スポーツ健康学部Faculty of Sports and Health Studies

スポーツビジネス論Ⅲでは企業がスポーツに協賛するスポンサーシップについて学ぶ。受講者はスポーツとスポンサーシップの密接な関係性の分析およびスポンサーシップの戦略的販売方法の学習をとおして、スポーツ組織がスポンサーを獲得する仕組みについて理解を深める。

本授業の到達目標は以下のとおりである：

（1）スポーツスポンサーシップの定義を説明できる。
（2）スポーツスポンサーシップにおいて協賛企業が期待できる効果を説明できる。
（3）スポーツスポンサーシップにおいてスポーツ組織が期待できる効果を説明できる。
（4）スポンサー企業と協賛対象の間の整合性とその関係性に応じたアクティベーション・プログラムの重要性を説明できる。
（5）スポーツ組織と協賛企業の双方にとって有益かつ持続可能なスポンサーシップ契約の企画書を作成することができる。

ディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」「DP4」「DP5」「DP6」「DP7」に関連

日本語 / Japanese

　授業は講義形式であり、授業で用いるパワーポイントスライドの配付資料は学習支援システムにアップロードしてあり、各自でダウンロードし、印刷する。また、受講者はグループに分かれてスポンサーシップの企画書を作成する。
　新型コロナウイルス感染拡大などの社会情勢により、授業計画、授業の方法、成績評価の方法を変更する可能性がある。

あり / Yes

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：スポーツスポンサーシップの基礎的理解

スポーツスポンサーシップの定義、誕生および発展の背景、現在の市場規模について学習する。

第2回：スポンサーシップの種類

企業がスポーツに協賛する代表的なものとして、チーム、リーグ、選手、試合、施設を取り上げ、それらのスポンサーシップの事例および特徴について学ぶ。

第3回：スポンサーシップを通じたマーケティング活動

スポーツスポンサーシップを通じたマーケティング活動について、スポーツ組織と協賛企業の両方の視点から理解する。

第4回：スポンサーシップにおける消費者の意思決定過程

スポーツイベントの参加者や観戦者が協賛企業を認知し、興味を抱き、実際に製品やサービスを購入するまでにはいくつかの段階がある。ここでは消費者の意思決定過程に着目し、スポンサーシップの効果について考える。

第5回：「スポンサーシップ」対「広告」

スポンサーシップにおける企業の宣伝活動は間接的かつ支援的であるのに対し、広告における企業の宣伝活動は直接的かつ説得的である。こうした違いを学ぶとともに、スポンサーシップが発展してきた背景についても広告との違いから理解する。

第6回：アスリート・エンドースメント

プロスポーツや国際試合で活躍する選手は使用しているスポーツ用品の推奨者としての役割を持つ。彼らは試合以外の場面でも、車、腕時計、嗜好品などを推奨している。今回はアスリートが製品を推奨するエンドースメントについて学ぶ。

第7回：スポンサーシップにおける整合性

企業のイメージが協賛するスポーツ関連の対象のイメージと一致している度合いのことを整合性と呼ぶ。本授業では整合性の種類、役割、高め方などについて学習する。

第8回：スポンサーシップのアクティベーション

スポンサーシップを活性化させ、効果を高める工夫のことをアクティベーションと呼ぶ。今回の授業ではアクティベーションの概念、種類、特徴を、スポンサーの種類と併せて理解する。

第9回：スポンサーシップにおけるプラットフォーム

スポンサー企業が同業種の競合相手から差別化を図り、マーケティング目標を達成するためは、どのようなプラットフォームを選ぶべきかという問題について理解を深める。

第10回：スポンサーシップの企画書

スポーツ組織が企業に協賛を提案する際に作成する企画書の構成、内容、注意点について学び、実際にグループに分かれて企画書の作成に取り掛かる。

第11回：価格設定

企業がスポーツ組織に支払うスポンサー権料は露出方法、アクティベーションの度合い、契約年数などによって異なる。ここではスポンサー権料の価格設定について学ぶ。

第12回：スポンサーシップの評価：メディア露出と認知度

スポンサーシップは寄付ではない。企業は支払ったスポンサー権料に対してマーケティング目標の達成を期待する。本授業ではこの費用対効果を説明する評価方法について、特にメディア露出と認知度の形成の観点から学ぶ。

第13回：スポンサーシップの評価（イメージ、購買への影響）およびソーシャルスポンサーシップ

スポンサーシップの評価について、イメージの向上と購買行動の観点から学習する。授業の後半ではスポーツへの協賛活動を通じて社会問題の解決するソーシャルスポンサーシップについて理解を深める。

第14回：アンブッシュマーケティングへの対応

スポンサーシップ契約を正式に結んでいない企業が、特定のイベントに関連づけて商業活動を行うことを「アンブッシュマーケティング」と呼ぶ。ここではスポンサーシップの倫理的問題と対応策について学習する。

授業時間外の課題として、企画書の作成を行います。同じ班のメンバーと協力して企画書を作成してください。本授業の準備学習・復習時間は各 2 時間 を標準とします。

特になし（毎回、資料を配付する）。

仲澤眞・吉田政幸（編著）（2017）よくわかるスポーツマーケティング．ミネルヴァ書房．
Howard, D. R., & Crompton, J. L. (2004) Financing sport (2nd ed.). Morgantown, WV, Fitness Information Technology, Inc.
Mullin, B.J., Hardy, S., & Sutton, W.A. (2007). Sport marketing (3rd ed.). Champaign, IL: Human Kinetics.

学期前半の内容に関する小テスト：30点
期末テスト：40点
スポンサーシップの企画書の作成：30点
合計：100点

【企画書の評価基準】
スポーツ組織の紹介、スポンサー権のリスト、スポンサーのマーケティング目標などを含む10項目のそれぞれについて、以下の5段階で評価し（5点×10項目=50点）、30点満点に換算する：

1点：授業の内容を踏まえている
2点：授業の内容を踏まえ、キーワードを正しく使いながら説明している
3点：授業の内容を踏まえ、キーワードを正しく使うとともに、自分たちの独自の視点が加えられている
4点：授業の内容を踏まえ、キーワードを正しく使うとともに、自分たちの独自の視点が加えられており、課題に対して合理的な説明が展開されている
5点：授業の内容を踏まえ、キーワードを正しく使うとともに、自分たちの独自の視点が加えられており、さらに課題に対して合理的な説明を行い、論旨を明確に伝えることができている

受講者がリアクションペーパーに記入した質問に対してフィードバックするとともに、双方向の授業となるよう授業中に議論の機会を作るようにします。企画書の作成では余裕をもって準備できるように計画的に支援します。

マイクロソフトオフィスを使用できるノートパソコン、タブレット端末など

配布資料に沿って授業を行います。2週目以降は事前に指定された読み物を読んできてください。