市ヶ谷リベラルアーツセンター（ILAC）ILAC Course

スーパーコンピュータから電気製品などに組み込まれているチップに至るまで，コンピュータは現代社会の様々な場面で活用され，我々の生活に深く関わっている．その一方で，多くの利用者にとってコンピュータは一種のブラックボックスであり，その動作原理を身近に触れる機会が十分あるとは思われない．こうした背景を踏まえて，魔法のような処理を可能にする汎用コンピュータの仕組に焦点を当て，「コンピュータの箱の中がどのようになっているか？」「そうした機械的な仕組の上で，形式言語の命令を処理したり，自然言語の意味を分析できるのは何故か？」など数学的な視点を通して解説・実験する．

本講義では「コンピュータの仕組の概要を理解すること」を目標としている．（例えば，電卓とPCの本質的な違いを尋ねられた時，皆さんは直ちに説明できるでしょうか？）その上で，実験を通して「コンピュータ上で言語を処理する幾つかの手法を体験して，その有用性を理解すること」をもう一つの目標としている．（例えば，コンピュータに膨大な量の文章を学習させるだけで「東京−日本＋フランス」の計算結果として「パリ」と答えるようになります．同様に「法政大学−東京＋大阪」の計算結果としてコンピュータは何を答えるでしょうか？）こうした「処理系の違いに依存しない普遍的な原理」を理解することは，実際にコンピュータを使用する上でも様々な場面で恩恵をもたらすこととなる．

各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科：DP3・DP4、法学部・政治学科：DP1、法学部・国際政治学科：DP1、文学部：DP1、経営学部：DP1、国際文化学部：DP2、人間環境学部：DP2、キャリアデザイン学部：DP1

日本語 / Japanese

進度や難易度等は受講生の人数や様子などに応じて柔軟に対応し，状況によっては，より簡単な方向に修正する可能性がある．対面とオンラインのどちらの形式でも取り組めるようにする予定であるが，詳細は学習支援システムで提示する．課題を通して有益な指摘や間違え易い傾向などに気付いた時は，直ちに授業内で紹介して全員にフィードバックできるようにする．

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第01回：導入

PC上でプログラムが動作する様子を観察する．

第02回：計算機の歴史

汎用コンピュータの開発の歴史を解説する．

第03回：機械と形式言語(1)

正規言語を処理する機械的な仕組について解説する．

第04回：機械と形式言語(2)

文書編集で正規言語の選択構文の活用事例を学ぶ．

第05回：機械と形式言語(3)

文書編集で正規言語の繰返し構文の活用事例を学ぶ．

第06回：計算機の理論(1)

チューリング機械の仕組と計算の動作を解説する．

第07回：計算機の理論(2)

万能チューリング機械と現代計算機の関係を解説する．

第08回：現代計算機の構造(1)

コンピュータの演算装置等の構造を説明する．

第09回：現代計算機の構造(2)

2進数，10進数，16進数による正整数の表現を説明する．

第10回：現代計算機の構造(3)

2の補数表現による負整数の表現方法を説明する．

第11回：機械学習と自然言語(1)

Google Colab上でPythonプログラムの実行方法を学ぶ．

第12回：機械学習と自然言語(2)

日本語の文章を品詞に分解する処理を学ぶ．

第13回：機械学習と自然言語(3)

青空文庫の小説を使って機械学習の方法を学ぶ．

第14回：機械学習と自然言語(4)

学習済みモデル用いてシラバスの文章を分析する．

練習問題や実験の作業で終わらなかった部分については授業時間外で完成させる必要がある．本授業の準備学習・復習時間は，各2時間を標準とする．

教科書は特に指定しない．

テーマ毎に参考となる文献を講義の中で紹介していく予定である．

授業の内容を確認する機会として練習問題(40%)，計算機実習(50%)を行い，平常点(10%)と共に取り組みを評価する．

普段のコミュニケーションを通して多様な要望を頂いていて，少しずつ内容・難易度の調整（例えば，機械学習による自然言語処理の内容を多めにするなど）に反映している．

受講する上での「予備知識」や「コンピュータの使用経験」は必要ない．（これまでに余り触れたことがない内容だと思うので，高度で細かな部分には踏み込まずに，文系の学生にとって負担なく概要の理解・体験ができれば十分と思っています．実験についても，PCの電源を入れるところから確認しながら気軽に進める予定です．）