人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies
SSS300HA(社会・安全システム科学 / Social/Safety system science 300)災害政策論Theory of Disaster Policy
中川 和之Kazuyuki NAKAGAWA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | C2227 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 木5/Thu.5 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 市G‐G401 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 環コア:ロ |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | ○ |
SDGsCPSDGs CP | ○ |
アーバンデザインCPUrban Design CP | ○ |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | ○ |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(一般・総合型選抜、編入学試験入学者)Category |
展開科目 コースコア科目/コース連環科目 |
カテゴリー(社会人RSP入試入学者)Category |
展開科目 社会・地域関連科目群 |
カテゴリー(2022年度以前)Category (~2022) |
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Outline (in English)
【Course outline】
1.To learn about the major disaster of Japan,and sympathize with a victim of disaster.
2.To learn the disaster prevention and mitigation policy that was made based on past disaster experience from the past to the present,and understand its aim and achievement degree.
3.Many students will face the Nankai Trough Earthquake,and inland earthquakes such as the Tokyo metropolitan earthquake, and the super typhoons. College students, who will be government officials, teachers, business people, and households, will consider what disaster policies are needed to minimize the damage of future disasters.
【Learning Objectives】
1. Understand what a disaster is by learning from actual examples.
2. Understand the background and development of current policies and the remaining issues.
To think about the ideal form of national and local disaster policies in the future.
4. To discover how to apply their own expertise as a party in Japan, a disaster-prone country, and put it into practice in society in the future.
【Learning activities outside of classroom】
Students are expected to review the materials introduced in each lecture and prepare for the next week's topic using the Internet and related materials. As you take this class, I would like you to be interested in information and news related to disasters on a daily basis. Disasters that occurred during this period will also be discussed in class. Outside of class time, students will be asked to submit worksheets and reports related to disasters in their respective regions using the learning support system. The estimated time for preparation and review for this class is 2 hours each. In addition, it is recommended that students conduct their own fieldwork for the assigned reports.
【Grading Criteria /Policy】
