人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies

　補完代替医療とは、一言で説明すると「現代西洋医学領域外の医学・医療体系の総称」である。近年、NCCIH（アメリカ国立補完統合衛生センター）では、環境全体を視野に入れたエコロジカルな健康観を基礎として、生命の特徴である多様性、個別性、一回性を重視する補完代替医療分野に多大の研究費を費やしはじめた。またアメリカ、ヨーロッパ諸国を中心として、世界各国の伝統医療の見直しがなされ、多くの人が日常的にとりいれ、その効果を実感している。
　本講義では、世界におよそ600種あると言われている補完代替医療のうち、代表的ないくつかの伝統医療を取り上げ、その特徴や功罪などを説明する。また、必要に応じて現代西洋医学との融合、または使い分けできる思考、姿勢を身につけることで、幅広い視点から環境と健康問題に取り組む可能性を追及する。

1.補完代替医療の健康観について説明できる。
2.世界の伝統医療についてその特徴を説明できる。
3.代表的な補完代替医療を列挙でき、その内容を概説できる。
4.代表的な補完代替医療の特徴、長所および短所を説明できる。
5.現代西洋医学と補完代替医療を比較し、それぞれの特徴を説明できる。
6.東洋医学の根幹である「気」の概念を理解できる。
7.陰陽論、五行学説について概説できる。
8.鍼・灸療法の特徴、効果、用い方について説明できる。
9.ホメオパシーの特徴、長所および短所を説明できる。
10.エネルギー療法について実践例を挙げて説明できる。

ディプロマポリシーのうち、「DP2」に関連

日本語 / Japanese

本講義は感染対策を十分におこない、対面授業を基本に実施する。感染状況に応じて、オンライン授業に変更する可能性もありえる。それによって内容が変更になる場合は、学習支援システムをつうじて周知する。
また、授業のはじめに、前回の授業で提出されたリアクションペーパーからいくつか取り上げ、全体に対してフィードバックを行う。大学の行動方針レベルの変更に応じた授業形態の詳細は学習支援システムでお知らせします。

あり / Yes

あり / Yes

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：ガイダンス：講義の概要、ねらい、進め方の紹介

半年間の講義の概要、到達目標などを説明する。

第2回：補完代替医療の健康観Ⅰ

NCCIH（アメリカ国立補完統合衛生センター）の研究、取組、世界の現状などを紹介する。

第3回：補完代替医療の健康観Ⅱ

ドイツのがん治療の現状をDVDを視聴しながら解説する。

第4回：補完代替医療システム
:中国伝統医学Ⅰ

中国伝統医療である東洋医学について、発祥と発展、健康観や哲学などを解説する。また現代西洋医学との相違を提示し、検討する。

第5回：補完代替医療システム
:中国伝統医学Ⅱ

東洋医学の基本概念である陰陽五行論、経穴と経絡、気血水（津液）について説明する。

第6回：補完代替医療システム
:中国伝統医学Ⅲ

東洋医学分野の内系医学に属する鍼・灸療法の特徴、効果、用い方について説明し、実際に鍼・灸治療を行いその効果を体験する。

第7回：補完代替医療システム
:中国伝統医学Ⅳ

東洋医学分野の寒傷系医学に属する湯液療法の特徴、効果、用い方について説明する。具体例として７種類の生薬を使用する葛根湯を実際に調合、煎じてそれを服用する実習を行う。

第8回：補完代替医療システム
：ホメオパシー

欧米やインド、南米などに広く普及している、ホメオパシーについて、発祥と発展、健康観や哲学などをのべる。またそれらの長所と短所を説明する。

第9回：補完代替医療システム
：インド伝統医学（ヨーガ）

インド地域を中心として発達した5000年の歴史があるヨーガについて、発祥と発展、健康観や哲学などをのべる。またそれらの長所と短所を説明する。

第10回：精神・身体相互介入による医療
：瞑想法、呼吸法

精神および身体相互介入による医療に位置付けられている瞑想について、科学的な視点から捉えるとともに、日本の「禅」との関連性を解説する。

第11回：生物学的療法
：マクロビオティック、ハーブなど

世界の多くの著名人、有名人などが行っていると言われている、「マクロビオティック」について、健康観や哲学、長所や短所などを概説し、実際にその調理方法を解説する。

第12回：手技および身体を介する療法
：按摩・指圧・マッサージ

按摩・指圧・マッサージについて、その発祥と発展、施術の法則と方法、特徴的な手技、長所と短所などを説明する。

第13回：手技および身体を介する療法
：カイロプラクティック、オステオパシー、リフレクソロジー

カイロプラクティック、オステオパシー、リフレクソロジーについて、その発祥と発展、健康観や哲学、長所と短所などを説明する。

第14回：エネルギー療法
：ヒーリングタッチ

ヒーリングタッチについて、その発祥と発展、健康観や哲学、長所と短所などを説明する。

　毎回の講義で紹介される資料等を使用して必ず予習・復習をすること。
　講義の前日22時までに、学習支援システム上に資料を掲載する。受講者は各自ダウンロードし、資料に基づき事前学習を行う。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。

　テキストは使用しない。必要に応じて配布する。

『補完代替医療入門』　上野圭一著　岩波アクティブ新書
『ホメオパシー医学への招待』　松本丈二著　フレグランスジャーナル社
『標準東洋医学』　仙頭正四郎　金原出版
『近代中国の伝統医学』　ラルフ・C・クロイツァー著　創元社
『傷寒論を読もう』　高山宏世著　東洋学術出版社
『アーユルヴェーダとヨーガ』　上馬場和夫著　金芳堂
『ヨーガ根本教典』佐保田鶴治　平河出版社
『人はなぜ治るのか』　アンドルー・ワイル著　上野圭一訳　日本文化社

以下の内容で総合的に評価する。

１）毎回の授業時に取り組む課題（リアクションペーパー、小テスト、レポートなど）　８０％
２）授業への参画状況 20％
　
・課題の提出が期限をすぎた場合は評価に影響する。
・授業に出席しても課題が提出されていない場合は、欠席扱いとする。
・出席が授業実施回数の 2/3 に満たない場合は，単位取得のための履修時間を下回ると判断されるためDもしくはE 評価とする。

1.毎回の講義はじめに、その日のスケジュールおよびポイントをを示すことで、明確な目標をもって、講義に臨めるように工夫を行う。
2.常に受講生の反応を確認しながら、講義内容を柔軟に変化させることにより、集中力を持続させる工夫を行う。
3.授業の最後に次回の内容を伝達し、自宅での予習や資料収集に役立つよう工夫する。

オンライン授業をより効果的に行うために、パソコンを準備することがのぞましい。それと同時に通信機器及び通信環境を整えておくこと。
また配布資料、課題の提出は学習支援システムを通じておこなう。

授業に関する質問やそれに関連する質問などは授業中および授業の前後にうけつける。
それ以外については、随時メールを通じて、対応する。
また、オフィスアワーとして毎週月曜日１５時〜１７時の２時間を設ける。
オフィスアワーを利用する場合は、メールを通じて事前に連絡をとることがのぞましい。

履修の手引き「D.6 専門科目一覧・コース関連科目表」を参照してください。

本科目は、「実務経験のある教員による授業」に該当しません。