法務研究科Law School
LAW500A2(法学 / law 500)民法ⅡCivil Law Ⅱ
遠山 純弘Junkou TOOYAMA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | V1421 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期後半/Spring(2nd half) |
曜日・時限Day/Period | 火2/Tue.2,金3/Fri.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 必修 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
法律基本科目群(基礎科目) 民事系 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
【Course outline】
Through Civil Law Ⅰ-Ⅴ, students learn about basic knowledges and systematic understandings of Civil Law.
In Civil Law Ⅰ-Ⅱ students learn about Contract law.
In Civil Law Ⅱ students especially learn about Termination of Obligations, Breach of Contract, Problems concerning individual Contracts.
【Learning Objectives】
The goal of this class is to enable students to understand and explain
each theme described in the "Class Plan" below.
【Learning activities outside of classroom】
Before/after each class meeting, students will be expected to spend four
hours to understand the course content.
【Grading Criteria /Policies】
Your overall grade in the class will be decided based on the following
Term-end examination: 80%, little examination : 10%, in class
contribution: 10%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
・「民法Ⅰ~Ⅴ」の全体を通じて、民法の構造および民法上の諸制度に関する基礎的・体系的理解の獲得とともに、法的思考力の養成を目指す。
・「民法Ⅰ」および「民法Ⅱ」では、学生は「契約法」について学ぶ。「民法Ⅱ」では、「契約法」のうち、主として、「債権の消滅原因」、「債務不履行や契約不適合給付における債権者・買主の救済手段」および「個別契約をめぐる諸問題」について学ぶ。
・各回の授業は、受講者が入念に予習していることを前提に、対話形式で基本的知識を確認しながら、それらの基本的知識がもつ意味と問題の全体像について解説を加えるという形で進める。
・到達度を確認するために、授業中に小テストを実施する。
到達目標Goal
・下記「授業計画」記載の各項目について、学生がその内容を理解し、具体的に説明することができるようになることである。
・民法Ⅱでは、主として、債権の消滅、債務不履行および契約不適合給付における債権者または買主の救済手段および個別契約における諸問題について学ぶ。どのような場合に債権が消滅し、また、債務不履行や契約不適合給付がなされた場合に債権者や買主にどのような救済手段があるのかを学生が理解し、具体的に説明することができるようになること、そして、個別契約をめぐってどのような問題があり、それらを判例・学説がどのように考えているかを学生が理解し、具体的に説明することができるようになることである。
・民法Ⅰ~Ⅴ、民法演習Ⅰ~Ⅲを通じての到達目標については、別紙資料のとおりである。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」と「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
・双方向・多方向形式を基本としつつ、講義形式を併用する。
・各回の授業は、受講者が教科書および予習課題に基づいて入念な予習をしていることを前提に、対話形式により基本的知識を確認しつつ、発展的事項の解説を加えるかたちで行う。
・授業は、教科書および配布するレジュメに従って進める。教科書において基
本的な事項を確認したあと、レジュメで応用的な問題について解説する。
