人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies
LAW200HA(法学 / law 200)刑法の基礎Basic Principles of Criminal Law
渡辺 靖明Yasuaki WATANABE
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | C2012 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 月2/Mon.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 人間環境学部生:コアとなるコース【経】【ロ】 |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(一般・総合型選抜、編入学試験入学者)Category | |
カテゴリー(社会人RSP入試入学者)Category | |
カテゴリー(2022年度以前)Category (~2022) |
展開科目 コースコア科目/コース連環科目 |
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Outline (in English)
【Course outline】 What kind of action is subject to punishment as a crime? What is the basic principle of criminal law to consider crime and punishment? We will learn it through concrete examples. And we will think the meaning and role of criminal law in society.
Learning criminal law may be a hint to overcome various divisions and build a society where everyone can live happily while coexisting with others.
【Learning Objectives】 Acquiring basic knowledge of criminal law is the goal of this class. [Confirmation question] and [Examination question] are described in the resume. At the end of this course, students are expected to understand answer and its reason for each question and to be able to explain them correctly in sentences.
【Learning activities outside of classroom】
Before/after each class meeting, students will be expected to spend four hours to understand the course content.
【Grading Criteria /Policy】 Your overall grade in the class will be decided based on the following
Term-end examination:80%,mini exam:20%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
「刑法」とは、「犯罪」と「刑罰」とを定めた法律(公的ルール)のことです。それでは、どのような行為が「犯罪」として処罰の対象となるのでしょうか。また、その前提となる刑法の原則とはどのようなものでしょうか。この授業では、これらについて具体的な事例をつうじて、刑法のわたしたちの社会における意義と役割とをまなびます。
現在、わたしたちは、様々な「分断」に直面しています。国と国との間で、また社会においても人種、思想、地域、年代、収入等のちがいから、意見や価値観の深刻な対立が生じています。対立する相手を「敵」とみて、徹底的にはげしく罵倒したり、排除しようとしたりする動きがSNS等でもみられます。こうした「分断」は、場合によっては大きな紛争にも発展し、大勢の人々の心身に大きな被害をも生じさせかねません。こうした「分断」を解消するには、どうしたらよいのでしょうか。それには、対立する相手とは絶対に分かりあえないとあきらめるのではなく、相手の立場も尊重し、その意見にも耳をかたむけて、その価値観を理解しようとつとめ、対話を重ねることが必要なのではないでしょうか。
犯罪の加害者と、その被害者(遺族含む。)及び被害者に同情・共感する多くの人々との間でも、深刻な「分断」が生じているように思えます。加害者は、ルールに反し、被害者を生み出した以上、ともかく、重く罰するべきだ。それにもかかわらず、法では、加害者をさばけなかったり、軽い処罰しかなされなかったりするときがある。法は加害者に甘すぎる!このように考える人も少なくないのではないでしょうか。犯罪の被害者に同情・共感することは、もちろん大切です。しかし、だからといって、その加害者を「敵」として、とにかく重く罰しさえすれば、社会はよくなるのでしょうか。加害者の立場・境遇にも思いをはせ、その言い分にも耳をかたむけることも必要なのではないでしょうか。また、法が加害者に「甘い」ようにみえるとしても、それはなぜなのでしょうか。そして、それは本当に不当な「甘さ」なのでしょうか。
これらのことを考えるためには、刑法の意義・役割、またその原則の下で、どのような場合に「犯罪」が成立し、また「刑罰」が科されるのか。このことをきちんと理解する必要があります。その理解をせずに、ともかく加害者がわるいのだ、として、これを徹底的に攻撃して社会から排除し、また加害者に「甘い」法には「不備」があるとして、犯罪の重罰化を一方的に主張しようとすることは、はたして公正でしょうか。むしろ、社会における「分断」の1つを一層深めるだけではないでしょうか。