Normal evaluation (evaluation of understanding of class content through tests and reaction papers on the learning support system): 40%, worksheets and reports for in-class assignments: 20%, final exam (exam report): 40%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
歴史時代から現代まで繰り返されてきた災害から多くの経験を学び、人々の悔しさに共感したうえで、これら災害経験に基づいて作られて来た災害政策を学び、その狙いと達成度を理解する。
そして、多くの学生たちが直面することになる南海トラフや首都直下の地震、スーパー台風の被災を最小限に留め、この日本で幸せに暮らすために必要な災害政策のあり方を共に考え、これから行政職員や教育者、企業人、社会人となるものとして、なすべきことを深く考える。
到達目標Goal
①災害とは何かを、実例から学んで理解する。②現状の政策の背景と発展の経緯、残る課題を理解する。③今後の国・自治体の災害政策のあるべき姿を考える。④災害大国日本における当事者として、自らの専門性にどう生かすかを見出し、今後の社会での実践につなげる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP3」「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業は豊富な映像記録などを使って、過去から現代までの災害の実像を紹介。災害対応と経験を踏まえて作られて来た災害政策・制度を、講師の実体験やインタビュー結果から深く学び、これまで得てきた常識を疑うことができる知識を身につけられるように進める。これらの学びを、毎回リアクションペーパーとして学習支援システムに記入する。次の授業の冒頭に、前回のリアクションペーパーを振り返り、問題意識を共有して進める。1回目の授業では、災害対策の悩ましさを理解するためのゲームを行い、その後も自ら考えるワークシートやグループディスカッションなども行って学びを深める。教室の対面でも密を避けるためにZoomも利用する。課題提出後の授業、または学習支援システムにおいて、提出された課題からいくつかポイントを取り上げ、全体に対してフィードバックを行う。大学の行動方針レベルの変更に応じた授業形態の詳細は学習支援システムでお知らせします。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:イントロダクション。講師の自己紹介、この講義の狙い・概要の説明
災害とは何か? 災害から守るべきこととは何か、なぜ災害政策が求められるのか、歴史も踏まえて概説。なぜ失敗が繰り返され、「想定外」という言葉で語られてしまうのか。講師からの問題意識を投げかけるとともに、最後に災害時に向き合うジレンマを実感する行政職員の実体験を元にしたゲーム「クロスロード」も体験し、社会での役割りに応じて災害に備えておくことの意義を考える。
第2回[対面/face to face]:自然現象と災害=社会的な制度を考える前提としての理科1
地球の46億年の歴史の中では新参者である日本列島。肥沃な大地と風光明媚な景観は、すべて過去の自然現象=人がいたら災害と言われる現象によって形づくられている。私たちが、なぜ災害で被災をしてしまうのかを考える上で、災害をもたらす大地の働きのメカニズムが、どこまで分かって、何が分かっていないのかのベースを押さえる。学生諸君の出身地や身近な場所についての簡単なワークシート作成を課題とする。
第3回[対面/face to face]:身近な景観と災害=理科2
事前課題で取り組んできたワークシートを元に、それぞれ近い地域の学生同士で相互にプレゼンを行い、グループで語りあう。その場で、スマホやpad、PCなどで調べながら、それぞれが身近な景観がどのような自然現象によって作られてきたかを考察。紹介したさまざまな地図からどのようなことが読み解けるかを知る。GW期間中に取り組む、地元の土地の成り立ちを知るレポートの課題を出す。この課題は、最後のレポートにも必須となる。
第4回[対面/face to face]:3つの大震災と伊勢湾台風=阪神大震災前まで
日本の災害対策を大きく変えてきた関東大震災、伊勢湾台風、阪神大震災、東日本大震災とは、どのような災害だったのか、当時の映像などを豊富に紹介し、具体的なイメージを持つ。そして、その時にはどのような政策が実行され、何が課題とされたか。その後、教訓で作られた災害の政策が、どのぐらい浸透しているのかを確認し、なぜ、教訓が活かされていないかを考える。まず、関東大震災、伊勢湾台風と1995年の阪神大震災の直前までを取り上げる。
第5回[対面/face to face]:3つの大震災と伊勢湾台風=阪神大震災とその後
日本の災害対策を大きく変えた阪神大震災とはどんな災害だったのか。改めて当時の映像などを紹介し、起きたことを振り返る。その時にはどのような政策が実行され、何が課題とされたか。を考える。その後、東日本大震災直前まで積み重ねられてきた災害対策について確認する。
第6回[対面/face to face]:3つの大震災と伊勢湾台風=東日本大震災
東北地方太平洋沖地震は、どうして東日本大震災という大災害になってしまったのか。すべてが「想定外」だったのか、どういう備えが足りずに被害が拡大したのかなどを振り返る。また、当時の自らの体験・行動を振り返り、共有をする時間も持つ。
第7回[対面/face to face]:東日本大震災後の災害政策の今=これからの備え=「己」がどこまで分かった政策なのかを考える
南海トラフの地震や想定首都直下地震、巨大化する台風など、今後経験させられる可能性がある自然災害が、政府や専門家がどう想定しているかを知る。東日本大震災後になって、基本法に不可欠な理念が加わった災害対策基本法の大改正など、災害の政策が、どのぐらい浸透しているのかを確認し、まだ整理されていない課題は何か、災害を想定した私権制限はどこまで許容されるのかなどを考える。
第8回[対面/face to face]:近年の火山噴火災害から、課題を考える
登山シーズンの日中という最悪のタイミングで極小規模な水蒸気噴火をした御嶽山、警戒していた地点と異なる場所から噴火して犠牲者を出した草津・本白根の噴火、観測史上初めての小規模な噴火が起きた箱根山、危険な火砕流が発生しながら避難しきった口之永良部島、噴火現象は起きなかったが大量のマグマが地表付近まで貫入した桜島。ここ数年の噴火災害に立ち向かった首長たちから直接聞き取った経験談を共有し、政策課題について具体的に考える。