・授業内の課題(小テスト)および定期試験のフィードバックは、授業内または定期試験解説期間において解説を行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:債権の消滅①
(弁済・供託・代物弁済)
・債務者以外に債務の弁済をなすことができるのはどのような者であるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・第三者が債務を弁済した場合に、事後の法律関係(求償権の発生の有無、求償権の範囲等)がどうなるかを、具体例に即して説明することができる。
・弁済を受領する権限を有しない者に対して弁済がなされた場合にどのような法律関係が生ずるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・弁済の充当とはどのような制度であるか、また、どのような順序で行われるかについて、条文を参照しながら説明することができる。
・弁済の提供とはどのような制度であり、弁済の提供があった場合にどのような効果が生ずるか、また、どのような行為をすれば弁済の提供があったといえるかを説明することができる。
・供託とはどのような制度であり、供託によってどのような効果が生ずるかを説明することができる。
・弁済による代位とはどのような制度であり、どのような場合に弁済による代位が認められるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・弁済による代位によって、代位者がどのような権利を行使することができるかを、求償債権と原債権の関係に留意しながら、具体例に即して説明することができる。
・法定代位をなしうる者が複数存在する場合に、その相互関係がどうなるかを、条文を参照しながら、具体例に即して説明することができる。
・代物弁済とはどのような制度であり、その効果が生ずるためにはどのような要件を備えている必要があるかを、具体例を挙げて説明することができる。
第2回[対面/face to face]:①債権の消滅②
(相殺・更改・免除・混同)
②給付不能と危険負担
・相殺とはどのような制度であり、どのような機能を果たしているかを、具体例を挙げて説明することができる。
・民法で規定される相殺が認められるためにはどのような要件が備わっている必要があるかを、具体例に即して説明することができる。
・差し押さえられた債権を受働債権として相殺をすることができるか、できるとすればその要件は何かについて、判例・学説の考え方と問題点の概要を、具体例に即して説明することができる。
・更改とはどのような制度であるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・債務免除とはどのような制度であり、その効果を生ずるためにはどのような要件が備わっている必要があるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・混同による債務の消滅が生ずるのはどのような場合か、またその例外はどのような場合に認められるかを、それぞれ具体例を挙げて説明することができる。
・特定物債権及び種類債権の意義を説明し、それぞれ具体例を挙げることができる。
・種類債権の特定とはどのような制度であり、特定が生ずる要件及び効果はどのようなものであるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・契約上の給付が不能である場合の法律関係について、不能がどの時点で生じたのかに留意しつつ、全体の概要を説明することができる。
第3回[対面/face to face]:①同時履行の抗弁権
②履行の強制
③債務不履行にもとづく損害賠償①(要件①)
・双務契約において同時履行の抗弁権がどのような場合に認められるか、また、同時履行の抗弁権が認められる場合の効果は何かについて、説明することができる。
・双務契約において危険負担がどのような場合に問題となり、その場合に契約上の債権債務がどうなるかについて、具体例を挙げて説明することができる。
・債権にはどのような権能が認められるかについて、その概要を説明することができる。
・債権の履行強制の意義と限界及び債権の履行強制の方法について、具体例を挙げて説明することができる。
第4回[対面/face to face]:債務不履行に基づく損害賠償②(要件②)
・債務不履行のさまざまな類型を、それぞれの類型に結びつけられた効果と合わせて説明することができる。
・債務不履行に基づく損害賠償の要件及び効果について、債務不履行の類型の相違に留意しつつ、それぞれ具体例を挙げて説明することができる。
・債務不履行に基づく損害賠償請求と不法行為に基づく損害賠償請求の関係(安全配慮義務の位置づけを含む)について、説明することができる。
第5回[対面/face to face]:①債務不履行に基づく損害賠償③(効果)
②解除①(要件)
・金銭債務の不履行を理由とする損害賠償に関する特則について、説明することができる。