この意味で、刑法の概要をまなぶことは、様々な「分断」を乗りこえ、他の人と仲良く共存しながら、わたしたちの誰もが幸せに生きていく社会を築くためのヒントになるかもしれません。
到達目標Goal
法と倫理・道徳との異同、刑法の意義・役割・限界、刑罰の目的や刑法と他の法律との関係をふまえて、刑法の一般原則および犯罪の一般的・個別的な成立要件等や、さらにこれに関する判例(裁判所の判断)および学説の議論を理解し、これらの基礎知識を修得することが、この授業の到達目標です。
レジュメには、〔確認問題〕・〔検討問題〕を適宜もうけます。基礎知識修得の目安は、その各問題の解答と理由とを理解し、それを文章(言語)できちんと説明できるようになることです。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
本授業は、原則として、対面授業となります。
各回ごとに、アップされたレジュメを用いて、具体的事例について検討し、各回のテーマごとの理解をはかります。
数回の小テストについては、回答期限後の授業ないし学習支援システムをつうじて、簡易な解説を行う予定です。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[未定/undecided]:「刑法」とは何か。
法(律)の意義、法の体系および「刑法」の意義をまなぶ。
第2回[対面/face to face]: 殺人罪①-犯罪の一般的成立要件
犯罪の一般的成立要件および刑法における人の「生」と「死」をめぐる議論などをまなぶ。
第3回[対面/face to face]: 殺人罪②-犯罪の故意・過失
犯罪の故意と過失、故意犯処罰の原則、責任主義などについてまなぶ。
第4回[対面/face to face]: 殺人罪③-罪刑法定主義
胎児性致死傷と罪刑法定主義との関係などをまなぶ。
第5回[対面/face to face]: 傷害罪
傷害の意義および傷害と傷害致死との関係(刑法の因果関係)などをまなぶ。
第6回[対面/face to face]: 自殺関与・同意殺人罪
刑法における被害者の同意の意義および同意の有効性と刑法の最終手段性の原則との関係などをまなぶ。
第7回[対面/face to face]: 安楽死・尊厳死
終末期期医療における安楽死・尊厳死と刑法との関係などをまなぶ。
第8回[オンライン/online]: 刑罰論
刑法の刑罰と民法の損害賠償・行政法の行政処分との違いや、国家が市民に刑罰を科すことの正当な根拠をめぐる議論などについてまなぶ(Googleドライブで共有した録音を聴いてもらう形式にする予定)。
第9回[対面/face to face]: 脅迫罪・強要罪・監禁罪、強制わいせつ罪・強制性交等罪
意思決定の自由、性的自由に対する罪の基礎をまなぶ。
第10回[対面/face to face]: 住居侵入罪
住居権・住居の平穏に対する罪の基礎をまなぶ。
第11回[対面/face to face]: 名誉毀損罪・侮辱罪真実性の証明による免責
名誉に対する罪の基礎および刑法における名誉の保護と表現の自由の保障との関係をまなぶ。
第12回[対面/face to face]: 財産に対する罪
財産に対する罪の共通原則および個別の犯罪の基礎をまなぶ。
第13回[対面/face to face]: 放火罪・偽造罪
放火罪(公共危険犯)、偽造罪(取引の安全に対する罪)の基礎をまなぶ。
第14回[オンライン/online]: 賄賂罪
汚職の罪(国家の作用に対する罪)の基礎をまなぶ(レジュメ対応とする予定)。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
配布レジュメや刑法の参考書等で予習・復習をしてください。とくに復習時には配布レジュメ中の各事例や〔確認問題〕・〔検討問題〕を中心に理解を深めてください。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間が標準となります。
テキスト(教科書)Textbooks
なし。配布レジュメを使用します。
参考書References
とくに指定はしません。おすすめの参考書は、開講時に説明します。
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価は、授業であつかった基礎知識を問う定期試験80%、数回の学習支援システム上での小テスト20%の総合評価でおこなう予定です。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
昨年度は録音聴講形式のオンライン授業でしたが、常に具体例を用いて説明がなされていたのでとても分かりやすく、より理解を深めることができたなどの感想もよせられました。
その一方で、授業開始当初には専門用語が難しすぎるといった指摘もありました。また、録音ならばわからないところは何度も聴いて理解を深められるが、対面授業であれば講義内容の補充が必要になる、といった意見もありました。
原則ほぼ対面授業となる本年度は、一層説明の仕方などに気を配りたいと思います。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
コロナウィルス感染予防の観点から、レジュメを印刷して直接配布をすることはしません。学習支援システムで事前にレジュメをアップするので、自身でプリントアウトをして持参するか、または電子機器で閲覧、書き込み等ができるように準備をしてください。
また、第1回は対面・オンライン同時配信の併用、第8回はGoogleドライブで共有した録音を聴いてもらう形式、第14回はレジュメ対応にする予定です。これらの点を含めて通信環境等の準備をお願いします。
その他の重要事項Others
「憲法の基礎」、「行政法の基礎」、「民事法Ⅰ・Ⅱ」等の他の法律系科目もあわせて履修しておくと、「刑法の基礎」の授業内容の理解が一層深まるでしょう。また、秋学期開講の「環境法Ⅳ」(環境刑法)では、主として環境犯罪についてまなびます。「刑法の基礎」を履修しておけば、「環境法Ⅳ」の授業の内容をより深く理解できます。
なお、刑法にかぎらず、法律学は、条文、判例、学説の理解が基本です。これらを充分に理解せずに、自分のこれまでの断片的な知識・経験による見解だけを一方的に主張しても、法律をまなんだことにはなりません。受講にあたり、また定期試験受験時には、このことをよく理解しておいてもらいたいと思います。