市ヶ谷リベラルアーツセンター（ILAC）ILAC Course

数学で習得する様々な計算の原理自体は万能なものであるが，それらを実際に活用する段階になると手間がかかることが多い．（例えば，平均値を計算する方法自体は分かっていても，実際に1000人分のデータの平均値を手で計算する機会はない．）その一方で，身の回りにある問題はむしろ大規模になりがちであり，大きな問題こそ答を知りたいという現状がある．こうしたジレンマに対して，コンピュータによって人間の計算力を補い，実生活で直面するような大規模な問題の答を求める技術は重要である．そこで，講義では，様々な分野の中で「数学の原理」と「コンピュータの計算力」を同時に活用する経験を積むことを主な目的としている．

講義では「プログラムの全てを自分で設計・作成すること」までは想定せず，あくまでも用意したプログラムを活用して「出来るだけ多くの事例に基づいて，コンピュータと数理を組み合わせた活用の勘を養うこと」を目標としている．各々の課題で扱う数学やアルゴリズムの内容は独立していて，利用するシステムも様々なものがある．（1つの課題が理解できなくても，次の課題に影響を与えることが少ないことになります．）

各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科：DP3・DP4、法学部・政治学科：DP1、法学部・国際政治学科：DP1、文学部：DP1、経営学部：DP1、国際文化学部：DP2、人間環境学部：DP2、キャリアデザイン学部：DP1

日本語 / Japanese

進度や難易度等は受講生の人数や様子などに応じて柔軟に対応し，状況によっては，より簡単な方向に修正する可能性がある．対面とオンラインのどちらの形式でも取り組めるようにする予定であるが，詳細は学習支援システムで提示する．課題を通して有益な指摘や間違え易い傾向などに気付いた時は，直ちに授業内で紹介して全員にフィードバックできるようにする．

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第01回：導入と準備

プログラムを用いた問題解決をデモンストレーションする．

第02回：計算機と数学(1)

整数の理論を利用して，素数の分布を計算してみる．

第03回：計算機と数学(2)

級数などを利用して，円周率を計算してみる．

第04回：計算機と数学(3)

コンピュータを利用した統計的解析の応用事例を学ぶ．

第05回：行列計算の応用(1)

基礎となる数学として，様々な行列の計算を学ぶ．

第06回：行列計算の応用(2)

今後100年間の日本の世代人口の推移を予測する．

第07回：行列計算の応用(3)

ランダムウォークに基づくシミュレーションを行う．

第08回：行列計算の応用(4)

ディープラーニングへの応用事例を学ぶ．

第09回：線形計画法(1)

線形計画法の例と図形的な解法を学ぶ．

第10回：線形計画法(2)

シンプレックス法の解法とプログラムを紹介する．

第11回：線形計画法(3)

プログラムを利用して経営計画の最適化を行う．

第12回：暗号の数理(1)

基礎となる数学として，Euclid互除法などの計算を学ぶ．

第13回：暗号の数理(2)

公開鍵暗号の特徴とその計算原理を学ぶ．

第14回：暗号の数理(3)

実際にプログラムを通して暗号通信の実験を行う．

練習問題や実験の作業で終わらなかった部分については授業時間外で完成させる必要がある．本授業の準備学習・復習時間は，各2時間を標準とする．

教科書は特に指定しない．

テーマ毎に参考となる文献を講義の中で紹介していく予定である．

授業の内容を確認する機会として練習問題(40%)，計算機実習(50%)を行い，平常点(10%)と共に取り組みを評価する．

普段のコミュニケーションを通して多様な要望を頂いていて，少しずつ内容・難易度の調整に反映している．

受講する上での「予備知識」や「コンピュータの使用経験」は必要ない．（これまでに余り触れたことがない内容だと思うので，高度で細かな部分には踏み込まずに，文系の学生にとって負担なく概要の理解・体験ができれば十分と思っています．実験についても，PCの電源を入れるところから確認しながら気軽に進める予定です．）