人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies

「持続可能な地域社会」に向けた自治体政策について総合的に検討する。特にグローカルな政策や再生可能エネルギー政策、環境政策統合、SDGs、交通政策、都市の持続可能性リスク、循環型社会の構築など、近年の重要なテーマに焦点を合わせる。この授業の目的は、学生が、「持続可能な地域社会」の創造への自治体の役割や政策型思考について学ぶことである。

学生の到達目標は以下のとおりである。
・「持続可能性」、「持続可能な地域社会」の含意について理解する。
・「持続可能な地域社会」に向けた自治体政策の動向について理解する。
・地域の持続可能性課題の発見や解決に関する政策型思考を身につける。
・地域人（市民、自治体職員、NPO関係者、事業者など）としての知的感受性を養う。

ディプロマポリシーのうち、「DP3」に関連

日本語 / Japanese

授業形態は、配布資料、パワーポイントに基づく講義を中心として、適宜、授業内において、学生とのコミュニケーションを図る。リアクションペーパー（感想や意見）等の提出と応答やミニレポートの提出と講評については、学習支援システムの機能（「お知らせ」「課題」「掲示版」）を活用しながら、授業の冒頭でも言及する。課題提出後の授業、または学習支援システムにおいて、提出された課題からいくつかポイントを取り上げ、全体に対してフィードバックを行う。大学の行動方針レベルの変更に応じた授業形態の詳細は学習支援システムでお知らせします。

※2021年度秋学期における授業の実施形態に即して変更する可能性もある。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：イントロダクション～「持続可能な地域社会」とは？

イントロダクションとして「持続可能性・持続可能な発展」という概念を確認しながら、「持続可能な地域社会」という政策理念について検討する。

第2回：「持続可能な地域社会」の多様性～都市の「変容」と過疎地域の「存続」

「持続可能な地域社会」の社会像の多様性を確認しながら、「変容」と「存続」という２つの方向性を提示する。

第3回：「グローカル」言説を再考する

「グローバルに考え、ローカルに行動する」という政策言説を再考しながら、政策規範として再構成する。

第4回：第3世代の自治体環境政策～地球温暖化の「緩和策」

グローカルな時代における第3世代の自治体環境政策として、地球温暖化の「緩和策」について検討する。

第5回：第3世代の自治体環境政策～地球温暖化への「適応策」

グローカルな時代における第3世代の自治体環境政策として、地球温暖化への「適応策」について検討する。

第6回：地域分散型エネルギーシステムと自治体政策

東日本大震災を契機として全国各地で始まった自治体のエネルギー政策の動向について検討する。

第7回：責任共有の政策論理と自治体政策

「環境ガバナンス」にかかわる多元的な主体（自治体、市民、企業、ＮＰＯなど）による責任共有とマルチステークホルダー・プロセス、地域間の責任共有と自治体間の政策協調・政策連携について検討する。

第8回：持続可能性の多面的構成と「持続可能な地域社会」への政策規範・政策課題

持続可能性の環境的側面、経済的側面、社会的側面などの多面的構成を確認しながら、「持続可能な地域社会」に向けた包括性・統合性という政策規範について、地域における具体的な政策課題とともに検討する。

第9回：「環境政策統合」と自治体政策のイノベーション

「持続可能な地域社会」に向けて多様な政策領域を視野に入れる「環境政策統合」の考え方と、具体的な政策実践について検討する。

第10回：SDGsと自治体政策

国連で採択されたSDGsの自治体政策への反映について検討する。

第11回：「持続可能な都市」への政策動向

「持続可能な都市」に関するヨーロッパの提唱や国内の動向を確認した後、政策実践のケースとして、地域交通政策などについて検討する。

第12回：21世紀における都市の持続可能性リスクと政策的対応

「持続可能な都市」というコインの裏側にある災害や、人口減少社会における「縮小都市」など、長期的な都市の持続可能性リスクとその回避について検討し、空き家対策やコンパクトシティ政策などにも言及する。

第13回：都市と農山漁村の地域間連帯への政策的展望

過疎地域の持続可能性問題を再確認し、都市－農山漁村の地域間連帯の動向とともに、生態系サービスや地域間の相互依存関係をふまえて、今後の政策のありかたについて展望する。

第14回：循環型社会への自治体の政策責任

循環型社会への移行に関する自治体の政策責任と政策展開について検討する。

学生は以下の授業時間外活動を行う（この授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする）。
・講義内容をより深く理解するために配布資料を読む。
・配布資料を参照しながら自らのノートを整理する。
・ミニレポートを作成する。
・参考文献を読む。

特定のテキストは使用しない。

参考文献は、授業中に適宜紹介する。

成績は、論述試験（85％）＋参加姿勢（5％）＋ミニレポート（10％）で評価する。

※2021年度秋学期における授業の実施形態に即して、レポート試験への切り替え等の変更の可能性もある。

・各地の事例について、地方紙の記事をまとめて配布し紹介していますが、最新動向を理解する方法として役立つようです。
・授業全体の構成、内容と分量、進行スピード、配布資料、パワーポイントの活用については、再考しながら継続的に改善を図っていきたいと思います。
・対話型授業を取り入れながら、学生の思考を促す工夫をしていきたいと思います。2020年度については、Zoomのチャット機能をかなり活用し、学習支援システムの「掲示版」を補完的に利用しましたが、2021年度については、授業の実施形態の変更をふまえた対応を検討します。

・基幹科目の「地方自治論」はこの講義の導入的な位置にありますので、合わせて履修することを推奨します。
・ローカル・サステイナビリティコースの他のコースコア科目を合わせて履修することを推奨します。
・ローカル・サステイナビリティコースで履修する学生はもちろんですが、他のコースで学ぶ学生にとっても、地域社会に関するテーマや「持続可能な地域社会」について理解するためには、自治体政策に関する知識は必須です。
・「自治体環境政策論Ⅰ」と「自治体環境政策論Ⅱ」は連続しており、前者から後者への順序で履修することを強く推奨します。

上記の【その他の重要事項】の説明、および履修の手引き「D.6 専門科目一覧・コース関連科目表」を参照してください。