・損害賠償の予定及び違約金に関する合意はどのような範囲で効力を有するかを説明することができる。
・解除が何を目的とした制度であるかについて、説明することができる。
・解除にはどのような種類のものがあるかについて、説明することができる。
・債務不履行を理由とする解除が認められるための要件について、債務不履行の類型の相違を考慮しながら説明することができる。
第6回[対面/face to face]:解除②(効果)
・解除権が行使された場合の当事者間での効果について、説明することができる。
・解除権の行使が第三者との関係でどのような意味を持つかについて、説明することができる。
第7回[対面/face to face]:契約不適合給付における買主の救済手段
・売買の目的の全部または一部が他人に属していた場合に、売主はどのような義務ないし責任を負い、また買主はどのような要件の下でどのような権利を有するかを、具体例に即して説明することができる。
・目的物の数量が不足していた場合、あるいはその一部が契約締結時において滅失していた場合に、買主はどのような要件の下でどのような権利を有するかを、具体例に即して説明することができる。
・売買の目的物の利用が他人の利用権等によって制限される場合、売買の目的物の利用のために必要な権利が存在していなかった場合に、それぞれ、買主はどのような要件の下でどのような権利を有するかを、具体例に即して説明することができる。
・売買の目的物に瑕疵がある場合に、瑕疵担保責任の法的性質ついての考え方の対立を踏まえて、買主はどのような要件の下でどのような権利を有するかを、具体例に即して説明することができる。
・改正法における担保責任と債務不履行責任との関係を説明できる。
・契約不適合給付における買主の救済手段について説明できる。
第8回[対面/face to face]:受領遅滞
・受領遅滞とはどのような制度であり、その要件及び効果はどのようなものかについて、弁済の提供の制度と関連づけながら説明することができる。
第9回[対面/face to face]:売買契約
・契約にはどのような種類のものがあるか(双務契約と片務契約、有償契約と無償契約等の意味)について、具体例を挙げて説明することができる。
・契約自由の原則(締結の自由、方式の自由、内容の自由、相手方選択の自由)について説明することができる。
・事情変更の原則の要件及び効果について、説明することができる。
・契約締結過程における契約交渉当事者の義務が問題となる場面について、具体例を挙げて説明することができる。
・売買とはどのような契約であり、どのような要件が備われば成立するかを説明することができる。
・売買契約における手付とはどのような概念であり、どのような意義・機能を有するものであるかを説明することができる。
・売買の予約とはどのような概念であり、どのような場合に用いられるかを、具体例を挙げて説明することができる。
・売買契約の諸規定が有償契約に準用されるということの意味を理解している。
第10回[対面/face to face]:①消費貸借・使用貸借
②賃貸借契約①
・金銭債権における元本債権と利息債権の違いについて、利息債権がどのような場合に発生するかを含めて説明することができる。
・消費貸借とはどのような契約であり、どのような要件が備われば成立するか(消費貸借の予約や準消費貸借を含む)を説明することができる。
・利息制限法の制限を超える利息を約した消費貸借契約の効力について、具体例に即して説明することができる。
・使用貸借とはどのような契約であるかについて、賃貸借との違いに留意しながら、説明することができる。
・賃貸借とはどのような契約であり、賃貸人と賃借人の間でどのような権利義務(賃貸人の修繕義務・費用償還義務等を含む)が生じるかを、説明することができる。
・賃貸借の終了に関する民法の規律及び判例・学説の基本的な考え方について、説明することができる。
・賃借権の譲渡や賃貸物の転貸がなされた場合の法律関係について、説明することができる。
第11回[対面/face to face]:賃貸借契約②
・賃貸借の目的物が第三者に譲渡された場合の法律関係について、説明することができる。
・賃借権が第三者によって侵害された場合に、賃借人にどのような救済が認められるかについて、説明することができる。
・賃貸借契約の締結に際して交付された敷金とはどのようなものであるか、また、その返還に関する権利義務関係がどうなるかについて、説明することができる。
・借地借家法の適用範囲について理解している。
・借地借家法における存続期間・更新に関する規律(定期借地権・定期建物賃貸借を含む)の概要について、条文を参照しながら説明することができる。
・借地借家法における借地権及び建物賃借権の対抗力に関する規律の趣旨及び概要について、説明することができる。
・以上の他、借地借家法における重要な規律(裁判所による土地の賃借権の譲渡・転貸の許可、建物買取請求権、賃料増減額請求権等)について、条文を参照しながら、説明することができる。
第12回[対面/face to face]:役務提供契約①(雇用・請負)
