理工学研究科Graduate School of Science and Engineering
ELC500X2(電気電子工学 / Electrical and electronic engineering 500)情報伝送工学特論2Information Transmission Engineering (Ⅱ)
斉藤 茂樹Shigeki SAITO
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 理工学研究科Graduate School of Science and Engineering |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | YA532 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 土2/Sat.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 小金井 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 電気電子工学専攻 |
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Outline (in English)
This course introduces "actively studying the fundamental technology of digital signal transmission (in particular, spectrum calculation, sampling theorem, optimum filter design, error rate calculation, etc.) which is the basis of wireless communication such as cellular phone and large capacity optical communication, and training the ability of applying the fundamental technology to design procedure" to students taking this course.
The goals of this course are to be able to sensuously acquire and apply not only mathematical formulas but also basic technologies for digital signal transmission (spectrum, S / N, etc.).
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting . Your study time will be more than four hours for a class.
Your overall grade in the class will be decided based on the following Term end examination: 20 %、 Short reports :20% 、and in class contribution: 60%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
分かり易い伝送基礎理論: スマホのメール、どのようにして相手に届いているのか?実は、メールのデータのスペクトルはとても広くてこのままでは伝送できない。送信側では歪が発生しないように帯域制限をかけ、受信側ではS/Nを最大にできるフィルタをかけている。このように伝送の基礎理論が駆使されている。フィルタで雑音だけ除去してもS/Nは最大にはならない。
本科目のテーマは、「携帯電話等の無線通信や大容量光通信の基本となるデジタル信号伝送の基礎技術(特に、スペクトル計算、サンプリング、最適フィルタ設計、誤り率計算等)の習得」及び「その応用」とする。デジタル信号が符号化され、伝送され、受信され、復号されるまでに必要な伝送理論について習得する。数式の理解も必要ではあるが、むしろそれらの技術を感覚的に身につけ応用できるように実例(携帯電話のフィルタ等)や演習を交えて学ぶ。通信分野以外の方にも有益。
到達目標Goal
本科目では、以下を到達目標とする。
①デジタル信号伝送の基礎技術(スペクトル、S/N等)について、数式だけでなく感覚的に身に付け応用できるようになる。一般のデジタル信号伝送回路の設計にも有用。
②スペクトル計算、S/N計算、誤り率計算ができる。
③最適受信フィルタが設計できる。
④新たな伝送方式(通信分野に限らない)をイメージしたり創り出したりできる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
本授業は、「課題を提起しその解決手段を自身が考える」ことで、知識だけではなく使える技術力を身に着ける。技術の真の意味を理解し、応用を可能とし、更には新たに創造できる力を養う。教科書は使用せず資料を配布するが、対話形式や討論形式で考える力を引き出し、自身でノートにまとめることで記憶を深める。難しい理論式については分かり易く解説するので、通信以外の世界に進まれる方にも一助になると確信する。更に、クイズ形式やグループ討論等で楽しく学ぶ。特に項目毎の○×問題で理解度を測る。また13回目に授業内の課題の講評や解説を行う。
例えば、サンプリングの定理、守らないと伝送できないか?サンプリング定理守ったはずなのに伝送特性が劣化した、何故?S/Nを最大にするフィルタってどのようにして作る?デジタル信号はどのようにして誤るのか、そこから誤る確率を求めてみよう。これらの解決手段を討論等によって検討し、発表し、講評を受けることで自身の力として取り込む。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:はじめに
(データ君の大冒険スタート)
携帯、地デジ、光通信も伝送の基本モデルは同じ、〇か×か?
(電力、スペクトル、変復調、フィルタ・・・)
第2回[対面/face to face]:符号化
(データ君の武装)
差動符号化は、どっち?①データの差分をキャリア位相に割り当てる、②データをキャリア位相の差分に割り当てる
(伝送符号形式、グレイコード、差動符号化)
第3回[対面/face to face]:電力スペクトル密度1
(データ君のパワー)
信号の電力スペクトル密度は、その信号の相互相関関数をフーリエ変換すれば求まる、〇か×か?(技術士国家試験の問題)
(電力スペクトル密度、ウィナーヒンチンの定理)
第4回[対面/face to face]:電力スペクトル密度2
クロックは線スペクトル、ランダム信号は連続スペクトル、〇か×か?
