法務研究科Law School
LAW500A2（法学 / law 500）経済法ⅡAnti-Trust Law II
石岡 克俊Katsutoshi ISHIOKA
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2023 |
| 授業コードClass code | V4191 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 火5/Tue.5 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
| 配当年次Grade | 2～ |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | 選択 |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory |
展開・先端科目群 展開 |
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Outline (in English)
Based on the accurate understanding of the system of antitrust law currently occupying the central position of Japan's economic law and the various provisions constituting it.
In order to solve problems, we aim to acquire applied skills to guide practical and reasonable problem solving.
Before each class meeting, students will be expected to have read the relevant chapter(s) from the text. Your required study time is at least four hours for each class meeting.
Grading and evaluation will be based on the content of the assigned report (30%), the degree of proactivity and contribution to the class (20%), and a written examination (50%) conducted during the examination period.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
本講義は、現在、わが国経済法の中心的地位を占める独占禁止法の体系や、それを構成する諸規定の正確な理解を踏まえ、現実に生起した/生起している経済上・競争上の問題に対し、実践的かつ妥当な問題解決を導く応用力の習得を目指している。
到達目標Goal
受講生諸氏が、本講義において取り扱う素材（下記参照）を通して、経済法的な思考と応用可能な分析力や理論構成力を習得することが目標である。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「ＤＰ６」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
本年は、公正取引委員会が独占禁止法の解釈運用について公表しているガイドラインを素材として、その内容を検討して行く。「経済法I」でもガイドラインの主要なものについては取り扱うが、ガイドラインそれ自体を検討の対象とすることで、ガイドラインが策定された意図や背景、参考となった判決・審決、策定後の判決等への影響など、今後も独占禁止法の理解に大いに役立つと考える。各素材については、担当者を決め、30-40分程度の報告をしてもらう。その後、報告者及び講師から指摘された論点について受講者全員で議論する。提出された課題については、授業内で講評する。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：イントロダクション
独占禁止法におけるガイドラインの意義について説明を加えたあと、担当者の割り振りを行う。
第2回[対面/face to face]：流通・取引慣行GLの検討（パート1）
テーマ：垂直的制限に関する考え方と違法性の判断基準（「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」はじめに・第１部（1〜3）〔pp.1-8〕）
第3回[対面/face to face]：流通・取引慣行GLの検討（パート2）
テーマ：再販売価格維持行為（「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」第１部第１〔pp.9-13〕）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・66事件「再販売価格の「拘束」と公正競争阻害性」〔第一次育児用粉ミルク（和光堂）事件〕
・67事件「間接の取引先に対する拘束」〔日産化学工業事件〕
・68事件「再販売価格・値引き表示・並行輸入品取扱いの制限」〔ナイキジャパン事件〕
・69事件「再販売価格の拘束と「正当な理由」」〔ハマナカ毛糸事件〕
第4回[対面/face to face]：流通・取引慣行GLの検討（パート3）
テーマ：非価格制限行為（パート１）（「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」第１部第2（1〜3）〔pp.14-18〕）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・65事件「専売店制の公正競争阻害性」〔東洋精米機製作所事件〕
・72事件「販売地域の制限」〔富士写真フイルム事件〕
・73事件「全農による系当外ルートによる供給制限」〔全国農業協同組合連合会事件〕
・74事件「農協による直売用農産物の出荷先制限」〔大分大山町農業協同組合事件〕
第5回[対面/face to face]：流通・取引慣行GLの検討（パート4）
テーマ：非価格制限行為（パート2）（「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」第１部第2（4〜6）〔pp.18-22〕）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・70事件「横流し禁止・中古品取扱制限の公正競争阻害性」〔ソニー・コンピュータエンタテインメント（SCE）事件〕
・71事件「対面販売義務の公正競争阻害性」〔①資生堂東京販売事件，②花王化粧品販売事件〕
・75事件「広告における価格表示の制限」〔ジョンソン・エンド・ジョンソン事件〕
第6回[対面/face to face]：流通・取引慣行GLの検討（パート5）
テーマ：取引拒絶（「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」第2部第2及び第3〔pp.30-36〕）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・51事件「原盤権の利用許諾拒否と共同の取引拒絶の共同性」〔着うた事件〕
・52事件「特定工法からの排除と共同の取引拒絶」〔ロックマン工法施工業者事件〕
・53事件「低額運賃を抑制する共同の取引拒絶」〔新潟タクシー事件〕
・54事件「提携契約の解約と単独の取引拒絶」〔東京スター銀行事件〕
