人文科学研究科Graduate School of Humanities
PHL500B1（哲学 / Philosophy 500）科学哲学特殊講義２Lecture on Philosophy of Science 2
佐藤 真人
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2022 |
| 授業コードClass code | X0072 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 木4/Thu.4 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory | 哲学専攻(博士後期課程) |
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Outline (in English)
We will carefully read Descartes' Rules for the direction of the mind in French (the original text is in Latin and we will refer to the Latin original as necessary).
The famous "Four Methods" discussed in the Discourse on method II are difficult to understand on their own, and their details can only be understood by reading the Rules.
Through a close reading of this book, we will try to understand what the young Descartes aimed at, what kind of research resulted in it, and why this book was left unfinished. In other words, we aim to deepen our understanding of the early Cartesian philosophy until Discourse by considering the scope and the accomplishment of the early Cartesian epistemology, as well as its limit.
Students are expected by the end of the course to understand, translate and explain by themselves Descartes’ text in French and its background thoughts, to construct their arguments logically through readings and discussions, and to search by themselves for issues and themes they will address in their own arguments and thesis.
Before each class meeting, students are to read, translate and interpret carefully the relevant text of the next class and to consider the arguments of the text and its possible background sources and thoughts. Students in charge of presentation of the day are to prepare a resume of translation and arguments to be distributed. Required study time is two hours each before and after the class.
Grade will be decided on the following proportion. Presentation: 40%, In-class contribution: 25%, Report: 35% (if no report is assigned, Presentation: 65% & In-class contribution: 35%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
前期から引き続き、初期デカルト認識論の到達点である『精神指導の規則（規則論）』をフランス語で丁寧に読解します（原文はラテン語なので、適宜ラテン語原文を参照しつつ、フランス語訳で読解します）。
『方法序説（叙説）』第二部で語られた有名な「四つの方法」は、それだけでは理解が困難な箇所であり、その詳細は『規則論』を読まなければわかりません。
本書の精読によって、若きデカルトが何をめざし、それはいかなる研究による成果なのか、そして本書はなぜ未完のまま残されたのかといった点について、つまり初期デカルト認識論の射程と達成、そしてその限界について読み解くことで、『方法序説』までの初期デカルト哲学の理解をめざします。
到達目標Goal
① デカルト『精神指導の規則』のフランス語の精確な訳読ができる（フランス語の初学者や邦訳書による受講者は、著作内容の精確な理解ができる）。
② 内容を精確に理解し、それについて論理的な説明と議論ができる。
③ テーマや問題点を自ら探し、必要な文献を読んで考察を深め、文章で表すことができる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
以下の手順で進めます。
① 担当者による訳読と、その内容や背景等の説明
② 質疑応答や全体での議論（フランス語や日本語訳の確認、内容の解釈や背景の説明等について）
