国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications
POL500G1-114(政治学 / Politics 500)異文化社会論ⅠAPerspectives on Diverse Cultures & SocietiesⅠ A
植民地社会と国際関係
今泉 裕美子Yumiko IMAIZUMI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X2012 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 木3/Thu.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
This course will introduce students to understand colonial society consisting of diverse cultural backgrounds under colonial system of international relations. As we focus on Okinawa, students will seek to understand this region through themes include global process of colonization and decolonization, nationalism and identity, militarization as neocolonialism reflecting the complex nature of contemporary global issues. Students will be also familiar with International Studies and Regional Studies.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
植民地社会を、異なる文化をもつ人(及びその集団)同士の関係から捉え、それが国際関係をどう作り出し、支え、変化させ、現代世界を特徴づけているのか、を学びます。本年度は「沖縄」を対象としますが、沖縄に関する理解を深めることに加え、世界の諸地域社会に生じる事象、問題を分析するための視点と方法を学びます。
到達目標Goal
①植民地社会を人の移動、諸運動、くらし、経験などから考察し、これに必要な基本的な概念、理論、思想が理解できる。
②国際関係の展開を、植民地支配体制と地域社会の相互の連関から理解し、現代世界に生起する事象、問題との関係性を分析できる。
③広領域学としての国際関係学(International Studies)、および地域研究の方法を学び、自分の研究にどのようにいかせるかを検討する。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち,「DP1」,「DP2」,「DP3」,「DP4」の達成のために特に重要である
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
①授業はオンラインで行う可能性がある(ただし【その他の注意事項】を確認すること)。レジュメや資料は、教員からの指示に応じて事前に、あるいは授業中にダウンロードして閲覧、視聴する。
②毎回担当者を決め、割り当てられた文献や資料について報告し、議論する。
③自分の研究テーマや専門分野に引き付けて理解する。
④本授業に関連する国内外の情勢、受講生の理解度、関心に応じて授業計画を一部変更することがある。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1:オリエンテーション
授業内容と進め方、注意事項の確認。本授業の目的と内容について受講生の関心を聞き、意見交換する。
2 :沖縄を「植民地」の視点から捉えるとは①
比嘉春潮他『沖縄』(1963年)の「日本人の民族意識と沖縄」、「沖縄に対する異民族観」の内容が、現在いかに変化したのか否か、から考える。
3 :沖縄を「植民地」の視点から捉えるとは②
近代国際関係が東アジアに拡大する過程のなかに沖縄近代史を位置づける。テキスト:恩河尚「沖縄の歴史を読む」
4 :沖縄を「植民地」の視点から捉えるとは③
第二次世界大戦から戦後の国際関係の中で沖縄現代史を位置づける。テキスト:恩河尚「沖縄の歴史を読む」
5 :同化と異化のはざまで
植民地社会における同化と異化の問題、「民族」について、沖縄の人びとの意識から考察する。テキスト:大城立裕「沖縄で日本人になること」
6:中間のまとめ
ここまでの授業の論点を整理し、後半の授業につなげる。
7:沖縄移民と移民社会①
移民社会での沖縄移民のくらしや諸活動から、沖縄近代の経験を理解する。テキスト:『沖縄県史 近代』の「沖縄移民社会」。
8:沖縄移民と移民社会②
沖縄移民の経験と現状を、現代のグローバリゼーションとの関係から理解する。テキスト:新垣誠「グローバル資本主義を問い直す-<世界のウチナーンチュ>と向き合うために」、崎原千尋「コロニアリズムと移民の歴史の交差点-沖縄とハワイ」
9:沖縄戦経験から「平和」を問い直す
