文学部Faculty of Letters
LIT200BD（文学 / Literature 200）英米文学特殊講義ⅡTopics in English and American Literature II
宮川 雅Tadashi MIYAKAWA
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2023 |
| 授業コードClass code | A2966 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 火3/Tue.3 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 市Ｙ‐Ｙ７０２ |
| 配当年次Grade | 2～4 |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 他学部公開科目Open Program | ○ |
| 他学部公開（履修条件等）Open Program (Notes) | 2～4 |
| グローバル・オープン科目Global Open Program | |
| 成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
| 成績優秀者の他学部科目履修（履修条件等）Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | 2～4 |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| SDGsCPSDGs CP | |
| アーバンデザインCPUrban Design CP | |
| ダイバーシティCPDiversity CP | |
| 未来教室CPLearning for the Future CP | |
| カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
| 千代田コンソ単位互換提供（他大学向け）Chiyoda Campus Consortium | |
| カテゴリーCategory | 英文学科 |
| 他学科公開科目 | ○ |
| クラスGroup | |
| 昼夜表記Day or Night |
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Outline (in English)
Students learn to carry to a higher level the skillful analysis of language and text, by (participating in) close reading of Edgar Allan Poe's gothic fiction and "tales of ratiocination." Students also obtain knowledge about literary gothicism and about its developments.
[Objective] The principal objective of this class is to obtain a historical perspective of "mystery" in American literature, mainly through the consideration of tales by Edgar Allan Poe, who, while a gothic story-teller, originated the genres of science fiction and detective fiction.
[Learning activities outside of classroom:] Before/after each class meeting, students are expected to spend 2 hours respectively to understand the course content.
[Grading Criteria/Policies:] Overall grade in the class will be decided based on the following: in-class contribution [positive participation] (30%),final report [paper] (70%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
≪ゴシックから推理小説・SFへ――ポーを中核にしてミステリー属の文学を考える≫
おもてだった営みとしては、「(近代）探偵小説の父」と呼ばれるEdgar Allan Poe (1809-49) の推理小説を読む。探偵オーギュスト・デュパンを主人公とした「モルグ街の殺人事件」「盗まれた手紙」「マリー・ロジェの謎」の３篇のほかに、「お前が犯人だ」、暗号解読の物語「黄金虫」（以上5篇が通常ポーの推理小説とされる）、さらに、探偵小説のメカニズムを考えながら「群集の人」と「アッシャー家の没落」を、マボット版全集を使用して読む。
それと並行して、ドロシー・セイヤーズやハワード・ヘイクラフトやラッセル・ナイなどの古典的な探偵小説論を読んで歴史的・構造的な視野を得るいっぽう、18世紀にイギリスでおこったゴシック小説がポーの時代（まで）にどのように変容しえたのかを考え、さらに20世紀のたとえばトマス・ピンチョンやポール・オースター、さらに（突飛を承知の上で）フラナリー・オコナーといったＳＦ的ないし探偵小説的ないしゴシック的作家に、「ミステリー」の感覚はどのようにつながっているのかを考えてみたい。それは、ボルヘスの短篇「アル・ムターシムへの接近」の言葉を使うなら「探偵小説のメカニズム」と「神秘主義の底流」がどのようにアメリカ文学の中にあるかを考えることになるのではないか、と思う。また、「神秘」「秘義」が「秘密」「謎」に、ちょうど magic が魔術から奇術・手品に格下げないし人間化されたように、意義が変わるのが近代だとすれば、そのような時代における mystery の意味を、アメリカ文学との関係で考えることになるのではないかとも思っている。
