人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies

近代西洋医学の発展にともない、人類は多くの恩恵を受けてきた。その一つに、寿命の延長がある。我が国は世界有数の長寿国である一方で、健康寿命を延ばすことがこれからの課題とされている。今後高齢化社会が進むにつれて、課題とされる健康寿命の延長に何か必要であるか？健康で過ごすにはどうすればよいか？ 適度な運動、自然素材の食事、十分な睡眠など、自らが考え実践できることは沢山ある。
本講義では、普段何気なく過ごしているその内容に焦点をあて、いかに生活習慣が大事であるかを、がんに関する多目的コホート研究などの資料をもとに考察していく。

1.「持続可能な環境重視の社会」を構築するために、環境と健康の対応関係を理解できる。
2.ホメオスターシスと病気の関連性について述べることができる。
3.日本人の死因について述べることができる。
4.人間のがんに関わる要因について説明する。
5.創傷の治癒過程について説明できる。
6.免疫の働きと役割について説明できる。
7.腸内細菌と免疫系の関係を述べることができる。
8.食べることの重要性を述べることができる。
9.治癒を促進する食品が説明できる。
10.治癒と排出の関係を説明できる。
11.治癒を妨げるものを列挙できる。
12.こころが治癒に果たす役割などについて説明できる。
13.自らの健康感を述べることができる。

ディプロマポリシーのうち、「DP2」に関連

日本語 / Japanese

本講義は感染対策を十分におこない、対面授業を基本に実施する。感染状況に応じて、オンライン授業に変更する可能性もありえる。それによって内容が変更になる場合は、学習支援システムをつうじて周知する。
また、授業のはじめに、前回の授業で提出されたリアクションペーパーからいくつか取り上げ、全体に対してフィードバックを行う。大学の行動方針レベルの変更に応じた授業形態の詳細は学習支援システムでお知らせします。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：ガイダンス:講義の概要、ねらい、進め方の紹介

半年間の講義の概要、到達目標などを説明する。

第2回：ホメオスターシスと病気
－病気になる人となりにくい人－

人間に備わっているホメオスターシスの意義について説明し、病気との関連性を検討する。

第3回：がんの基礎知識Ⅰ

人のがんに関わる要因について説明する。
がんに関する多目的コホート研究から飲酒、喫煙に関わる内容を解説する。

第4回：がんの基礎知識Ⅱ

人のがんに関わる要因について説明する。
がんに関する多目的コホート研究から食生活、運動習慣に関わる内容を解説する。

第5回：免疫系と自律神経系：免疫力アップは腸内細菌の元気から

本来生まれながら人間に備わっている免疫について、その種類、役割などを説明する。また免疫系と自律神経系との関わりを腸内細菌の働きと合わせて考察する。

第6回：治癒の本質：治癒の3局面（反応・再生・適応）

創傷の治癒を例にあげ、人間に備わっている治す能力（自然治癒力）について解説し、治癒のプロセスである反応・再生・適応について説明する。

第7回：創傷の治癒：線維の増殖、瘢痕の成熟、組織修復による合併症

組織損傷の治癒過程について、炎症が果たす役割および組織修復にかかわる一連の流れ、修復時に起こる合併症などを解説する。

第8回：食べることの重要性：なぜ人は食べ続けるのだろうか？

人は食物を材料としてエネルギーを作り出し、それによって生命活動を維持している。人間が行う消化と吸収について解説する。

第9回：治癒を促進する食生活：免疫力をあげる食品類

食生活が健康にとって如何に重要であるかを述べ、総カロリー、脂肪、たんぱく質、野菜と果物、食物繊維と治癒との関連性をを解説する。

第10回：摂取と排出：排出不足が病気を招く

人間は日々の摂取と排出を繰り返している。摂取には呼吸による空気の摂取、目や耳などの感覚器からの摂取などがある。一方、排出に対してはあまり意識されていない。排出の重要性を述べ、病気との関連性を解説する。

第11回：治癒力を妨げるもの：人間が作った化学物質

自然治癒力を妨げるものに、エネルギー不足、循環不足、有害物質、老化などがある。これらの要因と免疫力の関連性について解説する。

第12回：有害物質から身を守る

水質汚染、空気汚染、有害食品、その他の有害物質は、からだ備わっている治癒力を低下させ、病気の発生因子となる。これらの要因をさけ上手に生活をおくる方法を検討する。

第13回：こころが治癒に果たす役割：治癒とこころの相関関係（笑いが地球を救う）

精神的および感情的な出来事と治癒反応との間に相関関係があることを示し、これまでに起こった事例をあげ、こころが治癒系に与える影響について解説する。

第14回：成熟した成人になるために：治療は外から、治癒は内から

治療(cure,　treatment）と治癒（healing）の相違点を示し、もし病気になっても治療者に依存するのではなく、内から治癒が生じるようなプログラムに取り組み、行動をとるよう解説する。

毎回の講義で紹介される資料等を使用して必ず予習・復習をすること。
　講義の前日22時までに、学習支援システム上に資料を掲載する。受講者は各自ダウンロードし、資料に基づき事前学習を行う。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。

　テキストは使用しない。必要に応じて配布する

健康・体力づくりハンドブック　名取　礼二　監修　大修館書店
人はなぜ治るのか　アンドルー・ワイル著　上野圭一訳　日本文化社
癒す心、治る力　アンドルー・ワイル著　上野圭一訳　角川文庫
補完代替医療入門　上野圭一著　岩波アクティブ新書
標準東洋医学　仙頭正四郎　金原出版

以下の内容で総合的に評価する。

１）毎回の授業時に取り組む課題（リアクションペーパー、小テスト、レポートなど）　８０％
２）授業への参画状況 20％
　
・課題の提出が期限をすぎた場合は評価に影響する。
・授業に出席しても課題が提出されていない場合は、欠席扱いとする。
・出席が授業実施回数の 2/3 に満たない場合は，単位取得のための履修時間を下回ると判断されるためDもしくはE 評価とする。

1.毎回の講義はじめに、その日のスケジュールおよびポイントをを示すことで、明確な目標をもって、講義に臨めるように工夫を行う。
2.常に受講生の反応を確認しながら、講義内容を柔軟に変化させることにより、集中力を持続させる工夫を行う。
3.授業の最後に次回の内容を伝達し、自宅での予習や資料収集に役立つよう工夫する。

オンライン授業をより効果的に行うために、パソコンを準備することがのぞましい。それと同時に通信機器及び通信環境を整えておくこと。
また配布資料、課題の提出は学習支援システムを通じておこなう。

本科目は「環境科学入門」の代替科目として再履修可能です。ただし、本科目を修得済の場合、「環境科学入門」の代替として履修することはできません。

授業に関する質問やそれに関連する質問などは授業中および授業の前後にうけつける。
それ以外については、随時メールを通じて、対応する。
また、オフィスアワーとして毎週月曜日１５時〜１７時の２時間を設ける。
オフィスアワーを利用する場合は、メールを通じて事前に連絡をとることがのぞましい。

履修の手引き「D.6 専門科目一覧・コース関連科目表」を参照してください。

本科目は、「実務経験のある教員による授業」に該当しません。