国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
PHL200GA(哲学 / Philosophy 200)フランス語圏の文化Ⅰ(思想)Cultures of the French-Speaking Community I
大中 一彌Kazuya ONAKA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | C0942 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 火2/Tue.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 市BT‐0605 |
配当年次Grade | 1~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | ○ |
アーバンデザインCPUrban Design CP | ○ |
ダイバーシティCPDiversity CP | ○ |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | |
毎年・隔年Frequency | 隔年開講 |
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Outline (in English)
[Course outline]
This course offers students an introduction to 17th century French thought, highlighting links with literature, theater, architecture, and science. Students will read excerpts of texts and view films and paintings to get an idea of this historical period that the French often call "The Great Century" (Grand siècle). The 17th century was "great" not only because the Kingdom of France was at the peak of its power under the reign of Louis XIV, but also because philosophers like Blaise Pascal made insightful observations about the tragic nature of the human condition ("Man is only a reed, the weakest in nature; but he is a reed that thinks."). Proficiency in French is not required for this course but written assignments and oral participations in Japanese will be required.
[Learning Objectives]
1. Gain an overview of representative works of French thought and culture of the 16th and 17th centuries through the reading of the texts in each session.
2. Foster the ability to identify, without stereotyping, the themes contained in the characters and works of each text.
3. Develop each student's own ideas about the relationship between power and justice, and between religious fanaticism and violence.
[Learning activities outside of classroom]
(a) No preparation is required.
(b) Students may be asked to write comments on the class.
(c) Students who wish to contribute topics related to the class content other than (b) will receive points for their active participation. Please paste the text or link to the designated LMS (Learning Support System-Hoppii's Discussion Board or Google Classroom's Stream > Comments).
(d) The study time required for preparation and review of this class will be the time needed to study the materials and videos presented and to do (b) and (c) above. Since this is a class for diverse students with different proficiency levels in Japanese and other languages, a uniform length of time will not be specified, but in accordance with the Standards for the Establishment of Universities, the preparation and review time for each 2 credit lecture and seminar should be at least 4 hours per session.
[Grading Criteria]
(a) Class participation (50%)
(b) Active participation such as speaking outside the scope of the course (40%)
(c) Others (cooperation in administration and pointing out mistakes of the instructor) (10%)
* Based on this grading method, those who have achieved at least 60% of the achievement objectives for this class will be considered to have passed the class.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