・雇用、請負、委任(準委任を含む)、寄託とはそれぞれどのような内容の契約であるかについて、相互の契約類型の違いに留意しながら、具体例をあげて説明することができる。
・請負人がどのような義務ないし責任を負うかについて、売買における売主の場合と対比して、説明することができる。
・建物建築請負契約において、完成した建物の所有権の帰属に関する判例の考え方とこれに関する学説の主要な見解について、具体的な効果の相違に留意しながら説明することができる。
・請負において仕事の目的物が滅失・損傷した場合における法律関係について、説明することができる。
第13回[対面/face to face]:役務提供契約②(委任・寄託)
・委任において、受任者が負う主要な義務の内容について、その概要を説明することができる。
・委任の終了原因について説明することができる(委任契約における任意解除権の規律、その制度趣旨及び判例の展開を含む)。
・寄託において受寄者が寄託物の保管につき払うべき注意義務の内容について、説明することができる。
第14回[対面/face to face]:①贈与契約
②その他の典型契約
・贈与とはどのような契約であり、どのような要件が備われば成立するか、どのような場合に契約を解除することができるかを説明することができる。
・贈与契約に基づいて贈与者がどのような義務ないし責任を負うかを説明することができる。
・組合とはどのようなものであり、どのようにして成立し、どのように終了するかについて理解している。
・組合の財産に関する権利関係について、不動産の所有および債権の帰属を例に、説明することができる。
・組合の債務を誰が、どの財産によって負担するかについて、説明することができる。
・組合の業務執行及び対外的取引はどのように行うかについて、その概要を理解している。
・和解とはどのような内容の契約かについて、説明することができる。
・和解契約によって争うことができなくなる権利義務関係はどのようなものか、またどのような範囲かについて、具体例を挙げて説明することができる。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・上記「授業計画」記載の教科書の該当ページおよびレジュメを必ず読んで授業に臨んでもらいたい。予習では、教科書および配布したレジュメの該当部分を読み理解し、授業前にわからない部分を明確にしておくことが必要である。授業では、その不明な点について確認をし、また、授業でそれについて触れなかった場合には、授業外で質問し、理解する必要がある。
・本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
・松久三四彦ほか『オリエンテーション民法(補訂版)』(有斐閣、2022年3月刊行予定)価格未定。
・なお、上記教科書の刊行が授業に間に合わない場合には、当面レジュメで授業を進める。
参考書References
・参考文献として以下の文献を挙げておく。
①潮見佳男『民法(全)〔第2版〕』(有斐閣、2019年)5,060円。なお、上記授業計画における各回の準備学習の頁数は、この文献の頁数である。
②潮見佳男ほか『民法判例百選Ⅰ総則・物権[第8版]』(有斐閣、2018年)2,530円
③窪田充見ほか『民法判例百選Ⅱ債権[第8版]』(有斐閣、2018年)2,530円
・そのほか必要な参考書は、授業中に適宜紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価の方法と基準は、以下のとおりである。
・定期試験(80%)
*事例式問題によって「共通的な到達目標モデル(第2次案修正案)」(民法)記載の事項について理解度を確認する。
・小テスト(10%)
・質疑応答(10%)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・学生からは、民法は覚えることが多すぎるという意見を聞く。ただ、この問題は、法学未修者については、法学部の学生が4年間かけて修得すべきことを1年間で修得するのであるから、法学未修者にとって避けて通ることができない問題である。この点については、1年次において授業で取り上げるすべての事項を修得しようとせず、1年次で修得すべき事項(これについては、別紙資料参照)を優先的に学修し、2年次以降に取り上げる事項については、「民法演習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」を通して修得するといった対応が必要であろう。
・授業内容が難しいという意見も聞く。ただし、わたしが見る限り、こうした学生の中には予習が不十分な学生が多い。法学未修者コースの授業であるからといって、授業をゼロから行うわけではない。授業は、予習をしてきていることを前提に行うので、十分注意をしてほしい。また、以前授業で取り上げた内容を理解していないためにその後の授業内容が理解できない学生も多い。民法は、積み上げ式で授業が進むので、つまみ食い的に授業を理解しようとしても難しい。民法の授業は、積み上げ式で授業が進むということを常に心にとめて授業を受けてほしい。