連帯社会インスティテュートInstitute for Solidarity-based Society
POL500Q1－306（政治学 / Politics 500）国際労使関係論International and Comparative Industrial Relations
長峰 登記夫、鈴木 玲Tokio NAGAMINE, Akira SUZUKI
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 連帯社会インスティテュートInstitute for Solidarity-based Society |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2021 |
| 授業コードClass code | X9938 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 春学期授業/Spring |
| 曜日・時限Day/Period | 木6/Thu.6 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory | 選択科目 |
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Outline (in English)
This course surveys the history and current state of industrial relations in the United States, Australia and Sweden. The course examines institutional features of industrial relations in these countries and compares them to such features of Japanese industrial relations.
The objective of comparative studies in social sciences is to learn social systems of different countries, and to explore what we can learn from their institutional histories when making a comparison of social systems between Japan and these countries. Here in this course, students will learn industrial relations systems of the three countries (the US, Australia and Sweden). By so doing, they will learn how to analyze problems and issues of industrial relations in Japan from a broader perspective.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
社会科学における外国研究の目的は、その国の社会制度を学ぶこと、それとの比較で、日本の社会制度を考える際にそこから何を学ぶことができるのかを明らかにすることにある。本講ではアメリカとオーストラリア、スウェーデンの３ヵ国の労使関係を対象に、これらの国々の労使関係制度の歴史と現状について学び、日本の労使関係制度が抱える諸問題を考える際の手がかりを得ることを目的とする。
到達目標Goal
本講で対象にする３ヵ国について、１．それぞれの制度的特徴は何かを把握し、２．労使関係制度の背景としてのその国の政治、経済、社会等の諸制度をも含めたトータルな制度理解をとおして、その国の労使関係制度をみることができるようになること、そして、３．それらを日本の労使関係制度と比較するなかで、それぞれの制度のメリット、デメリットを理解し、日本の労使関係制度を客観的に評価できるようになることを目標とする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP2」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
対面授業を中心としつつ、受講生と相談の上、必要に応じてzoom等によるon-line授業も行う。また、受講者数にもよるが、講義を中心としつつ、双方向的な議論を活発におこない、ともに考えながら諸外国および日本の労使関係制度について学ぶ。
課題（レジュメ、レポート等の提出物）について講評する。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回：比較労使関係研究の分析枠組み
比較労使関係の代表的な研究（収斂論、多元主義、逆収斂論）および労使関係の脱制度化について検討する。
第2回：アメリカの労使関係（１）：アメリカ労働運動の初期の歴史（1930年代初めまで）
労働騎士団、AFL、IWW 等の組合組織の結成・発展・衰退の文脈を概観する。経営者が労働運動に対してとった敵対的政策も検討する。
第3回：アメリカの労使関係（２）：産業別組合の発展（1930年代半ば～60年代まで）
ワグナー法制定後のCIOに代表される産業別組合の発展、戦後の団体交渉の範囲をめぐる労使間のせめぎあい、ビジネス・ユニオニズムに基づいた労使関係制度の確立などについて検討する。
第4回：アメリカの労使関係（３）：労使関係制度の衰退（1970年代～90 年代初め）その１
国際競争激化による労使関係の変化、労働運動の衰退について検討する。とくに、80 年代以降経営者が組合に譲歩を求め、さらに組合を潰そうとした事例、そのような政策に対する労働組合の抵抗について具体的事例を通じてみる。