(ランダムデータの電力スペクトル密度の計算)
第5回[対面/face to face]:無歪伝送条件1
(チームワーク)
最大周波数fmの信号のサンプリング周波数は、必ずfm×2倍以上必要だ、〇か×か?
(標本化定理の真の意味)
第6回[対面/face to face]:無歪伝送条件2
デジタルデータはインパルスとみなせるので相互に干渉することはない、〇か×か?
(インパルス応答、符号間干渉、ナイキスト基準)
第7回[対面/face to face]:無歪伝送条件3
デジタル信号のフィルタ出力をオシロスコープで見ると人間の目のようになるのでアイパターンという、〇か×か?
(演習、コサインロールオフフィルタ設計)
第8回[対面/face to face]:最適フィルタ1
(外乱君からの防御)
S/Nは、アンプを通すと劣化する、〇か×か?
(雑音量の計算、雑音電力スペクトル密度)
第9回[対面/face to face]:最適フィルタ2
S/Nを最大にするフィルタは、身(S)も削る、〇か×か?
(S/N最大化条件、整合フィルタ)
第10回[対面/face to face]:最適フィルタ3
受信信号をサンプリングして整合フィルタを通す場合、信号の最大周波数が最も重要、〇か×か?(SNR計算、設計の間違い探し)
第11回[対面/face to face]:誤り率計算1
(辿りつけたか診断)
誤りはデータに雑音が加わって別のデータ領域に移ると発生、〇か×か?
(受信信号の確率密度関数)
第12回[対面/face to face]:誤り率計算2
10000ビットの送信データに対して3ビット誤る場合、誤り率は3×10^-4として表す、〇か×か?
(エラー関数、誤り率グラフ作成)
第13回[対面/face to face]:まとめ
これまでの授業の振り返り(授業内の小問題や課題に対する講評や解説)
第14回[対面/face to face]:まとめ演習及び解説
到達目標の達成度の確認
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
【本授業の準備・復習時間は、各4時間を標準とします。】学んだ内容を、実践(日常や研究)で使ってみる。多くの疑問を出し答えを考えることで知識を深める。些細な疑問でも積極的にメールや授業で提示されたい。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は使用せず、学習支援システムにアップロードした参考資料で講義を行う。各自ダウンロードし必要に応じて印刷すること。討論結果や自らの検討結果をノートに書き留めることで記憶を深める。
参考書References
1.電気・電子工学基礎シリーズ8
「通信システム工学」 安達文幸著 朝倉書店
2.電子・通信工学=EKR-10
「ディジタル通信の基礎」 鈴木 博著 数理工学社
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点(60%)、課題(20%)、まとめ演習(20%、必須)を総合して評価する。まとめ演習はオンライン授業の場合、ダウンロードした問題に回答する形式で行う。
平常点から考える意欲を、課題及びまとめ演習から目標の達成度をはかる。各回の授業の内容は相互に関係しているので授業に欠かさず出席すること。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
成績評価基準は本シラバスに明記。項目毎に○×問題で理解度を測り授業にフィードバックする。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
オンライン授業の場合、スマホよりもテキストが見やすいモニタのあるPCを望む。更にカメラ付がベター。
その他の重要事項Others
通信機器工学特論1に続けて2を、更に情報伝送工学特論1及び2を履修することを薦める。伝送の基礎理論から応用システムまで、通信技術全般を学ぶことができる。通信分野以外にも役立ち、企業での活躍の一助となるであろう。無線技術士の資格取得や特許作成力の習得にも有用。
通信機器工学特論1: 分かり易い通信技術
通信機器工学特論2: 分かり易い無線システム
情報伝送工学特論1: 分かり易い(使える)デジタル信号処理
情報伝送工学特論2: 分かり易い伝送基礎理論
[実務経験及び反映] NTT研究所で初代デジタル携帯電話機を開発(2018年度電波技術協会賞受賞)。第1級無線従事技術士取得。回路設計から標準規格化まで担当。NTTエレクトロニクス株式会社で各種通信機器を開発。特に、無線LAN(Wi-Fi)用IC、TV素材伝送無線装置、及びIoT用無線装置、並びにセキュリティ技術を開発。
上記の実務経験を活かして、情報通信技術の様々な疑問について分かり易く解説する。特に、IoT用無線技術やデジタル信号処理技術は、今後の研究開発活動の一助になると考える。さらに特許事務所での実務経験を生かした特許取得方法の講義は企業に入社後間違いなく有益となる。