デザイン工学部Faculty of Enginneering and Design

自然系の河川・地下水，人工系の上下水道など，水圏に発生する流れを科学的に記述するための基礎学理を習得し，その応用例を学ぶ．水理学1及演習で学んだ内容をさらに深く理解するとともに地下水理学・乱流解析・次元解析・相似則を学ぶ．解析原理を理解するとともに各テーマに関する演習を通して工学的諸問題への適用方法を学ぶ．

陸水域の様々な流れに関する水理解析が，実際の河川・地下水管理にどのように適用され，工学的意義を有しているかを理解する．各種水工学的諸問題の解決に必要な数理解析能力を育むことを目標とする．

• （Ａ）歴史・文化・自然の理解・尊重:
• （Ｂ）技術者倫理:
• （Ｃ）工学基礎学力:
• （Ｄ）専門基礎学力:20％
• （Ｅ）専門知識の活用・応用能力:60％
• （Ｆ）総合デザイン能力:20％
• （Ｇ）コミュニケーション能力:
• （Ｈ）継続的学習能力:
• （Ｉ）業務遂行能力:

デザイン工学部都市環境デザイン工学科ディプロマポリシーのうち、「DP4」に関連

日本語 / Japanese

河川・地下水など陸水の流れを解析するために必要な基礎知識体系を講義する．水理学Ⅰ及演習で説明を割愛した水理学諸問題に用いる基礎方程式を誘導して科学原理と工学的応用とのつながりを理解し，応用力を高める（地下水理学を除き水理学Ⅰ及演習と同じテキストを用いる）．さらに，実際の技術的課題と基礎学理との関係を理解できるように，実務上の事例を紹介するとともに演習を織り交ぜながら水理学の応用性・適用性を体感する．また，水理学を構築した科学者・技術者の人物像を紹介し，今日の水理学体系に至るまでの経緯を知得する．基礎方程式によっては解析できないような複雑な水理現象については，水理模型実験が有効であることを理解し，そのために必要な相似則・次元解析を修得する．ほぼ全ての水理現象が乱流であることから，乱流理論の基礎とこれを理解するための演習を実施する．演習は授業時間内に終了してレポートを提出する．2021年度についてはリアルタイムの遠隔授業を実施する．

なし / No

なし / No

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

1：静水力学の基礎

学習教育目標の確認．授業の進め方．テキスト紹介．静水力学の基礎方程式，平面・曲面に作用する水圧，圧力の水平・鉛直成分，浮力の解析方法

2：静水力学の応用

ダム・浮体の安定性の解析，アルキメデスの原理，水中構造物の水圧解析とそれらの演習

3：完全流体力学の基礎

連続方程式と速度ポテンシャル，運動方程式とベルヌイの式の関係，完全流体と実在流体．流体のエネルギー収支

4：完全流体力学の応用

流線と等速度ポテンシャル線とその応用に関する演習，ベルヌイの式の応用（ピトー管，ベンチュリー管）とその演習

5：開水路水理学の基礎

開水路流の動力学，開水路流一次元解析における連続方程式と運動方程式・運動方程式とエネルギー保存式の関係，水面形方程式，開水路の断面諸元（径深，断面積，潤辺長），水面形方程式の特異点条件と限界流，ベス・ベランジェの定理，常流，射流，平均流速公式，マニングの式，セジーの式

6：開水路水理学の応用

開水路等流におけるH-Q関係，逐次近似法による等流解析，断面諸元・せん断力の解析とその演習

7：管路水理学の基礎

管路流と開水路流の比較，管路流のエネルギー収支，摩擦損失係数，局所損失エネルギーの解析方法，管路流における流量の解析，エネルギー線，動水勾配線

8：管路水理学の応用

管路水系におけるエネルギー損失，流量の解析方法とその演習

9：地下水理学の基礎

地下水の現状と役割，地下水を取り巻く諸問題（地盤沈下，地盤汚染），ヘンリー・ダルシーの活動，ダルシーの法則，地下水の存在形態（飽和帯と不飽和帯，自由地下水と被圧地下水），透水係数，定水位・変水位透水試験，現場透水試験，実流速と見かけ流速

10：地下水理学の応用

井戸理論（被圧・自由地下水），変水位法による透水係数の求め方，Thiemの方法，堤体の浸潤線，パイピング，ドレーン工，河川堤防の破堤事例，沿岸部の塩水くさび

11：次元解析・相似則の基礎

模型と実物，水理模型実験，レイリーの次元解析，バッキンガムのπ定理と次元マトリックス，フルード・レイノルズの相似則，ひずみ模型

12：次元解析・相似則の応用

流体中の構造物に作用する流体力解析・粒子の沈降解析とそれらの演習

13：乱流理論の水理学への応用

乱流研究の歴史，乱流の定義と概念，自然界における乱流，レイノルズ応力，プラントルの運動量輸送理論とカルマン定数，対数流速分布，滑面乱流，粗面乱流，粗滑遷移領域と壁面摩擦係数，対数流速分布則，ブラジウスの1/7乗則，円管乱流，開水路乱流，乱流理論に関する演習

14：授業の総括と学力確認

水理学2の総括と学力確認

予習として水理学Ⅰ及演習の講義資料・演習・宿題などを復習する．テキスト（水理学Ⅰ及演習と同一）と授業中の配布資料を復習し，演習問題の結果を自己分析する．身近な水工施設と授業で学んだ水理学的課題との対応関係を意識して，水理学の応用性・有用性を認識する．
本授業1回あたりの準備学習・復習時間はそれぞれ2時間を標準とします。

水理学（土木・環境系コアテキストシリーズ），竹原幸生，コロナ社，2012年，

授業中に配付する資料，適宜紹介する参考書など

静水力学，完全流体力学，開水路水理学，管路水理学，地下水理学，次元解析・相似則，乱流理論の各水理解析手法への理解度，水理学が陸水域の様々な流れや河川・地下水管理にどのように応用されてどのような工学的意義を有しているかに関する理解度を評価する．
演習レポート（30%）と期末試験（70%）により総合評価する（遠隔授業の場合には期末試験の代わりに各自が作成した学習メモなどを通して学力確認をする場合がある）．100点満点に換算した上，60点以上を合格とする．欠席４回以上の場合には単位取得を認めない(評価Ｄ)．

乱流に関する講義は水理学Ⅰ及演習で講述していない基礎方程式の展開部分を多く含むため，教材を簡素化して乱流現象の理解に重点を置いた講義内容に変更する．演習では学生と教員とのコミュニケーションを重視して理解促進を図る．

ほぼ毎回，演習を実施するので，関数電卓（場合によってPC）を持参すること（携帯電話の電卓機能を使用することは不可）.

水理学Ⅰ及演習（必修）と本授業をともに履修することによってはじめて他大学で開講されている水理学系科目の履修水準に達することから，本授業の履修を推奨する．