第5回：アメリカの労使関係（４）：労使関係制度の衰退（1970年代～90 年代初め）その２
第4回の内容の続き。
第6回：アメリカの労使関係（５）：労働組合の再活性化努力
AFL-CIO の改革と傘下組合の革新的な組織拡大活動、社会運動ユニオニズムの広がり、およびその限界について検討する。
第7回：アメリカの労使関係（６）：ワーカーズセンター
労働組合組織率が激減するなかで、労使関係制度枠外で活躍する主に移民労働者を対象とする労働ＮＧＯ（ワーカーズセンター）について検討する。
第8回：オーストラリアの労使関係（１）枠組みと特徴
オーストラリアの調整仲裁制度の枠組みと特徴を学び、その歴史的意義について考える。
第9回：オーストラリアの労使関係（２）連邦制（調停仲裁制度）成立以前の労使関係（～1904 年）
植民地政府が統一され、連邦制の下に統一政府が作られ、労使関係では調停仲裁制度ができるまでの歴史的経過について学ぶ。
第10回：オーストラリアの労使関係（３）調停仲裁制度下の労使関係（1904 年～2005年）
約90年続いた調停仲裁制度下の労使関係制度の諸側面について学び、その社会的意義について考える。
第11回：オーストラリアの労使関係（４）調停仲裁制度から直接交渉制へ（2005年～）
1990年代半ば、オーストラリアは伝統的な調停仲裁制度から直接交渉制度（団体交渉制度）に移行したが、その過程およびその後、とくに2005年以降の激変について学ぶ。
第12回：スウェーデンの労使関係（１）スウェーデンモデルの成立以前
スウェーデンモデルとは何かを概観し、それが成立する以前の労使関係についてみていく。
第13回：スウェーデンの労使関係（２）スウェーデンモデルの成立とその特徴、およびスウェーデンモデルのゆらぎ
スウェーデンモデルが世界から「理想型」として見られたが、やがてそれも変化していく過程について学ぶ
第14回：まとめ
3カ国の制度を比較する中から日本の制度を考える
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト（教科書）Textbooks
特定の教科書は使用しないが、事前学習ができるよう文献を講義の前に提示する。
参考書References
田端博邦『グローバリゼーションと労働世界の変容』旬報社、2007 年。
桑原他編著『先進諸国の雇用・労使関係』日本労働研究機構、2000 年。
チャールズ・ウェザーズ『アメリカの労働組合運動―保守化傾向に抗する組合の活性化』昭和堂、2010 年。
Fantasia, Rick and Kim Voss (2004) Hard Work: Remaking the American Labor Movement, University of California Press.
Loomis, Eric (2018) A History of America in Ten Strikes. New York: The New Press.
成績評価の方法と基準Grading criteria
評価はレポート（80%）と平常点（20%）で行う。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
外国語文献の扱いに留意する。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
必要に応じて指示する。
その他の重要事項Others
講義が中心となるが、それ以外にも授業内で双方向の議論を行うため、受講生の積極的な議論への参加が求められる。また、必須ではないが、英語文献を理解できることが望ましい。
担当教員の専門分野等
鈴木 玲
＜専門領域＞労働社会学
＜研究テーマ＞労働運動、社会運動、環境史
＜主要研究業績＞
「企業別組合の公害問題への対応と住民運動との関係―富士市の公害問題を事例として」『日本労働社会学会年報』第30号（2019年）、26～49頁。
「アメリカの労働運動の環境問題への取り組み、環境運動との連携―労使関係の文脈からの分析」『大原社会問題研究所雑誌』（713号、2018年3月）、52～68頁。
"Japanese Labour Unions and Nuclear Energy: A Historical Analysis of Their Ideologies and Worldviews", Journal of Contemporary Asia published on line, 03 May 2016.
"The Changing Relationship between Labor Unions and Civil Society Organizations in Postwar Japan", Development and Society, Vol.44, Number 2, September 2015, pp.219-246.
長峰登記夫
＜専門領域＞労使関係
＜研究テーマ＞日豪の比較労使関係、グローバル化と雇用
＜主要研究業績＞
共著、基礎から学ぶ労働法II（第2判）、エイデル研究所、第1 章、2016年。
共著、労働組合の組織拡大戦略、御茶の水書房、第9章、2006年。
「オーストラリアの労働組合による環境保護運動」大原社会問題研究所雑誌、2018年。
「グローバル人材の就職と人材サービス業」人間環境論集18巻1号、2017年。
「日本人留学生の日本企業への就職事情」労働法律旬報1763号、2012年3月10日号。
「新自由主義下での大学改革－オーストラリア連邦政府による大学労使関係への介入を例にして」人間環境論集9巻2号、2009年3月号。
「オーストラリアの最低賃金」世界の労働57巻11号、2007年11月号。
「規制緩和という名の規制強化～豪州「仕事選択法」の検討から」大原社会問題研究所雑誌584号、2007年7月号。