人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies

授業の概要
　パリ協定、気候変動問題の事例にも示されるように、なぜ地球環境問題をめぐるグローバルな合意形成は困難に直面するのでしょうか？地球環境問題への解決やSDGsに向けて国際社会が合意し、持続可能な世界を構築するためには、合意形成のメカニズムを理解することが必要となります。
　この講義は地球環境問題をめぐるグローバルな合意形成のメカニズムを対象とし、パリ協定、気候変動問題、SDGs、トランプ政権などの事例をとりあげるとともに、国際関係論、グローバル・ガバナンス論の理論枠組みを理解していくことを目的とする。学生には、地球環境政治をめぐる様々な問題を考え、グローバル市民社会の一員としてSDGｓや持続可能な世界のあり方を考える視座を獲得してもらうことをめざす。

・パリ協定、気候変動問題、SDGsなどを事例に、地球環境問題をめぐる合意形成のメカニズムを国際関係論の視点から理解できるようになる。
・地球環境問題をめぐる国際機構や環境NGO、企業といった様々なアクターの活動が理解できるようになる。
・SDGsやプラスチック汚染など近年の地球環境ガバナンスの課題を理解できるようになる。
・日本やアメリカの地球環境外交を理解できるようになる。
・ヨーロッパやアジアなど地域レベルごとの多様な環境ガバナンスの現状を理解できるようになる。
・グローバル・ガバナンス、地球環境ガバナンスといった国際関係論の視点を理解できるようになる。
・トランプ政権による地球環境政策への影響を理解できるようになる。
・貿易と環境、環境と安全保障といった複合的な問題をめぐる合意形成のメカニズムを理解できるようになる。

ディプロマポリシーのうち、「DP3」に関連

日本語 / Japanese

　この講義では、国際関係論やグローバル・ガバナンスの視点からこの問題にアプローチし、どのようなアクター（国際機構、ＮＧＯ、企業など）がどのような手段（国際レジームなど）で、どのような問題（気候変動問題やSDGsなど）に取り組み、どのような成果と課題があるのかを確認していく。また講義の各論点とSDGsとの関連についても言及し、SDGsに対する理解を深めることができるように配慮する。大学の行動方針レベルの変更に応じた授業形態の詳細は学習支援システムでお知らせします。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：イントロダクション

なぜ地球環境政治論を学ぶのか：人類世、地球の限界

第2回：地球環境ガバナンスの展開

地球環境政治の歴史的展開：国連人間環境会議からSDGsまで

第3回：気候変動ガバナンス（1）

パリ協定などの気候変動ガバナンスの概要

第4回：気候変動ガバナンス（2）

気候変動ガバナンスの新たな展開：気候正義、気候安全保障、ダイベストメント

第5回：地球環境ガバナンスの課題（1）：生物多様性と化学物質管理の問題をめぐるグローバル・ガバナンス

名古屋議定書などの生物多様性や水俣条約などの化学物質管理をめぐるグローバル・ガバナンスの概要

第6回：地球環境ガバナンスの課題（２）：SDGs、プラスチック

SDGsやプラスチック汚染など近年の地球環境ガバナンスの課題を学ぶ

第7回：欧州の環境ガバナンス

先進的な環境政策をとる欧州での環境ガバナンスの展開：規範パワー、排出量取引、再生可能エネルギー、REACH

第8回：アジアの環境ガバナンス

アジア地域の環境ガバナンスの動向：黄砂、酸性雨、PM2.5、煙霧(Haze)

第9回：地球環境ガバナンスにおけるアメリカ

アメリカの地球環境外交：オバマ政権、トランプ政権、バイデン政権、エネルギー政策、環境正義

第10回：トランスナショナルな地球環境ガバナンス（1）

NGOや企業などの非国家アクターの役割：地球環境条約に関わる活動

第11回：トランスナショナルな地球環境ガバナンス（2）

NGOや企業などの非国家アクターの活動の新たな展開：CSR、FSC、MSC、ESG投資など

第12回：地球環境ガバナンスにおける日本の役割

日本の地球環境外交：持続可能な発展、地球サミット、京都議定書、名古屋議定書、水俣条約

第13回：地球環境政治の見方（1）

リアリズムとリベラリズム

第14回：地球環境政治の見方（2）

コンストラクティヴィズム、グローバル・ガバナンス論、パワートランジション

毎回の講義で紹介される資料等を使用して必ず予習・復習をすること。
講義の各項目について理解できるようしておく。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。

佐渡友哲・信夫隆司・柑本英雄編『国際関係論（第3版）』弘文堂、2018年

環境経済・政策学会編『環境経済・政策学事典』丸善出版、2018年
リチャード・E.ソーニア, リチャード・A.メガンク編『グローバル環境ガバナンス事典』明石書店、2018年
竹本和彦編『環境政策論講義』東京大学出版会、2020年
高橋洋『エネルギー転換の国際政治経済学』日本評論社、2021年
亀山康子『新・地球環境政策』昭和堂、2010年
亀山康子・森晶寿編『グローバル社会は持続可能か』岩波書店、2015年
新澤秀則・高村ゆかり編『気候変動政策のダイナミズム』岩波書店、2015年
角倉一郎『ポスト京都議定書を巡る多国間交渉』法律文化社、2015年
小西雅子『地球温暖化は解決できるのか』岩波ジュニア新書、2016年
小西雅子『地球温暖化を解決したい』岩波書店、2021年
太田宏『主要国の環境とエネルギーをめぐる比較政治』東信堂、2016年
宇治梓紗『環境条約交渉の政治学』有斐閣、2019年
蟹江憲史『持続可能な開発目標とは何か』ミネルヴァ書房、2017年
蟹江憲史『SDGs（持続可能な開発目標）』中公新書、2020年
鄭方婷『重複レジームと気候変動交渉』現代図書、2017年
ナオミ・クライン『これがすべてを変える 上・下』岩波書店、2017年
J.リフキン『グローバル・グリーン・ニューディール』NHK出版、2020年
齊藤幸平『「人新世」の資本論』講談社現代新書、2021年
村田晃嗣ほか『国際政治学をつかむ 新版』有斐閣、2015年
中西寛・石田淳・田所昌幸『国際政治学』有斐閣、2013年
大矢根聡編『コンストラクティヴィズムの国際関係論』有斐閣、2013年
三船恵美『基礎から学ぶ国際関係論（改訂版）』泉文社、2015年
大芝亮『国際政治理論』ミネルヴァ書房、2016年
西谷真規子・山田高敬編『新時代のグローバル・ガバナンス論』ミネルヴァ書房、2021年。
今井宏平『国際政治理論の射程と限界』中央大学出版部、2017年
山本吉宣『国際レジームとガバナンス』有斐閣、2008年
鈴木基史『グローバル・ガバナンス論講義』東京大学出版会、2017年
西谷真規子編『国際規範はどう実現されるか』ミネルヴァ書房、2017年

課題類の提出を前提として、期末試験90％、平常点10％で評価する。期末試験については、オンディマンドのため、期末試験はレポートテストになる。平常点については、毎回の小課題の提出とその内容について判断する。小課題のフィードバックについては、学生からのリクエストに応じて授業サイト上で行う。

学生のペースに配慮すること。

講義内容に関わるドキュメンタリービデオを随時用いていきます。
進度により講義内容を変更することがあります。

履修の手引き「D.6 専門科目一覧・コース関連科目表」を参照してください。

本科目は、「実務経験のある教員による授業」に該当しません。