第9回[対面/face to face]:近年の地震災害から、課題を考える
2019年山形県沖地震、2018年北海道胆振東部地震、大阪北部地震、2016年熊本地震や2016年鳥取県中部地震など、近年の地震災害について、映像などで被害状況などを振り返りながら、2度の震度7に立ち向かった首長たちから直接聞き取った経験談を共有し、政策課題について具体的に具体的に考える。
第10回[対面/face to face]:近年の風水害から、課題を考える
令和2年7月豪雨、2020年7月豪雨や台風10号、2019年台風15号や19号(東日本台風)、2018年西日本豪雨や台風21号、2017年九州北部豪雨や2016年台風10号、2015年9月関東・東北豪雨などの豪雨災害・台風災害について、映像などで被害状況などを振り返りながら、洪水に立ち向かった首長たちから直接聞き取った経験談を共有し、政策課題について具体的に考える。
第11回[対面/face to face]:災害報道・災害情報
かつて、災害情報と言えば、行政や専門機関が警報や避難情報を出し、それが人々に届きさえすれば良いと考えられていた。しかし、人々が適切な行動を取るためには、日ごろから情報の意味の理解が必要である。災害報道が、大ネタとしてのニュースを伝えるだけの役割からどう脱却するのか。SNSなどの身近なメディアをどう活かすか自分事として考える。政府の災害被害を軽減する国民運動の一環として取り組まれている「TEAM 防災ジャパン」のサイトや、中央省庁や自治体がいざというときに情報を共有する新しいシステムの現状などについても学ぶ。
第12回[対面/face to face]:市民防災・ボランティア
この国で避けられない自然災害を前に、市民やボランティアの役割とは何か。地域のコーディネーターであるべき自治体の役割とは何か。自主防災組織の過去の経緯や現状を知り、ご近所の自治会町内会、マンション管理組合などの地縁組織の役割とは何をすべきか。自らの弱点を知り、助けを受け入れる受援力を鍵に、ボランティアについての歴史的経緯と現代、これからの役割もともに考える。
第13回[対面/face to face]:災害と恵み・防災教育・ジオパーク
自然には恩恵と災害の二面性がある。恐怖の訴求だけでは、継続して災害への備えを続ける意欲を持ち続けるのは難しい。大地の変動を地域の人たちが語り継ぐ「ジオパーク」の活動が日本でも始まった。自分の地域が嫌いになったり考えたくなくなる脅しの防災の限界を見据え、防災教育やジオパークなどの活動の現状を知ることで、危険性だけを強調するのではなく、この国の災害文化を背景にした、防災文化・減災文化の展望を考える。
第14回[対面/face to face]:試験レポート
「地域防災計画の課題発見」のレポートを元に、授業時間中に試験(レポート)を書いてもらう。これまでの授業資料やワークシートの持ち込みや、その場でスマホやPC、何でも持ち込んでもOK。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
毎回の講義で紹介される資料等を使用して復習をし、次週のテーマを元に、関連する情報をインターネットや関連資料などを基に予習をすること。この授業を受ける以上、日ごろから災害に関連する情報やニュースに関心を持っておいて欲しい。期間中にあった災害についても授業内で取り上げていく。授業時間以外で、自らの出身地などの災害に関連したワークシートやレポートを、学習支援システムも活用して提出が求められる。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。課題レポートでは学生自身でのフィールドワークも推奨される。
テキスト(教科書)Textbooks
授業で使うプレゼン資料は、毎回の授業前、学習支援システムに掲載する。
参考書References
授業の中でも課題とするが、自らが住んでいる自治体や出身地の自治体の地域防災計画(その地域で地区防災計画があればそれも)は必須。内閣府の防災情報のページや被災自治体のホームページから学ぶものは多い。
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常評価(学習支援システムでのテスト・アンケートを使ったリアペで授業内容の理解を評価)40%、授業中の課題ワークシート・レポート評価20%、期末試験(試験レポート)評価40%。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
災害時のジレンマを実感するゲーム「クロスロード」を実施するほか、Zoomのブレイクアウトルームやチャットの活用でディスカッションの時間を持ちたい。また毎回のリアクションペーパーを活用し、問題意識が共有できないまま進まないようにしたい。できるだけ、映像資料を豊富に使い、具体的に災害をイメージしてもらうことを意識する。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
オンライン参加の場合はパソコンが望ましい。講義室で参加する場合も、スマホを使うこともある。
その他の重要事項Others
試験レポートの作成時には、時間内であればどういう資料を参考に書いても良い。
実務経験のある教員による授業
通信社記者として、1984年の長野県西部地震や1995年の阪神大震災などを取材。2005年から2011年まで主に自治体の防災施策を支援するメディアの「防災リスクマネジメントWeb」編集長。取材していた災害救助法の制度見直しに、厚生省の関係委員会の委員として関与した以降、政府や自治体で災害法制度を見直すための委員会委員などを務め、災害対応に当たった市町村長らの悩みを聞き取って共有するお手伝いをするなど、災害政策の現場における課題解決に取り組む。現在は内閣府の「TEAM防災ジャパン」のアドバイザー。子どもたちと地震や火山を学ぶワークキャンプを、地震学会として20世紀から実践。災害をもたらす大地の営みの恩恵も理解するプログラムのジオパークの審査員を10年以上担当。これらの経験を踏まえ、現実としての災害政策のあるべき姿を、受講者の学生と共に考えていきたい。