[授業の目的]この授業では、17世紀を中心とするフランスの思想や文化をめぐり、いくつかの作品を概観します。この時代は、その後、グローバルに広がっていく近代社会の基本的な枠組が ― よくも悪くも ― 西ヨーロッパにおいて形づくられた時代です。この時代についての知識を得て、考えを深めることは、受講者自身がさまざまな文化に関して抱いている価値観を、より奥行きのある、洗練されたものにしていくのに役立ちます。
[授業の概要]
※世界史以外を受験のさいに選んだ人を念頭に置きつつ、基礎知識を補う意味で、やや長めに「授業の概要」を以下に記述します。
・デュビィ&マンドルー『フランス文化史』Ⅱによれば、17世紀前半のフランスは、ひとりの人間にたとえるなら「青春時代」のような状態にあった。ジャック・カルティエが「カナダ」と呼び、16世紀に探検した北アメリカの土地へは、17世紀に入ると交易やフランスからの入植が進められた。同じ頃、活版印刷と結びついて西ヨーロッパに広がった宗教改革は、伝統的なカトリック教国のフランスへも、プロテスタントの信仰を浸透させた。この浸透の結果もたらされた悲惨な宗教戦争を、ナントの勅令(1598年)により収拾したのはブルボン朝の創始者アンリ4世である。これに続く17世紀前半は、若々しさを連想させる経済社会の成長を基調としながらも、成長ゆえにカトリック教会を含む従来の秩序がゆらいだ時代でもあった。同時代の哲学者ルネ・デカルトは、迷信や思い込みに囚われた人間の意識のあり方を疑い、知識の確実な基礎を、数学や自然科学を支える合理精神のなかに、むしろ見いだした。同じく17世紀の哲学者パスカルの「人間は一本の葦に過ぎない、だがそれは考える葦である」という言葉は、環境に左右されやすく傷つきやすい弱さと、無限の宇宙をも分析しうる知性がもつ尊厳のあいだで、揺れ動く人間の姿をよく特徴づけている。
・17世紀から18世紀前半にまたがるルイ14世の治世は、フランス史において「偉大な世紀」と呼ばれる。政治面においてはいわゆる絶対王政、文化面においてはいわゆる古典主義をつうじて、それぞれの領域における秩序の完成が目指された。ナントの勅令の廃止(1685年)によりカトリック教国としての純化を図り、宗教的寛容で知られた当時随一の商業大国ネーデルラント(オランダ)を屈服させようとしたルイ14世の力の基盤となっていたのは、フランスの人口の多さ(約2000万人)にくわえ、国内における強力な徴兵・徴税制度といった、リシュリューやマザラン、コルベールら、王権に仕えた実務家たちがつみあげた成果のうえにできた、集権的な世俗の国家であった。また、文化面における古典主義は、こうした国家から庇護を受け、ルイ14世という君主の栄光を讃美する(現代でいう)プロパガンダの面を確かにもっていたが、ヨーロッパの多くの宮廷が模倣するような影響力も実際に有していた。
・イギリスやオランダとともに、いわゆる啓蒙思想の震源地であったこの時代のフランスの哲学者たちは、国境を越えた「文芸の共和国」のなかで活動しており、ルイ14世により確立された集権的な専制政治や、宗教における純化志向がもたらしがちな狂信に対して、しばしば批判的であった。
到達目標Goal
1.各回のテクストの講読をつうじて、16世紀から17世紀にかけてのフランスにおける思想や文化を代表する作品に関する概要をつかむ。
2.各回のテクストに登場する人物や作品から、そのなかに含まれている主題を、ステレオタイプに陥らずに、見いだす力を養う。
3.権力と正義、そして宗教的狂信と暴力の関係について、受講する学生それぞれがみずからの考えを練り上げる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
・この授業は基本的に「対面」です。
・学生からの書き込み等に対するフィードバックは、基本的に授業時間内に行いますが、学習支援システムやGoogle Classroomを利用する場合があります。
・授業内容の録画や録音の一部、ならびに授業時間内に扱い切れなかった内容を補足する動画を、受講者のみが視聴できる形で共有する場合があります。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:導入①:なぜこの科目? 高校2年生の視点から
映画「アデル、ブルーは熱い色」
第2回[対面/face to face]:導入②:17世紀の前には16世紀が(フランスにおけるルネサンス)
ラブレー『ガルガンチュワとパンタグリュエル』
モンテーニュ『随想録(エセー)』
第3回[対面/face to face]:「フランスの」思想?
石井洋二郎『フランス的思考』
アンドレ・シーグフリート『西欧の精神』
バラエティアートワークス『デカルト 方法序説―まんがで読破―』
第4回[対面/face to face]:情念と理性 ~ 秩序 vs 破壊的な混沌 ~
赤木昭三・赤木富美子『サロンの思想史』
ボワロー『詩法』
ラシーヌ『フェードル』
第5回[対面/face to face]:遠近法と劇のなかの劇 ~ 距離と情念 ~①
バルトルシャイティス『アナモルフォーズ』
タピエ『バロック芸術』
コルネイユ『舞台は夢』
第6回[対面/face to face]:遠近法と劇のなかの劇 ~ 距離と情念 ~②
バラトン『庭師が語るヴェルサイユ』
ボーサン『ヴェルサイユの詩学』
フーコー『言葉と物』
第7回[対面/face to face]:「隠れた神」を読みとる
カッシーラー『デカルト、コルネイユ、スウェーデン女王クリスティナ』
拙稿「自発的隷従とは何か」
高階秀爾(たかしな しゅうじ)『フランス絵画史』
第8回[対面/face to face]:「宮廷社会」と感情のゆくえ
エリアス『宮廷社会』
モリエール『町人貴族』『人間嫌い』
ラファイエット夫人『クレーヴの奥方』
第9回[対面/face to face]:中間ふりかえり
映画「王は踊る」
第10回[対面/face to face]:ヴァニタスと神の恩寵
フィリップ・ド・シャンペーニュ「ヴァニテ、あるいは人生の寓意(アレゴリー)」「1662年の奉納画」
ルイ・コニュ『ジャンセニスム』
パスカル『田舎人への手紙(プロヴァンシャル)』
第11回[対面/face to face]:モラリストと仮面①
ラ・フォンテーヌ『寓話』から「セミとアリ」「寓話の力」「M・L・D・D・L・Rへ」
ファフ・ララージュ(ラッパー)「オオカミと仔ヒツジ」
マリアンヌ・ヴルシュ(ラジオ番組)「ジャン・ド・ラ・フォンテーヌまたは反抗する詩人」
第12回[対面/face to face]:モラリストと仮面②
ラ・ロシュフーコー『箴言(しんげん)集』
箴言266番「怠惰はまったく柔弱ではあるが、にもかかわらず、しばしば他の情念の支配者にならずにはいない」他
第13回[対面/face to face]:パスカルの賭け
Pari pascalien
映画「モード家の一夜」
パスカル『パンセ』
『デュラス×ミッテラン対談集 パリ6区デュパン街の郵便局』
アントワーヌ・コンパニョン『パスカルと過ごす夏』から「パスカルとマルクス主義者」(ラジオ番組)
第14回[対面/face to face]:まとめ
あなたにはどの箴言が刺さりましたか?
