法務研究科Law School
LAW500A2(法学 / law 500)民法ⅣCivil Law Ⅳ
遠山 純弘Junkou TOOYAMA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | V1441 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期後半/Fall(2nd half) |
曜日・時限Day/Period | 火2/Tue.2,金3/Fri.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 必修 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
法律基本科目群(基礎科目) 民事系 |
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Outline (in English)
【Course outline】
Through Civil Law Ⅰ-Ⅴ, students learn about basic knowledges and systematic understandings of Civil law.
In Civil Law Ⅳ students learn about the Law of Debtors and Creditors.
【Learning Objectives】
The goal of this class is to enable students to understand and explain
each theme described in the "Class Plan" below.
【Learning activities outside of classroom】
Before/after each class meeting, students will be expected to spend four
hours to understand the course content.
【Grading Criteria /Policies】
Your overall grade in the class will be decided based on the following
Term-end examination: 80%, little examination : 10%, in class
contribution: 10%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
・「民法Ⅰ~Ⅴ」の全体を通じて、民法の構造および民法上の諸制度に関する基礎的・体系的理解の獲得とともに、法的思考力の養成を目指す。
・「民法Ⅳ」では、学生は、金銭債権の担保手段(人的担保、物的担保)について学ぶ。
・各回の授業は、受講者が入念に予習していることを前提に、対話形式で基本的知識を確認しながら、それらの基本的知識がもつ意味と問題の全体像について解説を加えるという形で進める予定である。
・到達度を確認するために、授業中に小テストを実施する。
到達目標Goal
・下記「授業計画」記載の各項目について、学生がその内容を理解し、具体的に説明することができるようになることである。
・民法Ⅳでは、金銭債権の担保手段について学ぶ。金銭債権を「担保」するとはどういうことか、また、金銭債権を確実に回収するためにどのような手段があるかを学生が理解し、具体的に説明することができるようになることである。
・民法Ⅰ~Ⅴ、民法演習Ⅰ~Ⅲを通じての到達目標については、別紙資料のとおりである。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」と「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
・双方向・多方向形式を基本としつつ、講義形式を併用する。
・各回の授業は、受講者が教科書および予習課題に基づいて入念な予習をしていることを前提に、対話形式により基本的知識を確認しつつ、発展的事項の解説を加える形で行う。
・授業内の課題(小テスト)および定期試験のフィードバックは、授業内または定期試験解説期間において解説を行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:①債権担保概論
②債権者代位権
・責任財産とは何か、その保全がなぜ必要になるのかについて、債権者平等の原則との関連にも留意しながら説明することができる。
・債権者代位権とはどのような制度であり、その要件及び効果はどのようなものかについて、説明することができる。
・債権者代位権の「転用」とはどのようなものであって、どのような場合に認められるべきであるかについて、いくつかの典型事例を挙げて説明することができる。
第2回[対面/face to face]:詐害行為取消権①
(要件)
・詐害行為取消権とはどのような制度であるのかについて、詐害行為取消権の法的性質をめぐる議論の概要を含めて説明することができる。
・詐害行為取消権の要件(詐害行為と詐害意思)について、いくつかの具体例を挙げて説明することができる。
第3回[対面/face to face]:①詐害行為取消権②
(効果)
②保証債務
・詐害行為取消権は誰を相手として行使すべきであり、その相手方に対する詐害行為取消権行使の効果が誰にどのような影響を及ぼすかを、具体例を挙げて説明することができる。
・保証とはどのようなものであり、どのような場合に保証債務が発生するかを説明することができる。
・保証債務の附従性及び随伴性とはどのような性質を指すのかを、その具体的効果を含めて、説明することができる。
・保証人の求償権がどのような場合に生じるか、及びその行使の手続等について、条文を参照しながら説明することができる。
・連帯保証と単純保証の違いを説明することができる。
第4回[対面/face to face]:債権譲渡①
・債権の譲渡とはどのような制度であり、どのような場合に債権譲渡が行われるかを説明することができる。
・債権の譲渡可能性(将来発生すべき債権の譲渡可能性・包括的な債権譲渡の可能性を含む)とその例外(譲渡禁止特約を含む)について、説明することができる。
・指名債権譲渡の対抗要件の構造・仕組み(動産債権譲渡特例法上の対抗要件を含めて、民法上及び特例法上の対抗要件の競合や対抗要件の同時具備の場合に生ずる問題等を含む)について、説明することができる。
第5回[対面/face to face]:①債権譲渡②
②債務引受
③契約上の地位の移転
・債務者が、債権の譲受人に対してどのような場合にどのような事由を主張することができるかについて具体例を挙げて説明することができる。
・債務引受とはどのようなものであり、どのような類型があるか、また、それらがどのような場合に認められるのかについて、説明することができる。
・契約上の地位の移転がどのような場合に認められるかを説明できる。
第6回[対面/face to face]:多数当事者の債権関係
・債権者が複数の場合及び債務者が複数の場合について、それぞれ、民法の規律の概要(分割債権・分割債務の概念、不可分債権・不可分債務の概念、分割債権・分割債務の原則性)を説明することができる。
・連帯債務(いわゆる不真正連帯債務を含む)とはどのようなものであり、どのような場合に認められるのかについて、説明することができる。
