スポーツ健康学部Faculty of Sports and Health Studies

我が国のスポーツ政策の動向と、諸外国のスポーツ政策を学んだ上で、平成23(2011)年制定の「スポーツ基本法」に基づき、平成24(2012)年に策定された「第1期スポーツ基本計画」及び平成28(2016)年に改定された「第2期スポーツ基本計画」における具体的施策について習得する。加えて、文部科学省（スポーツ庁）及び地方公共団体のスポーツ施策・事業への反映状況やスポーツ団体の動向等について学ぶ。また、平成27(2015)年のスポーツ庁創設に伴い、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、経済産業省、外務省等などのスポーツ関連政策の総合的な推進等に関する行政方針について学ぶ。さらには、コロナ禍により2021年に延期された東京オリンピック・パラリンピック（以下、東京オリパラ大会）や2022年に延期されたワールドマスターズゲームズ2021関西などのメガスポーツイベントの準備状況等を観察しながら、成功に向けた政策課題について学ぶ。

国及び地方公共団体のスポーツ振興施策が、これまでどのような経緯をたどり、現状に至っているかを学ぶことにより、行政が推進するスポーツ施策の課題を把握する。特に、スポーツの社会的装置である「ひと」「もの」「かね」にどのように反映され、今後、どのような政策に重点を置くべきかを習得する。「ひと」は、スポーツ指導者、組織運営者、政策立案及び執行者等、「もの」は、スポーツ施設、設備等の在り方、「かね」は、事業を執行するための予算、スポーツ施設の管理・運営の手法などを学ぶ。また、東京オリパラの開催に向けた取組を通じて、大会後のレガシー実現を目指すスポーツ政策の在り方を考える。今後、受講生が、教育職や行政職をはじめとする、スポーツ関連の職域において活躍することができる基礎的知識を習得することを目標とする。

ディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」「DP4」「DP5」「DP6」「DP7」に関連

日本語 / Japanese

スポーツ政策に関する経緯、法令や制度等の基本的知識を踏まえつつ、発信される国や地方公共団体の調査結果（意識調査、需要調査、測定調査等）や政策方針（審議会答申、通達・通知、予算要求等）を適時とらえて解説する。さらに、日本スポーツ振興センター(JSC)、日本スポーツ協会(JSPO)、日本オリンピック委員会(JOC)、日本障がい者スポーツ協会(JPSA)、各競技団体(NFs)等のスポーツ統括団体やスポーツ団体から発出されるスポーツ推進方策や時事問題（インテグリティ、不祥事等）を解説するとともに、社会的な貢献事例（教育支援、災害復興、地域貢献、国際評価等）に関連する報道等を活用して授業を進める。なお、時事的な情報や問題発生により講義内容の変更や順序の変動があり得る。

あり / Yes

なし / No

秋学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

1：ガイダンス

本授業の位置付けや意義、重要性の解説及び授業進行や評価方法等に関する説明

2：我が国のスポーツ政策の変遷と国及び地方公共団体のスポーツに関する振興計画等

我が国のスポーツ政策の経緯と諸外国のスポーツ政策（ユネスコのスポーツ憲章、ドイツのゴールデンプラン等）

3：「スポーツ基本法」と「スポーツ基本計画(第１期・第２期）にみる主要提言と政策課題　

文部科学省の政策（審議会答申、立国戦略、基本計画等）、地方公共団体の政策（審議会答申、地方スポーツ推進計画等）

4：公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)の設立経緯と事業構造

我が国におけるスポーツ界の構造とスポーツ統括団体としての役割・任務、展開する事業を解説

5：総合型地域スポーツクラブの育成と社会的効果

我が国の地域スポーツクラブ政策の流れ、総合型クラブの登録・認証制度の意義、クラブに対する中間支援組織の現状

6：国際オリンピック委員会(IOC)オリンピック憲章に基づく2020東京オリパラの開催と検討課題

オリンピズムの根本原則に基づくオリパラ開催の意義、東京2020組織委員会の主な活動内容、大会後のレガシー創出の課題

7：スポーツイベント、スポーツツーリズムによる地域活性化、経済効果

国民体育大会の価値、各種競技大会や市民マラソン大会の開催、ワールドマスターズゲームズ2021関西開催の意義、国際競技大会の誘致、スポーツツーリズムの活用

8：障がい者スポーツ政策とパラリンピック開催に関する現状と課題

障がい者スポーツの動向、障がい者スポーツ指導者・団体の現状と課題、パラリンピックの政策課題

9：新しい時代にふさわしいコーチング・コーチの確立、公認スポーツ指導者養成制度の改定

スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議（タスクフォース）を踏まえたコーチング環境の改善・充実に向けた取組、モデル・コア・カリキュラムの内容

10：運動部活動の現状と課題、部活動指導員の制度化、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン

部活動指導員と活動日数、活動時間の制度化が及ぼす効果と取組好事例の考察

11：一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)の設立と検討課題

UNIVAS（日本版NCAA)創設に係る検討の経緯、設立理念・社会的意義、その役割と将来像

12：子供のスポーツ機会の確保

子供の体力・運動能力の現状と課題、スポーツ機会の確保における問題点

13：スポーツ・インテグリティの確保

スポーツ団体におけるガバナンス・コンプライアンスの強化、「スポーツ団体ガバナンス・コード」に基づくスポーツ・インテグリティの確保に向けた取組内容

14：授業内テストの実施

すべての資料を持込み不可とし、講義テーマの重要点の理解度を確認する記述式テストを実施

スポーツ政策は、国（文科省をはじめ厚労省、国交省、厚労省、経産省、外務省等）や地方公共団体（都道府県、市区町村）及びスポーツ関係団体（JSPO、JOC、JSC、各NF等）から発信される政策、施策、答申、提言、通達・通知、調査結果、研究等に関する情報等を、報道や組織のＨＰ等で常にチェックしていること。
2021年度は、特に、東京オリパラ関連の情報を常時確認すること。本授業の準備学習・復習時間は各 2 時間 を標準とします。

授業時に、適時、スポーツ政策、スポーツ行政に関する報道記事や資料を配布し、講義を進行する。

文部科学省、スポーツ庁のＨＰ（法改正、審議会答申、有識者会議、通達・通知、年度予算等）、都道府県のスポーツ所管課（教育委員会・知事部局）のＨＰ（条例、審議会答申、長期計画、ガイドライン、年度予算等）
「よくわかるスポーツマネジメント」柳沢和雄他　編集（ミネルヴァ書房）
公益財団法人日本スポーツ協会のHP（主要事業）
「スポーツ白書」「スポーツライフデータ」笹川スポーツ財団発行
笹川スポーツ財団のHP（研究調査、政策提言、研究レポート）

授業中に配布した資料等は持込み不可とする。講義テーマの重要点の理解度を確認するために記述式の授業内テストを実施する。成績評価の方法は、毎回の講義に対する集中度や理解度を問い、その平常点に３０％、最終講義日に設定する授業内テストに７０％を評点化し、その評点の合計点が６０点以上を合格とする。

授業内テストの結果やプレゼンテーション、ディベートなどを踏まえて、講義内容が学生の理解水準に合っているかを確認し、逐次改善していく予定である。

授業時に、パワーポイントやＤＶＤを使用する。

本科目は、社会科学の分野であり、例えば、行政・政策の変動や社会的な問題の発生など、重要な時事問題等の発生により、講義の順序や内容の変更があり得る。