市ヶ谷リベラルアーツセンター（ILAC）ILAC Course

【小説とその映画化で学ぶ戦後ドイツ】
この授業では、ドイツ語圏の文学作品を、それが原作となった映画と比較・対照しながら読んでいきたいと思います。〈テクスト〉によって作られた文学作品が、〈映像〉というまったく異なるメディアで構成された映画に〈翻訳〉されることは、そもそも可能なのでしょうか？ この〈越境〉によって、何が失われ、何が新たに付け加わっているでしょうか？
こうした問いを考えるために、春学期の授業では、ドイツの現代史をテーマとする小説と、これを原作として製作された映画をあつかいます。文学とその映画化を読み／観ながら、今日のドイツ社会を作り上げた戦後ドイツの歩みについても学んでいきましょう。

ドイツ語圏の文学作品を手掛かりに、テクストの内容を的確に理解し、その内容を相手にわかるように表現することができる。
文学と映画のメディア的差異を把握し、この違いによってどのような効果が生まれているのかを具体的に説明することができる。
ドイツ語圏の文学史・映画史・現代史に対する関心や理解を深める。

各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科：DP3・DP4、法学部・政治学科：DP1、法学部・国際政治学科：DP1、文学部：DP1、経営学部：DP1、国際文化学部：DP1、人間環境学部：DP2、キャリアデザイン学部：DP1

日本語 / Japanese

論及の対象となる文学作品や映画作品の抜粋を紹介したあと、教員がその作品における文化的・メディア的越境についてお話します（講義形式）。
また、文学作品と映画作品の表現の違いについて受講生のみなさんにグループで議論してもらい、その結果を発表してもらう時間も設けたいと思います（演習形式）。
文学作品ないし映画作品について、また講義についての感想や意見についてリアクションペーパーを書いてもらいます。重要な論点を含むものについてはその次の回の講義で取り上げます（フィードバック）。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：オリエンテーション

授業の概要について紹介（「ドイツ語圏」とは？ なぜ〈映画化された文学作品〉をあつかうのか？ など）

第2回：合わせ鏡としての〈文学〉と〈映画〉？――ディケンズ、グリフィス、カフカ

〈文学〉と〈映画〉という異なるメディアのあいだで行なわれる翻訳について

第3回：「第三帝国」期の日常（１）

グラス『ブリキの太鼓』とその映画化について

第4回：「第三帝国」期の日常（２）

「映画化は原作への冒瀆」？――〈文学作品の映画化〉論について

第5回：〈ホロコースト〉を語る（１）

ベッカー『ほらふきヤーコプ』と映画『聖なる嘘つき』

第6回：〈ホロコースト〉を語る（２）

ホロコーストの文学史／映画史について様々な例とともに解説

第7回：愛する人が〈ナチ〉だったら？（１）

シュリンク『朗読者』とその映画化『愛を読むひと』

第8回：愛する人が〈ナチ〉だったら？（２）

戦後世代の「ナチスの過去」との対決について

第9回：ヒトラーで笑っていいかしら？（１）

ヴェルメシュ『帰ってきたヒトラー』とその映画化について

第10回：ヒトラーで笑っていいかしら？（２）

〈ナチス〉映画の系譜――〈悪魔〉から〈凡人〉へ

第11回：旧東ドイツでかすかな潮騒に耳を澄ます（１）

マイヤー「通路にて」とその映画化『希望の灯り』

第12回：旧東ドイツでかすかな潮騒に耳を澄ます（２）

東西ドイツ分裂と再統一をめぐる文学史／映画史

第13回：「脱原発」への序章（１）

パウゼヴァング『みえない雲』とその映画化について

第14回：「脱原発」への序章（２）

ドイツの環境保護運動と文化とのかかわりについて

本授業の準備学習・復習時間は、各２時間を標準とします。
授業であつかう文学作品については該当する箇所を日本語（場合によっては英語）で配布するので、事前に目を通しておいてください。
授業中に映画作品の抜粋を視聴してもらいます。作品全体を観ることは原則的に難しいので、ぜひDVDレンタルや配信サービスなどを利用し、できるだけ自分で作品全体を観るようにしてください。
なお、リアクションペーパーは授業後にオンラインで提出してもらう可能性があります（詳細については授業で説明します）。授業ノートを読み返しながら自分の意見をまとめてください。

必要なテクスト等は授業前後にそのつど配布します。

授業中、もしくは授業前後に適宜紹介します。

平常点（授業への積極的な参加、リアクションペーパーなど）：60％
学期末レポート：40％（提出しない場合は単位の認定ができません）
――なお、授業回数の３分の２以上の出席が単位認定の前提条件となります（ただし、病気などやむを得ない事由により授業を欠席する場合には考慮しますので、医療機関発行の診断書等を提出してください）。

本年度授業担当者変更によりフィードバックできません。

オンライン授業を行なう場合に備え、念のためPCとネット環境を準備しておいてください。

春学期・秋学期をとおした履修を推奨します。
授業の進度により、授業内容が変更される可能性があります。