・連帯債務者の1人について生じた事由(請求、弁済、更改、相殺、免除、混同、消滅時効等)が他の債務者にどのような影響を及ぼすかについて、条文を参照しながら、説明することができる。
・連帯債務者間の求償権がどのような場合に生じるか、及び、その行使の手続等について、条文を参照しながら説明することができる。
第7回[対面/face to face]:①担保物権の全体構造
②抵当権①
(①設定・対抗要件)
(②抵当権の効力①)
・担保物権とはどのような性質の担保であるかを、債権者平等原則や保証との関係に留意しながら説明することができる。
・抵当権とはどのような性質の担保物権であるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・抵当権の実行とは何を意味するかを、具体例を挙げて説明することができる。
・抵当権の効力がどのような目的物(果実や目的不動産から分離された目的物等を含む)に及ぶかについて、具体例を挙げて説明することができる。
第8回[対面/face to face]:抵当権②
(①抵当権の効力②)
(②第三者取得者保護)
・抵当目的不動産の侵害(物理的侵害や、優先弁済権の実現を困難にする侵害行為) に対して、抵当権者がどのような救済手段を行使することができるかについて、判例・学説の考え方を踏まえて、具体例に即して説明することができる。
・抵当目的不動産が第三者に譲渡された場合に、第三取得者と抵当権者がどのような関係に立つかを、説明することができる。
第9回[対面/face to face]:抵当権③
(配当)
・抵当権によって担保される債権の範囲はどうなっているか、その範囲について制限が認められる理由は何かを、具体例を挙げて説明することができる。
・抵当権の処分とはどのような行為を指すか、またその効果はどのようなものであるかを、条文を参照しながら説明することができる。
・共同抵当とはどのような制度であり、抵当権がどのように実行され、どのような効果を生ずるかについて、具体例を挙げて説明することができる。
第10回[対面/face to face]:抵当権④
(抵当権と利用権)
・抵当権の設定された不動産について、利用権が存在する場合に抵当権と利用権の関係がどうなるかを、説明することができる。
・法定地上権とはどのような制度であり、どのような場合に法定地上権が成立するかを、具体例に即して説明することができる。
第11回[対面/face to face]:抵当権⑤
(物上代位①)
・抵当権について物上代位が認められるのはどのような場合かについて、判例・学説の基本的な考え方を踏まえながら説明することができる。
第12回[対面/face to face]:抵当権⑥
(物上代位②)
(抵当権の消滅)
・物上代位権を行使するためにどのような要件を備えている必要があるかについて、判例・学説の基本的な考え方を踏まえながら説明することができる。
第13回[対面/face to face]:①根抵当権
②質権
③譲渡担保①
・根抵当とはどのような制度であり、通常の抵当権と対比してどのような特徴を備えているかについて、その概要を説明することができる。
・質権とはどのような性質の担保物権であるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・質権には、動産質権以外にどのような種類のものがあるかを、条文を参照しながら、具体例を挙げて説明することができる。
・譲渡担保とはどのような制度であるかを、質権の場合と対比させながら、具体例を挙げて説明することができる。
・譲渡担保権者・譲渡担保設定者・第三者がそれぞれどのような法的地位を有するかを、具体例に即して説明することができる。
第14回[対面/face to face]:①譲渡担保②
②仮登記担保、所有権留保
③留置権
④先取特権
・いわゆる集合動産譲渡担保とはどのような制度であるか、一物一権主義との関係に留意しながら、説明することができる。
・仮登記担保とはどのような制度であるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・所有権留保の意義と効力について、その概要を説明することができる。
・留置権とはどのような性質の担保物権であるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・留置権の成立要件とその効果について、具体例に即して説明することができる。
・先取特権とはどのような性質の担保物権であるか、とくに、一般先取特権、特別先 取特権は、それぞれどのような性質・効力を有する担保物権であり、どのような種 類の先取特権があるかを、条文を参照しながら説明することができる。
・先取特権における物上代位とはどのような制度かを、具体例に即して説明することができる。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・上記「授業計画」記載の各回における教科書の該当部分を必ず読んで授業に臨んでもらいたい。予習では、教科書および配布したレジュメの該当部分を読み理解し、授業前にわからない部分を明確にしておくことが必要である。授業では、その不明な点について確認をし、また、授業でそれについて触れなかった場合には、授業外で質問し、理解する必要がある。
・本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
・遠山純弘『請求権から考える民法3』(信山社、2020年)3,520円
・なお、教科書の修正箇所については、学習支援システムを通じて連絡する。
参考書References
①松久三四彦ほか『オリエンテーション民法(補訂版)』(有斐閣、2022年3月刊行予定)価格未定。
②潮見佳男ほか『民法判例百選Ⅰ総則・物権[第8版]』(有斐閣、2 018年)2,530円
③窪田充見ほか『民法判例百選Ⅱ債権[第8版]』(有斐閣、2018 年)2,530円
・そのほか必要な参考書は、授業中に適宜紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価の方法と基準は、以下のとおりである。
・定期試験(80%)
*事例式問題によって「共通的な到達目標モデル(第2次案修正案)」(民法)記載の事項について理解度を確認する。
・小テスト(10%)
・質疑応答(10%)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・学生からは、民法は覚えることが多すぎるという意見を聞く。ただ、この問題は、法学未修者については、法学部の学生が4年間かけて修得すべきことを1年間で修得するのであるから、法学未修者にとって避けて通ることができない問題である。この点については、1年次において授業で取り上げるすべての事項を修得しようとせず、1年次で修得すべき事項(これについては、別紙資料参照)を優先的に学修し、2年次以降に取り上げる事項については、「民法演習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」を通して修得するといった対応が必要であろう。
・また、授業内容が難しいという意見も聞く。ただ、そうした学生の中には、民法Ⅰ・Ⅱおよび基礎ゼミⅠで取り上げた基礎知識を理解できていない者が多い。民法の授業は積み上げ方式であり、民法Ⅲ・民法Ⅳも、それ自体で完結した科目ではない。そのため、民法Ⅰ・Ⅱあるいは基礎ゼミの内容が理解できていない者は、夏休み中にしっかり復習をしておく必要がある。