到達目標Goal
①ゴシック・ロマンスの主題や方法についての概観的知識を得ること。
②ポーの "tales of ratiocination" を概念的に理解すること。
③ゴシックの変容について歴史的理解を得ること。
④ポーを読む楽しみを味わうこと。
⑤「ミステリー」の幅を考えられるようになること。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
特殊講義として、文学史では語れない突っ込んだ議論を、いくつかのテーマに即してポーの探偵小説を中心にしつつもゴシック小説をあわせて読むことで、おこなっていく。
歴史的背景的文化的知識についても語る。
授業で提出されたリアクションペーパーなどにおけるコメント・質問へは、そのうちのいくつかを取り上げ、全体に対してフィードバックをおこない、議論に活かします。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]：イントロダクション——ボルヘス「アル・ムターシムへの接近」
プロローグ／テクストと参考文献について
第2回[対面/face to face]：短篇作家の出発
"Metzengerstein"; "Berenice" ほか初期短篇／ゴシックの流行とポーの選択
第3回[対面/face to face]：解かれるミステリーと解かれないミステリー――「アッシャー家の没落 The Fall of the House of Usher」(1839)とテクストの重層性
デュパン以前の代表作を読み、ゴシック的超自然と推理小説のメカニズムについて考える／この超自然小説と見える作品を推理小説的に読む批評を考える
第4回[対面/face to face]：「群衆の人 The Man of the Crowd」(1840)
ワルター・ベンヤミンによって探偵小説の原型として有名になったこの都市小説をポール・オースターと比べてみる
第5回[対面/face to face]：「モルグ街の殺人The Murders in the Rue Morgue」(1841)
この最初の探偵小説の出版100年を記念して書かれたハワード・ヘイクラフトの『娯楽のための殺人』(1941) を紹介する。
第6回[対面/face to face]：「モルグ街の殺人」(1841)その２
テクストの精読／詩人批評家リチャード・ウィルバーのポー論を紹介する。
第7回[対面/face to face]：「マリー・ロジェの謎 The Mystery of Marie Roget」(1842)
現実のニューヨークの事件に基づいて作家ポーが推理を展開し、通好みかもしれないけれども長くていちばん読まれない「マリー・ロジェの謎」――タイトルに mystery が入るが超自然について否定的な言葉がある――を読む。
第8回[対面/face to face]：「盗まれた手紙 The Purloined Letter」(1844)
デュパンもの第３作「盗まれた手紙」のテクストの精読／double の問題を考える。
第9回[対面/face to face]：「黄金虫 The Gold-Bug」(1843)
テクストの精読／暗号解読とエジプト学・神聖文字／フランスの批評家ジャン・リカルドゥーによる暗号解読的読み
第10回[対面/face to face]：「おまえが犯人だ Thou Art the Man」／ラッセル・ナイを読む
「盗まれた手紙」と同じ1844年の11月に発表された「『お前が犯人だ』」をさらっと読む／アメリカ大衆文化論の古典 Russell Nye,The Unembarrassed Museのなかの探偵小説の章を読む 。
第11回[対面/face to face]：ポーと科学と擬似科学
ゴシック・探偵小説・ＳＦ／ロマン主義と超自然
第12回[対面/face to face]：ドロシー・セイヤーズのアンソロジー序文／20世紀の「思想」状況
３冊の探偵小説・恐怖小説アンソロジーを編んだイギリスの学者作家Dorothy Sayersの序文を読む。３つの序文の原文を配る。
第13回[対面/face to face]：アメリカ現代作家とポー
トマス・ピンチョン『競売品49の叫び』ほか
第14回[対面/face to face]：まとめ――「ミステリー」をあらためて考える
エピローグ――『秘義の発生』（カーモド）、『秘義と習俗』（オコナー）
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
この授業の標準的な予習・復習時間はそれぞれ２時間です。作品を積極的に読んでいただきたい。できるだけ（翻訳でもよいので）作品を読む、そのことに予習２時間復習２時間割けるなら、授業はそれなりに注意深く聞く（聴く）だけでよい（というくらいです）。
テキスト（教科書）Textbooks
Thomas Ollive Mabbott 編の Collected Works of Edgar Allan Poe をプリントもしくは電子媒体で配布する。翻訳も配れるだけ配る。
参考書References
初回にポー作品の注釈書などのリストを提示する。折に触れて参考書（研究書・論文など）を示す。教室での配布資料は、作品テクストとともに、また配布できない資料とともに Hoppii の「教材」になるべく蓄積するようにしたい。
成績評価の方法と基準Grading criteria
期末ペーパー（70パーセント）と授業への積極的参加度――抜き打ち小テスト、アンケート、リアクションペーパーなど（30パーセント）。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
学生の議論への参加を考えてみようとは思いますが、きほん熱く語るしかないかな、と考えています。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
オンラインでおこなう場合があるので、Zoom のための機器とインターネット接続環境を準備していただきたい。