法務研究科Law School
LAW500A2(法学 / law 500)民法ⅢCivil Law Ⅲ
遠山 純弘Junkou TOOYAMA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | V1431 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期前半/Fall(1st half) |
曜日・時限Day/Period | 火2/Tue.2,金3/Fri.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 必修 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
法律基本科目群(基礎科目) 民事系 |
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Outline (in English)
【Course outline】
Through Civil Law Ⅰ-Ⅴ, students learn about basic knowledges and systematic understandings of Civil law.
In Civil Law Ⅲ students learn about Property Law, Delict, Unjustified Enrichment and Negotiorum Gestio.
【Learning Objectives】
The goal of this class is to enable students to understand and explain
each theme described in the "Class Plan" below.
【Learning activities outside of classroom】
Before/after each class meeting, students will be expected to spend four
hours to understand the course content.
【Grading Criteria /Policies】
Your overall grade in the class will be decided based on the following
Term-end examination: 80%, little examination : 10%, in class
contribution: 10%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
・「民法Ⅰ~Ⅴ」の全体を通じて、民法の構造および民法上の諸制度に関する基礎的・体系的理解の獲得とともに、法的思考力の養成を目指す。
・「民法Ⅲ」では、学生は、物権(担保物権を除く)、事務管理・不当利得・不法行為について学ぶ。
・各回の授業は、受講者が入念に予習していることを前提に、対話形式で基本的知識を確認しながら、それらの基本的知識がもつ意味と問題の全体像について解説を加えるという形で進める。
・到達度を確認するために、授業中に小テストを実施する。
到達目標Goal
・下記「授業計画」記載の各項目について、学生がその内容を理解し、具体的に説明することができるようになることである。
・民法Ⅲでは、物権、事務管理・不当利得・不法行為について学ぶ。所有権の帰属がどのように決められるか、所有権侵害がある場合に、どのような要件のもとで、どのような救済手段が与えられるかを学生が理解し、具体的に説明することができるようになること、および、事務管理・不当利得・不法行為に基づく請求権がどのような要件のもとで認められるかを学生が理解し、具体的に説明することができるようになることである。
・民法Ⅰ~Ⅴ、民法演習Ⅰ~Ⅲを通じての到達目標については、別紙資料のとおりである。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」と「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
・双方向・多方向形式を基本としつつ、講義形式を併用する。
・各回の授業は、受講者が教科書および予習課題に基づいて入念な予習をしていることを前提に、対話形式により基本的知識を確認しつつ、発展的事項の解説を加えるかたちで行う。
・授業内の課題(小テスト)および定期試験のフィードバックは、授業内または定期試験解説期間において解説を行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:①契約法との関係
②物権法の全体構造
③債権と物権との違い
④用益物権
・民法は物をどのように定義し、どのように分類しているか(とくに不動産・動産の 区別)、その分類にどのような法的意味があるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・主物と従物とはどのような概念か、従物とされることの具体的効果は何かを、具体例を挙げて説明することができる。
・元物とは何か、果実(天然果実・法定果実)とは何かを説明し、それぞれ具体例を 挙げることができる。
・物権にはどのような種類があり、それぞれどのような内容の権利であるかを概括的 に説明することができる。
・物権に共通する特徴を、債権の特徴と対比して説明することができる。
・物権法定主義の意義と根拠について説明することができる。
