法務研究科Law School

・この講義では，倒産法（倒産処理法とも呼ばれる。）を学修する。特に清算型手続に関する基本法である破産法に関する基礎的な概念，規律及び手続についての学修を行い，修得することを目的とする。なお，倒産法の「基礎」を扱うとはいえ，破産手続に関する規律について詳細に扱う予定であるため，相応の学習が要求される点につき留意されたい（倒産事件を法律実務家として扱うために要求される「基礎」の修得を目的とするものだと理解されたい）。

・破産手続の手続構造を理解し，かつ，個々の規律を条文に即して説明することができる。
・破産法における実体的規律について，条文に即して基本的な規律の趣旨，要件等を具体例に即して適切に説明することができる。

ディプロマポリシーのうち、「ＤＰ６」に関連

日本語 / Japanese

・教材として一定の範囲毎に講義ノートを配布し，各回，受講生の十全な予習を前提に，「読み切り形式」で講義ノートの該当範囲の講義を行う。併せて，適宜，事例や設問に関する質疑応答を行い，受講学生との双方向における議論を通じて，受講学生の理解を深める。
・各回の講義の初めに，前回の講義に関して学習支援システム上で提出されたリアクションペーパーの内容を採り上げて，全体に対してフィードバックを行う。

なし / No

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：倒産法序論，破産手続・再生手続の概要

倒産法の基本的な考え方，倒産処理法制の全体像及び破産手続・再生手続（破産免責手続を含む。）の概要を検討する。

第2回：破産手続の開始

破産手続開始申立てから破産手続開始決定に至るまでの手続，特に保全措置，破産手続開始原因及び破産手続開始の効果について検討を行う。

第3回：破産者・裁判所・破産管財人と破産財団

破産手続において登場する利害関係人及び機関として，破産者，裁判所，破産管財人及び破産財団を扱う。

第4回：破産債権・財団債権，取戻権（１）：破産債権の要件

破産債権の概念とその要件，種類について扱う。

第5回：破産債権・財団債権，取戻権（２）

財団債権の概念とその処遇，種類，取戻権について扱う。

第6回：破産債権の届出・調査・確定；係属中の訴訟手続・強制執行等

破産債権の届出・調査・確定に関する手続について。さらに破産手続開始時において係属している各手続（訴訟手続，強制執行手続等）の処理に関する規律について扱う。

第7回：破産債権に対する配当，破産手続の終了；個人債務者の免責等の手続

破産債権に対する配当の種類や手続，破産手続の終了に関する規律について扱う。
個人債務者に関する免責制度の理念，免責手続に関する規律，復権制度について扱う。

第8回：物的担保（１）―破産手続における別除権の意義・範囲・行使

破産手続における物的担保の処遇に関する規律として，別除権の意義，範囲及びその行使の在り方について扱う。

第9回：物的担保（２）―破産手続における別除権行使に対する破産管財人の対処

破産手続における物的担保の処遇に関する規律として，別除権行使に対する破産管財人からの対処の在り方について扱う。

第10回：人的担保

主たる債務者が破産した場合の債権者及び保証人に関する規律につき，いわゆる開始時現存額主義を中心に扱う。

第11回：未履行契約処遇に関する一般原則と各種契約における特則

双方未履行双務契約の処遇に関する破産手続及び再生手続における一般原則と各種契約（賃貸借契約，雇用契約，請負契約等）におけるその特則について検討する。

第12回：相殺権

破産手続における相殺の位置付けについて確認した上で，破産手続における相殺権行使の要件，その方法等，相殺禁止の規律について扱う。

第13回：否認権（１）：否認権の意義と目的，基本型，否認権の行使

破産手続開始後の法律行為に関する規律を概観した上で，破産手続における否認権制度の意義と目的について検討し，基本型である詐害行為否認と偏頗行為否認の概要について，さらに否認権行使に関する規律について扱う。

第14回：否認権（２）：各種の否認類型，否認権の行使

詐害行為否認と偏頗行為否認を中心とする各種の否認類型に関する各規律について扱う。

・授業時間外の学習（予習・復習のほか，発展学習）に関する一般的な指示は，初回講義冒頭のガイダンスで行うほか，適宜，各回の講義の進行に応じて行います。併せて，予習用教材を配布するとともに，及び講義ノートにおいて下記に掲げる参考書の該当箇所を指摘します。したがって，各自の予習復習の際にしっかりと読み込んでおいて下さい。
・なお，本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。

・講義は，教員の配布する講義ノート及び予習復習用教材を用いて進めます。
・使用する教材等は，全て「法政大学学習支援システム」においてPDFファイルとして配布します。必ず受講前に各自で教材を準備して下さい。

・講義の予習復習用の教材として，まず，下記の参考書を指定します（どちらでも構いません）。予習用教材及び講義ノートでは，これらの参考書該当箇所を指摘しますので，各自の予習復習の際にしっかりと読み込んでおいて下さい。
　山本和彦『倒産処理法入門』（有斐閣，第5版，2018年）
　中島弘雅＝佐藤鉄男『現代倒産手続法』（有斐閣，2013年）
・本格的な体系書又はコンメンタールとして，適宜，下記を参照することを推奨します。
　伊藤眞『破産法・民事再生法』（有斐閣，第4版，2018年）
　伊藤眞ほか『条解破産法』（弘文堂，第3版，2020年）
・判例集として，下記を指定しておきます。
　松下淳一＝菱田雄郷編『倒産判例百選〔第6版〕』（有斐閣，2020年〔予定〕）

・期末試験100％により評価する。なお，成績評価に際しては，上記の到達目標が指標となる。

該当なし

なし