法学部Faculty of Law

現代資本主義社会の経済活動は、企業によって支えられ、企業の活動は、社会全体に大きな影響力を与えています。現代社会における企業活動には、営利を追求するだけではなく、社会の一員として、労働、環境、消費等に関わる社会的な問題を解決するための行動が求められています。そこで、現代社会が抱える問題に企業が対応する意義や必要性について理解を深めつつ、人権保障の観点から問題を考察する力を身に付けます。「企業・経営と法コース」のコース配当科目③憲法科目に位置づけられます。

①　企業活動における関係当事者の権利を理解する。
②　人権保障の観点から、企業活動に求められる対応や取組みを理解する。
③　法的な観点から問題を把握し、考察する力を身につける。

ディプロマポリシーのうち、「DP4」に関連。

日本語 / Japanese

企業活動における利害関係者の権利を理解したうえで、国内外の具体的な事例について、関連する判例や学説をもとに、講義形式で授業を進めていきます。
授業内で取り組んだ課題等(テスト／レポート)については、学習支援システム等を用いてフィードバックします。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：企業社会の形成と企業の社会的責任

日本型企業社会の特徴と、社会の一員としての企業の責任について学びます。

第2回：企業活動による人権保障の重要性

企業活動における人権保障の重要性について、人権の私人間効力の観点から学びます。

第3回：ステークホルダーの権利と法規範

企業活動に関わる利害関係者として、労働者、消費者、地域住民等の権利について学びます。

第4回：国際社会におけるビジネスと人権

国際法の中でも経済分野に焦点を当て、自由貿易体制の維持と人権保障について学びます。

第5回：環境保護に対する国内外の取組

気候変動や公害の輸出の問題について、環境権の観点から企業活動における環境保護の必要性について学びます。

第6回：長時間労働の是正と過労死等の防止

長時間労働の是正と過労死等の防止の観点から、労働者の権利保障について学びます。

第7回：雇用分野における女性の活躍の推進

雇用分野における男女格差の是正について、ジェンダー平等やポジティブアクションの観点から学びます。

第8回：消費者問題の特徴と消費者の権利

消費者被害の現状を把握し、消費者契約の特徴について、消費者の権利の観点から学びます。

第9回：食品の安全性の確保

消費者の生命権・健康権の観点から、商品・サービスにおける安全性確保の必要性について学びます。

第10回：営利的表現としての広告・表示

営利的表現としての広告・表示について、事業者の表現の自由と消費者の知る権利の観点から学びます。

第11回：AIネットワーク社会における自己決定

プロファイリングに基づくマーケティングの問題点について、消費者の自己決定の観点から学びます。

第12回：ビックデータの利活用と個人情報の保護

プライバシー権の観点から、企業が保有するビックデータの利活用における個人情報保護について学びます。

第13回：巨大IT企業と競争市場の維持

企業が活動する市場に焦点を当て、営業の自由の観点から、巨大IT企業に対する規制について学びます。

第14回：試験(レポート)

授業内容についての試験(レポート)を行います。

その日のうちに配布プリント・資料をもとに復習しましょう。
日ごろから時事問題に関心を持ちましょう。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。

テキストは指定しません。
講義時にレジュメ・資料を配布します。
講義の際には、六法を持参してください。

元山　健・建石真公子編『現代日本の憲法［第2版］』(法律文化社、2016年)
『（別冊ジュリスト）憲法判例百選Ⅰ 第7版』(有斐閣、2019年)
『（別冊ジュリスト）憲法判例百選Ⅱ 第7版』(有斐閣、2019年)
『（別冊ジュリスト）労働判例百選 第9版』(有斐閣、2016年)
『（別冊ジュリスト）環境法判例百選 第3版』(有斐閣、2018年)
『（別冊ジュリスト）消費者法判例百選』(有斐閣、2010年)

各講義の小テスト(40％)、レポート(60％)により評価します。

受講者が能動的に参加できるように、受講者自身が問題と向き合い考える時間(小レポート)を設けます。受講者数によって、グループディスカッション等を行う場合があります。

資料配布や課題提出等に学習支援システムを利用します。