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
(ア)予習は必要ありません。
(イ)授業にたいするコメントを書いてもらう場合があります。
(ウ)(イ)以外で、希望する受講者が授業内容にかんする話題提供を行った場合、積極的な参加態度として加点します。指定するLMS(学習支援システム-Hoppiiの掲示板かGoogle Classroomのストリーム>コメント)に、文章やリンクを貼り付けてください。
(エ)この授業の準備や復習に必要な学習時間は、提示された資料や映像を検討したり、上記(イ)(ウ)を行ったりするのに必要な時間とします。日本語やその他の言語の習熟度が異なる多様な学生が履修する授業であるため、一律の時間の長さは掲載しませんが、大学設置基準に鑑みた場合、2単位の講義及び演習の準備・復習時間は1回につき4時間以上とされています。
テキスト(教科書)Textbooks
・教科書を買う必要はありません。
・シラバスの【授業計画】に示されている内容にかんする資料を毎回配布します。
参考書References
参考となる映像作品:
パトリス・シェロー監督『王妃マルゴ』1994年。
ジェラール・コルビオ監督『王は踊る』2000年。
エリック・ロメール監督『モード家の一夜』1969年。
リュック・ベッソン監督『狼(シャネルNo.5の広告)』1998年。
ロジェ・ヴァディム監督『ドンファン』1973年。
参考となる音楽作品:
夜の王のコンサート(夜の王のバレエに基づく)※原題"Le Ballet Royal de la Nuit"で検索してみてください。
成績評価の方法と基準Grading criteria
(ア)期末試験:実施しません(0%)
(イ)期末レポート:実施しません(0%)
(ウ)授業への参加(50%)
(エ)担当範囲外における発言など積極的な参加(40%)
(オ)その他(運営協力や講師のミスの指摘)(10%)
※この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の 60%以上を達成した者を合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・過剰な学習負担とならないよう配慮しています。
・わからないことは、気兼ねなく、お問合せください。
・問い合わせ先や、この授業で扱う範囲(17世紀のヨーロッパ)に関係する画像たちを、次のリンク先に置いておきましたので、ぜひご覧ください【学内生のみ、要統合認証】 https://docs.google.com/document/d/1k6QWm-Hdj6ozZfzcQw4EuUyJKC3mlQxIxD1yG2uBVc8/edit?usp=sharing
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
資料の配布や学生側からの情報の提示など、さまざまな連絡は、基本的にすべてウェブ上(学習支援システム-Hoppii等)で行ないます。そのため、こうしたサイトを使うのに必要な情報環境はあったほうが良いでしょう。
その他の重要事項Others
①法政大学市ヶ谷キャンパスの各学部の学生だけでなく、社会学部・経済学部・現代福祉学部など多摩キャンパスの学生、また外国人留学生や社会人学生、千代田コンソーシアムの近隣大学の学生の履修を歓迎します。
②学外の方でこの科目への参加を希望される方は、科目等履修生としてご参加下さい。詳しくは法政大学の事務窓口までお問合せ下さい。
③履修にあたりフランス語の能力は要求していません。
(※)この「フランス語圏の文化Ⅰ(思想)」における使用言語は日本語ですが、文化や社会にかんする内容を扱い、かつ、フランス語を授業内の使用言語とする科目に「時事フランス語Ⅰ」「時事フランス語Ⅱ」があります。語学の面も含めて学習したい方は、「時事フランス語」の履修をご検討ください。