法学部Faculty of Law

授業概要：国際関係論の中で扱われる文化の問題について基本的な理解をしたうえで、歴史的な経緯を追いながら、今日の国際文化関係の基層となっている、国民国家と文化の関係、帝国主義時代の宗主国と植民地の文化関係、脱植民地化の過程で問われてきた文化的依存関係等について、何が不公正であるのか、何が問題であるのかを考える。
授業の目的・意義：国際政治の本質を理解するために、文化という国家のもっとも基礎的な部分を理解し、国際政治・国際関係の動因の重要な要素としての文化が分かるようになる、ことを目的とする。

国際関係論で取り上げられる文化は他の学問領域における文化とは異なり、国際政治に影響を与えるものとしての文化である。その点をまず理解することが必要である。その上で、普遍に捉えられる国際関係に、文化の違いがどのように影響するのかを理解すること。今日の国家間関係の中で文化の問題とされる諸課題の歴史的経緯を理解すること。そこで、何が不公正なのかを理解すること。さらに、国家がどのように文化を国家アイデンティティの表象として用いるのかを理解すること。

ディプロマポリシーのうち、「DP2」に強く関連。「DP1」、「DP3」、「DP4」に関連。

日本語 / Japanese

授業は、Youtubeを使った授業ビデオを事前に見て、授業当日にZoom（オンライン会議アプリ）を用いてオンライン授業を行います。Zoomは無料で簡単にダウンロードできます。詳しくは、授業支援システムの「授業内掲示板」を見てください。事前に、授業支援システムの「教材」に、①すべての回のレジュメ（PDF)および30分ｘ2つ程度のZoomを使った授業録画ビデオを開始の週の日曜日までにアップします。それを予め見て予習の上、時間割通りの時間にZoom授業に参加してください。授業では、主にテーマを与えてグループディスカッションを行います。30～40分程度です。その後、10～15分程度、授業支援システムを使っての小テストを行います。成績評価は小テストの平均値（50％）と期末レポート（50％）とします。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：イントロダクション：国際関係における文化の問題

国際関係という政治経済を中心とする領域において、文化がどのように扱われるのか。

第2回：ナショナリズムと国民国家

国家の成立と文化の関係をナショナリズムの観点から理解する。

第3回：伝統とは何か：伝統の創造

国家と文化の関係において重要な「伝統」の操作について。

第4回：帝国主義と文化政策

国民国家とはことなる帝国における支配政策が被支配民族の文化をどのように扱うのか。

第5回：文化国際主義

国家を超えようとする国際主義は、どのように多様な国際社会の文化を扱おうとするのか。

第6回：近代化へのアンチテーゼ、文化相対主義

帝国主義支配への反省から、人類文化の普遍性に挑戦する文化相対主義の考え方とは何か。

第7回：文化変容の理論、文化触変論

国際交流、異文化接触によって、文化はどのように変容するのか。

第8回：文化帝国主義批判

欧米文化の不当な影響力を批判する文化帝国主義批判とは何か。

第9回：文明の衝突論

ハンチントンの文明の衝突論の内容とそれへの批判。

第10回：原理主義

冷戦後の宗教の重要性と原理主義の国際社会への影響を考える。

第11回：欧米諸国の対外文化政策

国家が文化を用いて対外政策を組み立てるという観点から、欧米諸国の外交における文化の位置づけを考える。

第12回：日本の対外文化政策

明治以降の近代日本は、どのように外に対して自らの文化を表象してきたのか。

第13回：地域形成のための域内文化協力

EU統合に見られる新しい欧州人アイデンティティ形成に向けてのEU文化政策とは何か。

第14回：ユネスコと文化政策

世界遺産登録というユネスコの人類規模の文化政策はどのような意味があるのか。

授業の各回で参考文献を紹介するので、関心のあるテーマについて、自ら進んで勉強を進めること。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。

テキストは定めない。

参考文献は授業の各回にレジュメで示す。

授業の参加50％、レポート50％。（レポートは1回） 。授業への参加は、第1回を除いて、小テストを行い、その点数の平均とする。遅刻の場合は、小テストの点数を半分とするので、遅刻しないように。レポートは、授業の中盤で課題を示す。参考文献を最低1冊読んで、課題について自分の意見をまとめる。提出は授業支援システムを利用。
小テストの採点については、簡単なコメントをつける他、次の回の授業の際に、共通の問題点（減点の理由）を解説し、また高得点の回答の内容を紹介するなど、フィードバックを行う。

該当なし。

なし。

なし。