・55事件「安売り業者に対する間接の取引拒絶」〔松下電器産業事件〕
第7回[対面/face to face]：流通・取引慣行GLの検討（パート6）
テーマ：並行輸入の不当阻害（「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」第3部第2〔pp.40-43〕）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・68事件「再販売価格・値引き表示・並行輸入品取扱いの制限」〔ナイキジャパン事件〕
・83事件「輸入総代理店による並行輸入阻害」〔星商事事件〕
・84事件「輸入品取引の妨害」〔ヨネックス事件〕
第8回[対面/face to face]：排除型私的独占GLの検討（パート1）
テーマ：私的独占の排除行為（「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」はじめに、第1、第2（「排他的取引」および「供給拒絶・差別的取扱い」）〔pp.1-7,pp.11-17,pp.21-26〕）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・7事件「排除型私的独占の要件」〔NTT東日本事件〕
・8事件「排除効果と人為性」〔JASRAC事件〕
・9事件「乳業メーカーによる競争者の集乳活動の排除」〔雪印乳業・農林中金事件〕
・10事件「共同のライセンス拒絶による競争者排除」〔ぱちんこ機製造特許プール事件〕
・12事件「リベート提供の排除行為該当性」〔インテル事件〕
第9回[対面/face to face]：不当廉売GLの検討
テーマ：不当廉売（「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」〔全〕、「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」第2（「商品を供給しなければ発生しない費用を下回る対価設定」）〔pp.7-11〕）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・11事件「差別的廉売による競争者排除」〔有線ブロードネットワークス事件〕
・59事件「原価割れ料金と『正当な理由がないのに』の判断」〔都営芝浦と畜場事件〕
・60事件「業務提携関係がある場合の原価の算定」〔中部読売新聞社事件〕
・61事件「供給に要する費用を著しく下回る対価」〔①シンエネコーポレーション事件、②東日本宇佐美事件〕
・62事件「不当廉売における原価の基準」〔ヤマト運輸郵政公社事件〕
第10回[対面/face to face]：排除型私的独占GLの検討（パート2）
テーマ：抱き合わせ（「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」第2（「抱き合わせ」）〔pp.11-21〕、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」第１部第2（7）〔pp.22-23〕）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・63事件「表計算ソフトと他のソフトの抱合せ」〔日本マイクロソフト抱合せ事件〕
・64事件「アフターマーケットにおける抱合せ」〔東芝昇降機サービス事件〕
第11回[対面/face to face]：企業結合GLの検討（パート1）
テーマ：企業集中（企業結合）（「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」第1）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・44事件「結合関係の認定」〔広島電鉄事件〕
・45事件「水平型企業結合（１）」〔新日鉄合併事件〕
・46事件「水平型企業結合（２）」〔新日鐵・住金合併事件〕
・47事件「水平型企業結合（３）」〔JAL・JAS事業統合事件〕
・48事件「非水平型企業結合（１）」〔ASML・サイマー経営統合事例〕
・49事件「非水平型企業結合（２）」〔ヤフー・一休株式取得事例〕
・50事件「企業結合規制における経済分析の利用方法」〔ファミリーマート・ユニーグループ経営統合事例〕
第12回[対面/face to face]：排除型私的独占GL（パート3）および企業結合GLの検討（パート2）
テーマ：市場支配力の形成・維持・強化（「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」：第１公正取引委員会の執行指針および第3一定の取引分野における競争の実質的制限および「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」第2〜第6）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・2事件「一定の取引分野」〔シール談合刑事事件〕
・3事件「一定の取引分野、競争の実質的制限（１）」〔多摩談合（新井組）事件〕
・4事件「一定の取引分野、競争の実質的制限（２）」〔東宝スバル事件〕
・5事件「公共の利益」〔石油価格協定刑事事件〕
・6事件「正当化理由」〔日本遊戯銃協同組合事件〕
第13回[対面/face to face]：優越的地位の濫用GLの検討
テーマ：優越的地位の濫用（「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」）
検討事例：『経済法判例・審決百選（第2版）』別冊ジュリスト234号（2017年10月）より
・76事件「融資先に対する金融商品の購入強制」〔三井住友銀行事件〕
・77事件「納入業者に対する経済上の利益の強要」〔ローソン事件〕
・78事件「加盟店に対する見切り販売の制限」〔セブン-イレブン・ジャパン事件〕
・79事件「優越的地位の濫用に対する課徴金」〔日本トイザらス事件〕
・80事件「納入業者に対する押し付け販売・従業員の派遣要請等」〔山陽マルナカ事件〕
第14回[対面/face to face]：事業者団体GLの検討
テーマ：事業者団体の禁止行為（「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」
検討事例：エアーソフトガン事件【百選45事件】東京地裁平成9年4月9日判決、平成5年（ワ）第7544号損害賠償等請求事件、判例時報1629号70頁
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
ガイドラインの該当箇所の読み込みと事前に配布する論点ペーパーへの解答準備。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト（教科書）Textbooks
テキストの解説によらず、どの回にあってもガイドラインの本文に直接当たってもらう。
参考書References
予習には、菅久修一編著『独占禁止法』（商事法務）、金井貴嗣『独占禁止法』（青林書院〔絶版〕）、金井貴嗣=川濱昇=泉水文雄編著『独占禁止法』（弘文堂）、根岸哲=舟田正之『独占禁止法概説』（有斐閣）を上げておく。
成績評価の方法と基準Grading criteria
担当した報告の内容（30%）、授業における積極性・寄与度（20%）、試験期間中に実施する記述式試験（50%）によって採点・評価を行う。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
肯定的なコメントをいただいたので、引き続きハンドアウトや解説教材の作成に取り組み、講義の充実に努めたいと考えている。