沖縄の人びとの戦争経験は沖縄の「植民地」としての経験といかにつながり、平和をどう問い直しているのか、沈黙する/させられた声にも耳を傾けながら学ぶ。テキスト:鳥山淳「基地と抵抗」、宮城晴美「”沈黙の証言”を聴く」
10:「復興」、「開発」から「平和」を問い直す
米軍占領下の「復興」、復帰後の地域振興としてのリゾート「開発」が求めた豊かさという平和を、沖縄社会の変容、住民の自立への模索から考察する。
テキスト:安里英子「「復帰」後の開発問題」、「「沖縄振興開発計画」と住民によるオルターナティブな視点」
11:「沖縄学」から地域研究を考える
明治の半ば頃から始まる、若きウチナーンチュによって沖縄の総合的・体系的な全体像の把握がめざされてきた「沖縄学」から、地域研究の視点と方法を学ぶ。
12:沖縄研究に向かう-沖縄出身者の立場から
沖縄出身者の沖縄研究への取り組みから「地域研究」へのアプローチを学ぶ。テキスト:屋嘉比収「沖縄のアイデンティティーを語ること、そして語りなおすこと-「沖縄研究」の現在について-」
13:沖縄研究に向かう-本土出身者の立場から
本土出身者の沖縄研究への取り組みから「地域研究」へのアプローチを学ぶ。テキスト:鹿野政直「沖縄をめぐる/に発する「文化」の状況」
14:まとめ
本授業の内容を総括する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・【成績評価の方法と基準】に記した内容にそくして予習、復習し、授業には質問や議論したいことをそれぞれ二つ以上用意する。
・本授業の準備・復習時間は、各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
今泉裕美子「沖縄問題」から問う-日本の国際社会認識」羽場久み子他編『21世紀国際社会への招待』有斐閣、2003年。
恩河尚「沖縄の歴史を読む」状況出版編集部編『沖縄を読む』状況出版、1999年。
金富子他編『性暴力被害を聴く-「慰安婦」から現代の性搾取へ』岩波書店、2020年。
財団法人沖縄県文化振興会史料編集室編『沖縄県史 各論編第5巻 近代』沖縄県教育委員会、2011年。
島袋純他編『沖縄が問う 日本の安全保障』岩波書店、2015年。
比嘉春潮他『沖縄』岩波書店、1963年。
比嘉政夫他編『地域の自立 シマの力』コモンズ、2006年。
参考書References
大島美穂他編『「国際化」する地域研究』文化書房博文社、2009年。
百瀬宏『国際関係学』東京大学出版会、1993年。
百瀬宏『国際関係学原論』東京大学出版会、2003年。
Bruce Cumings, "Boundary displacement: Area Studies and
International Studies during and after the cold war," Bulletin of Concerned Asian Scholars, 29:1(1997):E-publication https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/14672715.1997.10409695
その他、随時提示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
基準:①報告者も非報告者も、前回までの授業内容を踏まえ、その回のテキストを適確に理解し、不明な点を調べて参加、②授業では情報提供、意見・質問・論点の提出、ディスカッションの進行などによる貢献、③レジュメの内容と様式、プレゼンの仕方、求められた提出物の内容、により評価する。
配分:授業への参加度・貢献度50%、報告や提出物を総合して50%。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
前年度に担当していないため記入する内容がない。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
・オンライン授業では、パソコンかタブレットを準備することが望ましい。
・オンライン授業ではZoomを使う予定であるが(他を使用する場合はあらためて指示する)、提出物は学習支援システムを通じて提出してもらう。
・動画や画像を配信する場合があるため、有線接続など安定的な接続環境で、通信容量に制限がない状態にしておくのが望ましい。
その他の重要事項Others
・社会情勢の変化、これに伴う大学の方針によって授業形態が変化する場合は通知する。
・およそ30年にわたって行ってきた日本国内、ミクロネシアでの聞き取りを踏まえ、沖縄県県史、市史などの編さん、執筆に関わって来た。また米国議会図書館のNan’yo Collectionや琉球大学付属図書館矢内原忠雄文庫(http://manwe.lib.u-ryukyu.ac.jp/yanaihara/about.html)など複数の機関で、旧南洋群島関係の史料の発掘、整理、公開に関わった。「大文字の歴史」と「小文字の歴史」の関係を、史資料の発掘、分析と同時に、地域住民の経験をどう記録し、歴史として次世代に継承するか、そのための聞き取りの方法、地域外の研究者として地域にいかに関わるのか、から取り組み続けている。この経験に基づく「地域研究」の方法を紹介し、受講生とともに考えてゆきたい。
担当教員の専門分野等
法政大学学術研究データベース http://kenkyu-web.i.hosei.ac.jp/Profiles/18/0001794/profile.html を参照。