつ時代的適応を図ってきた。したがって、基本概念や制度の歴史的生い立ち、社会的背景、それを問題処理基準とする紛争類型についての理解に努めるとともに、判例の展開とその意義や射程についての学習に力を注いでいただきたい。とりわけ、時代を画した判例(特に破棄判例)については、判決内容はもとより、その事実関係、原判決、上告理由まで押さえていくと、理解が深まる。
④ 上記基本概念は、訴訟において原告・被告が具体的な法的主張を行う根拠として機能する。例えば、「過失」は被告の不法行為を理由とする損害賠償請求権を行使する局面で、また「責任能力」は不法行為責任を免れるための反論において、それぞれの攻撃・防御の主張を支える「道具」の一つとなる。このような実践的な展開を意識しながら、要件・効果を学習していくことが望まれる。
⑤ 民法は、各部分が他の部分と関連し合い、全体として有機的一体をなしている。債権各論を学習するに際しても、民法総則、物権・担保物権、債権総論、親族法に関わる記述が出てくるときは、できるだけ該当分野のテキスト・参考書を参照していただきたい。とりわけ契約法は、民法総則(人、意思表示など)や債権総論(債権の目的、受領遅滞、債務不履行、弁済など)と密接に関わることが多く、不法行為(債権侵害など)や不当利得(給付利得類型)においても契約法理との交渉が問題になる。
⑥ 法定債権を除く債権法分野については民法改正法が2017年5月に成立、2020年4月1日から施行されている。改正法の内容は、確立された判例法理の明文化を中心とするが、多数説をとりいれた領域などもあり、改正法を深く理解するためにも現行の成果を十分に学習するとともに、改正法に対応した参考書等を活用していただきたい。