通信教育部(通信学習)School of Correspondence Education (Correspondence Learning)
LAW200TB(法学 / law 200)物権法Law of Property
教科担当責任者 / Instructor in charge of class:川村 洋子Youko KAWAMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 通信教育部(通信学習)School of Correspondence Education (Correspondence Learning) |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
担当者Instructor name | 川村 洋子、宮島 薫 |
科目種別Class Type | 通信学習(リポート・試験) |
履修学年Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 4 |
備考(履修条件等)Notes | ※2021年4月よりテキスト(指定市販本)変更 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 法学部 法律学科 専門教育科目 |
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Outline (in English)
This course addresses laws of property and security interests, the principles of which are provided in Chapter 2 of the Japanese Civil Code. Property law introduces students to the basic forms of establishing entitlements, the rules on transfer of ownership in general, conveyancing and private control of land use. Security interest refers to the property rights of a creditor whose right to collect a debt is secured by property (‘collateral’) and this course covers the rules on several types of security interests: mortgages, charges, pledges and liens.
Upon completion of this course, students should have a clearer sense of how the law operates and how lawyers (courts) help to shape it in civil law practice, enhance reasoning skills in relation to complex legal problems and develop the ability to identify major property-related issues which may arise in a particular factual situation.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
【学習の到達目標】Goal
① 物権・担保物権法に関する民法上の制度の基本を正確に理解できること
② その知識を活用して、具体的な問題を解決する能力を身につけること
【この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)】Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
① 物権・担保物権法に関する民法上の制度の基本を正確に理解できること
② その知識を活用して、具体的な問題を解決する能力を身につけること
【授業で使用する言語】Default language used in class
日本語 / Japanese
【科目の概要】Method(s)
「物権法」は、物権と担保物権を学習する分野で、民法の条文としては、「第2編 物権」に含まれる175条から398条の22までを扱う。
民法上の権利は、財産上の利益を内容とする財産権と身分上の利益を内容とする身分権に大別され、財産権は物権と債権とに分かれる。債権とは特定人に対して特定人が一定の給付を求めることを内容とする権利であるのに対して、物権は、物を直接的・排他的に支配する権利を指す。物権の中心は、物の使用価値と交換価値に及ぶ完全な支配力を内容とする権利(使用・収益・処分権原)である所有権である。民法には、合意による所有権の移転プロセスを主に対象とする、物権変動に関する重要な規定がある。
この所有権のもつ価値支配権のいずれかのみを行使できるにとどまるものを制限物権、或いは他人の所有物上に成立するという意味において他物権と呼ぶ。制限物権には、他人の土地の利用を内容とする用益物権(地上権、永小作権、地役権)と、(直接または間接的に)交換価値支配を主たる内容とする担保物権(留置権、先取特権、質権、抵当権)がある。
上記物権のほか、物を事実上支配していることに基づいて認められる占有権がある。物権としては沿革を引きずった特殊な権利であるが、占有に関する規定はとりわけ動産の所有権取得との関係で重要である。
全体としては、体系的に整った学習しやすい分野と言えるが、民法に規定がなくもっぱら取引社会の要請から判例法により定着した担保形態(譲渡担保に代表される非典型担保)があるなど、判例により形成された法理の学習が不可欠である。
【成績評価基準】Grading criteria
最終成績は単位修得試験により評価する。(ただし、リポート学習もしっかりと行うこと。)
【テキスト名および詳細】Textbooks
指定市販本『新・マルシェ民法シリーズⅡ 新・マルシェ物権法・担保物権法』嵯峨野書院、宮本健蔵編著他、2020年、¥3,700+税
※【スタディガイド(学習指導書)】なし
【学習指導、注意点等】Work to be done outside of class (preparation, etc.)
学習に際しては以下の点に留意していただきたい。なお、通信学習のリポートに添削・講評でフィードバックする。
① 物権法に限らず、およそ民法を学ぶに際しては、条文を必ず参照する習慣をつけること。条文を使いこなす能力を身につけていることが法学部生の強みである。
② 物権法・担保物権法上の基本的な概念を正確に理解すること。例えば、「所有権」とは、或いは「抵当権」とはいかなる権利か、「占有」と「占有権」の概念に違いはあるか、などの基本的理解に関わる問いに答えることができるためには、テキストを各概念の定義から丁寧に読みおこすことが必要である。
③ 同時に、上記基本概念は、訴訟において原告・被告が具体的な法的主張を行う根拠として機能する。例えば、「所有権」は所有権に基づく返還請求権を行使する局面で、また「留置権」は返還を拒絶する反論において、それぞれの攻撃・防御の主張を支える「道具」となる。このような実践的な展開を意識しながら、要件・効果を学習していくことが望まれる。
④ 民法は、各部分が他の部分と関連し合い、全体として有機的一体をなしている。物権法・担保物権法を学習するに際しても、民法総則、債権総論、債権各論、親族法に関わる説明がなされているときは、できるだけ該当分野のテキスト・参考書を参照していただきたい。とりわけ担保物権法は、債権総論の責任財産保全制度や人的保証とともに、債権回収手段として活用されている分野であるから、債権法の知識を身につけていないと理解が難しい。さらに、担保物権のなかでも抵当権については、民事執行法の基礎的な知識があると、一層、理解を深めることができる。また、物権・担保物権に関するテキスト・参考書は当該権利そのものの説明が中心となるが、物権変動にせよ、用益物権・担保物権の設定にせよ、それを媒介するのは当事者間の契約であり(売買契約、抵当権設定契約など。法定の制限物権を除く)、契約法理を考慮すべき場面が多いことに留意していただきたい。