市ヶ谷リベラルアーツセンター（ILAC）ILAC Course

インド初期・部派仏教から大乗仏教への展開：世界観・人生観の変遷
インド仏教は、初期仏教以後、どのように思想的に展開し、どのようにして大乗仏教が起こってきたのか、またその思想展開に応じてどのように世界観・人生観が変化したのか、これらを学びながら、インド大乗仏教が理想とした生き方・人生観とはどのようなものであったのかを考え、理解することを目指します。
（本授業は、初期仏教思想の理解・知識を前提としています。春学期の「仏教思想論A」からの履修を強く勧めます。）

・インド仏教思想の歴史的展開を把握し、初期仏教・部派仏教・大乗仏教それぞれの思想的な特徴と違いを理解する。
・仏教思想はどうして多様化したのか、その理由を理解する。
・初期・部派仏教から大乗仏教にかけて、世界観・人生観が基本的にどのように変化したのかを理解する。
・大乗仏教徒の人生観、特に仏教論理学派や後期中観派が説く人生観のもつ思想的・思想史的意義について考え理解する。

各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科：DP3・DP4、法学部・政治学科：DP1、法学部・国際政治学科：DP1、文学部：DP1、経営学部：DP1、国際文化学部：DP2、人間環境学部：DP2、キャリアデザイン学部：DP1

日本語 / Japanese

大学の行動方針レベルが２となった場合、この授業は原則としてオンラインで行います。詳細は学習支援システムで伝達します。
対面でもオンラインでも授業は講義形式です。毎回、資料を読み、解説する形で授業を進めていきます。
単元終了ごとに、授業内容確認小テストを行います (4 〜 5回実施予定)。
課題等の提出・フィードバックは「学習支援システム」を通じて行う予定。

なし / No

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：序論

この授業について
なぜ仏教思想は多様化したのか？
諸部派成立から大乗仏教へ

第2回：部派仏教（説一切有部）の思想（１）

有部・経量部・『倶舎論』
ダルマの体系（１）：
五位七十五法

第3回：部派仏教（説一切有部）の思想（２）

ダルマの体系（２）：
有為ダルマの二性質

第4回：部派仏教（説一切有部）の思想（３）

物質論
原子（極微）論

第5回：部派仏教（説一切有部）の思想（４）

仏教がとらえる内的世界（心・心作用）
心作用の区分け（６心所）

第6回：仏教の世界観

『倶舎論』が説く世界観
大乗仏教の世界観

第7回：大乗仏教（１）

大乗仏教の教理的特徴

第8回：大乗仏教（２）

大乗諸経典
『般若経』の空思想

第9回：大乗仏教（３）

ナーガールジュナの哲学
二真理説
空・仮・中

第10回：大乗仏教（４）

縁起の思想（１）
外縁起・内縁起
『入楞伽経』
『稲芉経』

第11回：大乗仏教（５）

縁起の思想（２）
縁起二種観察法
『稲芉経』・『稲芉経註』

第12回：大乗仏教（６）

大乗仏教・後期中観思想の人生観1
到達目標・理想的境地・中道

第13回：大乗仏教（７）

大乗仏教・後期中観思想の人生観2
仏陀・経典の権威について

第14回：まとめ・授業内試験

筆記試験
まとめ・解説

本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
授業前学習：テキスト・プリント資料の精読
授業後学習：授業内容の確認、参考文献の熟読

使用テキストや文献資料は学習支援システムで配布します。

佐々木閑著『仏教は宇宙をどう見たか　アビダルマ仏教の科学的世界観』、Dojin選書、２０１３年
桜部健・上山春平著『仏教の思想２　存在の分析＜アビダルマ＞』、角川ソフィア文庫、１９９６年
その他の参考書は、授業毎に指示する。

学期末の授業内筆記試験の成績（６０％）と授業内容確認小テストの成績＋平常点（４０％）により評価します。
授業内筆記試験においては、「到達目標」で掲げた事柄の理解度を試すための問題を課す予定。
試験の評価基準は、仏教の専門用語の意味を正しく理解し説明できているか、問題とする仏教思想・学説を正しく理解し詳しく丁寧に説明できているか、その思想・学説の仏教史・宗教史・哲学史上の意義・価値を正当な根拠でもって評価できているか（恣意的で偏った見方で評価していないか）、仏教思想の展開史を正しく把握しているか、などによります。

初めてインド本来の大乗仏教思想を学び、その人生観等に新鮮な驚きを感じる学生が多いようです。初期仏教より思想内容が高度になりますが、丁寧な解説を心掛けたいと思います。