・物権的請求権とはどのような権利であり、どのような侵害についてどのような救済手段を求めることができるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・地上権とはどのような物権であり、どのような場合に利用される権利であるかを、土地賃借権と対比しながら説明することができる。
・地役権とはどのような物権であり、どのような場合に利用される権利であるかを、いくつかの具体例を挙げて説明することができる。
・物権が消滅する原因を、具体例を挙げて説明することができる。
第2回[対面/face to face]:①所有権(概説)
②共同所有
・所有権とはどのような権利か、また、どのような制限に服するかを、具体例を挙げて説明することができる。
・袋地の所有者は、どのような場合にどのような要件の下で隣地通行権を有するかを、条文を参照しながら説明することができる。
・同一の目的物を複数の者が共同的に所有する法律関係について、通常の共有のほか、どのような場合があるか、いくつかの具体例を挙げることができる。
・共有者が共有物についてどのような権利を(他の共有権者及び第三者に対して)有するかを、条文を参照しながら説明することができる。
・区分所有権とはどのような概念であるかを、一物一権主義との関係に留意しながら説明することができる。
第3回[対面/face to face]:所有権の取得
(承継取得、原始取得)
・物権の変動が生ずる種々の法律上の原因を、具体例を挙げて説明することができる。
・物権変動に関する意思主義を、形式主義と対比して説明することができる。
・物権変動が生ずる時期、とくに所有権の移転が生ずる時期について、判例・学説の考え方の対立とその問題点の概要を説明することができる。
・添付とはどのような概念であり、どのような類型があるか、添付によってどのような効果が生じるかについて、その概要を説明することができる。
・不動産の付合とはどのような制度であるかについて、条文を参照しながら具体例を挙げて説明することができる。
第4回[対面/face to face]:①占有の意義
②占有の取得
③所有権に基づく請求権の相手方
・占有とはどのような概念であるかを理解し、どのような態様の占有があり、占有の 承継が生ずるのはどのような場合であるかを、それぞれ具体例を挙げて説明することができる。
第5回[対面/face to face]:①公示の原則
②不動産物権変動と対抗要件①
・公示の原則とはどのような原則であるか、そのような原則を認める必要があるのはなぜかを説明することができる。
・物権の変動が生じた場合に、どのような手続きにしたがってその登記をすることが できるかを理解している(共同申請の原則と単独申請ができる例外)。
・登記請求権はどのような根拠に基づいて、どのような場合に発生するかを、具体例を挙げて説明することができる。
・仮登記とはどのような場合になされる登記であり、それがどのような効力を持つかについて、具体例を挙げて説明することができる。
・民法177条の対抗要件主義において、判例・学説の基本的な考え方を踏まえて、第 三者(転得者を含む)の主観的要件についてどのような議論があるかを、具体例に即して説明することができる。
第6回[対面/face to face]:①不動産物権変動と対抗要件②
②動産物権変動と対抗要件
・民法177条の対抗要件主義とはどのような制度であり、同条がどのような原因(契約、取消し、解除、取得時効等)に基づく物権変動に適用されるかについて、基本 的な考え方の対立と問題点を説明することができる。
・動産物権変動における対抗要件主義がどのような制度であり、どのような場合に問 題となるかを具体例に即して説明することができる。
第7回[対面/face to face]:占有の効力①
・動産の即時取得とはどのような制度であり、それが認められるための要件はどのようなものか、盗品・遺失物についてどのような例外が認められるかを、具体例に即 して説明することができる。
・公信の原則とはどのような原則であるかを、無権利の法理や公示の原則との関係を踏まえて説明することができる。
・不動産取引において、民法94条2項の適用や類推適用がどのような意味を持つかを、 公信の原則との関係に留意しながら、具体例に即して説明することができる。
第8回[対面/face to face]:占有の効力②
・取得時効とはどのような制度であり、また、どのような権利がその対象となるかについて説明することができる。
・取得時効の要件について概要を説明し、また、条文を参照しながらその要件の具体 的内容を説明することができる。
・占有の侵害についてどのような態様があり、占有者はそれぞれどのような救済を求めることができるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・所有者が無権原占有者に対して目的物の返還を求める場合に生ずる問題点の概要 (果実収取権、費用償還請求権、本権と占有権との関係等)を、条文を参照しなが ら説明することができる。
第9回[対面/face to face]:一般不法行為①
(要件①)
・不法行為制度の機能及び目的について説明することができる。
・不法行為責任における過失責任、無過失責任、中間責任の考え方を、民法上及び特別法上の具体例を挙げて説明することができる。
・民法709条がどのような要件を充たせば責任の成立を認めているのか、またどのような場合に責任の成立が否定されるのかについて、その全体の構造を示すことができる。
・権利・利益侵害要件の持つ意味について、権利侵害と違法性の関係に関する判例・学説の展開を踏まえつつ、説明することができる。
・過失とは何かについての基本的な考え方を説明することができる。
・損害とは何か、損害にはどのような種類のものがあると考えられているかについて、基本的な考え方を説明することができる。