③ 教員のコメントと補足説明（考えられうる掘り下げや問題点等について）
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：『規則論』
「第九規則」
容易な事物の考察について、訳読、解釈、議論
第2回[対面/face to face]：「第十規則」
発見としての哲学について、訳読、解釈、議論
第3回[対面/face to face]：「第十一規則」
思惟の運動による通覧について、訳読、解釈、議論
第4回[対面/face to face]：「第十二規則」
外部感覚と共通感覚について、訳読、解釈、議論
第5回[対面/face to face]：「第十二規則」
知性と想像力について 、訳読、解釈、議論
第6回[対面/face to face]：「第十二規則」
単純本性とは何か、訳読、解釈、議論
第7回[対面/face to face]：「第十二規則」
単純本性の結合について、訳読、解釈、議論
第8回[対面/face to face]：「第十三規則」
単純性の抽出について ― 磁石の例、訳読、解釈、議論
第9回[対面/face to face]：「第十三規則」
確実な知識の探究について ―「場所」と」自然学上の例、訳読、解釈、議論
第10回[対面/face to face]：「第十四規則」
比較による認識について、訳読、解釈、議論
第11回[対面/face to face]：「第十四規則」
類比による認識について、訳読、解釈、議論
第12回[対面/face to face]：「第十四規則」
知性による認識と想像力による認識について ― 延長の例、訳読、解釈、議論
第13回[対面/face to face]：「第十四規則」
尺度による認識について、訳読、解釈、議論
第14回[対面/face to face]：「第十五規則」以下
『規則論』の狙い・達成・限界について、訳読、解釈、議論、学期の総括
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
訳読担当者は、担当箇所について、自分の言葉による日本語訳とその説明（解釈）を準備すること。
その他の受講者は当該箇所を熟読し、何が問題となっているのかを考えて授業に臨むこと。
本授業の準備学習・復習は、各2時間を標準とします。
テキスト（教科書）Textbooks
以下のうち、どちらか一つ。
① René Descartes, Œuvres complètes I. Premiers écrits: Règles pour la direction de l'esprit, Gallimard (collection « tel »), 2016 (ISBN: 978-2070786756)
② René Descartes, Œuvres complètes, Vrin, 1996;2000 (ISBN: 978-2711612673) のうち、第10巻（X）
なお、②にはラテン語原文のみで、フランス語訳はないので、②を入手する人は、別途 René Descartes, Règles pour la direction de l'esprit, livre de poche, 2002 (ISBN: 978-2253067535) などのフランス語訳を入手したほうがよい。
①か②のどちらかを入手するのが望ましいが、希望者には②のpdfを配布する予定。
参考書References
邦訳は デカルト、『精神指導の規則』（野田又夫訳、岩波文庫）
または、『デカルト著作集［４］』（白水社）。
まずは参考書に頼らず、原典（仏訳かラテン語原文）の熟読から始め、内容の精確な理解に努めてください。そのうえで、テーマに関連する参考書を各自で探すこと（授業内でも参考書については適宜言及します）。
なお、デカルトの著作は以下で検索可能。
https://www.unicaen.fr/puc/sources/prodescartes/recherche
ネット上の哲学辞典としては、「スタンフォード哲学百科事典」を勧めます。
https://plato.stanford.edu/index.html
成績評価の方法と基準Grading criteria
発表者としての内容（訳読と説明、解釈）40%、受講者としての演習への参加内容（議論への参加とその内容など）25%、レポート35%（またはレポートを課さない場合、発表内容65%、参加内容35%）の割合で評価します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
受講者の理解度に応じて、内容と進展の具合を勘案します。
その他の重要事項Others
講義の進展に伴い、初期デカルトの関連する他の著述を読む可能性もあり、その場合、講義の内容や順序が若干変わるかもしれません。
担当教員の専門分野等
デカルトの哲学、フランス哲学と西洋近世の哲学
研究テーマ
主に自然本性概念からみたデカルト哲学の総合的研究と、西洋近世哲学におけるその位置づけと発展
主要研究業績
「信仰を支える人間的な論拠 ― デカルトの『表面』について」（日本哲学会、『哲学』、第73号、2022年）
「デカルト形而上学の論証の方法 ― 類比の考察を通じて」（日仏哲学会、『フランス哲学・思想研究』、第26号、2021年）
「デカルトの『自然の教え』とは何か ― ストア派の自然本性概念との対比で ―」（日本倫理学会、『倫理学年報』、第70集、2021年）
「無限か広大無辺か ― デカルト形而上学の一極点の考察」（東洋大学国際哲学研究センター、『国際哲学研究』、第8号、2019年）
「デカルトはラムス主義者か ― 初期デカルト認識論に見る数学的方法の一側面」（日仏哲学会、『フランス哲学・思想研究』、第23号、2018年）
「『規則論』は断絶した著作か ― 自然学と神の問題における『規則論』の方法―」（『理想』、第699号、2017年）
« La métaphysique de la “nature” dans les natures simples chez Descartes »（日仏哲学会、『フランス哲学・思想研究』、第21号、2016年）など。