・主要な事件類型(名誉・プライバシー侵害、公害・生活妨害、医療過誤、第三者による債権侵害、自動車事故、製造物による事故等)に即して、不法行為の要件・効果を説明することができる。
第10回[対面/face to face]:①一般不法行為②(要件②)
②特殊不法行為①
・因果関係についての基本的な考え方を説明することができる。
・責任能力とはどのような概念であるかを、行為能力・意思能力と対比して説明することができる。
・責任無能力者の不法行為について、監督義務者がどのような根拠に基づいてどのような責任を負うかを、説明することができる。
・使用者責任において、使用者がなぜ被用者の行為について責任を負うのか、また、使用者責任の要件と効果(被用者への求償を含む)はどのようなものかについて、説明することができる。
第11回[対面/face to face]:特殊不法行為②
・工作物責任において、工作物の占有者や所有者がなぜ責任を負うのか、また、工作物責任の要件と効果はどのようなものかについて、説明することができる。
・共同不法行為責任の意義、要件及び効果について、説明することができる。
第12回[対面/face to face]:不法行為の効果
・賠償されるべき損害の範囲及び額の算定についての基本的な考え方(過失相殺、損益相殺等を含む)を説明することができる。
・損害賠償の方法についての基本的な考え方を説明することができる。
・侵害行為の差止請求と不法行為に基づく損害賠償請求との関係について、説明することができる。
・不法行為責任の成立が求められる場合に、損害賠償請求をすることができる者は誰かについて、説明することができる(被害者が死亡した場合、生存している場合、胎児の損害賠償請求の可否を含む)。
・不法行為一般における損害賠償請求権の期間制限について、説明することができる。
第13回[対面/face to face]:①事務管理
②不当利得①
・事務管理とはどのような制度であり、どのような要件が備われば事務管理の成立が認められるかを、説明することができる。
・事務管理の成立が認められる場合に、事務管理者と本人の間でどのような権利義務関係が生ずるかを、条文を参照して、委任との異同に留意しながら説明することができる。
・不当利得がどのような制度であり、具体的にどのような場合に問題となるかについて、不当利得についての考え方の対立に留意しながら、具体例を挙げて説明することができる。
・不当利得債務者はどのような要件の下で、またどのような範囲で利得の返還義務を負うかを、具体例に即して説明することができる。
第14回[対面/face to face]:不当利得②
・不法原因に基づく給付の返還請求が認められないという原則とその例外について、民法90条との関係に留意しながら、具体例を挙げて説明することができる。
・いわゆる転用物訴権とはどのような制度であり、どのような場合に認められるかについて、考え方の対立と基本的な問題点を理解している。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・上記「授業計画」記載の各回における教科書の該当部分を必ず読んで授業に臨んでもらいたい。予習では、教科書および配布したレジュメの該当部分を読み理解し、授業前にわからない部分を明確にしておくことが必要である。授業では、その不明な点について確認をし、また、授業でそれについて触れなかった場合には、授業外で質問し、理解する必要がある。
・本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
・遠山純弘『請求権から考える民法2』(信山社、2020年)3,190円
・なお、教科書の修正箇所については、学習支援システムを通じて連絡する。
参考書References
①松久三四彦ほか『オリエンテーション民法〔補訂版〕』(有斐閣、2022年3月刊行予定)価格未定。
②潮見佳男ほか『民法判例百選Ⅰ総則・物権[第8版]』(有斐閣、2018年)2,530円
③窪田充見ほか『民法判例百選Ⅱ債権[第8版]』(有斐閣、2018年)2,530円
・そのほか必要な参考書は、授業中に適宜紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価の方法と基準は、以下の通りである。
・定期試験(80%)
*事例式問題によって「共通的な到達目標モデル(第2次案修正案)」(民法)記載の事項について理解度を確認する。
・小テスト(10%)
・質疑応答(10%)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・学生からは、民法は覚えることが多すぎるという意見を聞く。ただ、この問題は、法学未修者については、法学部の学生が4年間かけて修得すべきことを1年間で修得するのであるから、法学未修者にとって避けて通ることができない問題である。この点については、1年次において授業で取り上げるすべての事項を修得しようとせず、1年次で修得すべき事項(これについては、別紙資料参照)を優先的に学修し、2年次以降に取り上げる事項については、「民法演習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」を通して修得するといった対応が必要であろう。
・また、授業内容が難しいという意見も聞く。ただ、そうした学生の中には、民法Ⅰ・Ⅱおよび基礎ゼミⅠで取り上げた基礎知識を理解できていない者が多い。民法の授業は積み上げ方式であり、民法Ⅲ・民法Ⅳも、それ自体で完結した科目ではない。そのため、民法Ⅰ・Ⅱあるいは基礎ゼミの内容が理解できていない者は、夏休み中にしっかり復習をしておく必要がある。