文学部Faculty of Letters
ARSk300GA(地域研究(地域間比較) / Area studies(Interregional comparison) 300)言語文化論ⅠLanguage and Culture I
粟飯原 文子、佐喜真 彩Ayako AIHARA, Aya SAKIMA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | A3805 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 集中・その他/intensive・other courses |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes |
教室定員以上の受講希望者がいる場合には抽選します |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリーCategory | 共通科目 |
他学科公開科目 | |
クラスGroup | |
昼夜表記Day or Night |
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すべて閉じるHide All
Outline (in English)
[Course outline]
This course is designed to provide students with new insights into concepts and contours of the "English-speaking world" by focussing on the experiences of formerly colonised peoples and countries.
[Learning objectivies]
By the end of this course, students are expected to gain a comprehensive understanding of the historical trajectories of the formerly colonised regions and the occupied territories thus a different perspective on World History.
[Learning activities outside of classroom]
Students must complete the assigned reading as preparation for classes. Preparatory study and review time for this class are 2 hours each.
[Grading criteria]
Evaluation will be based on weekly assignments (75%) and final paper (25%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
英語圏世界とは、むろんイギリスや北米だけではなく、世界中に広がるイギリスの統治地域や植民地(そしてアメリカの領土および占領地なども)を多く含みこむ。したがって、英語圏世界について学ぶこととは、多くの場合、旧植民地地域・占領地について学ぶことでもある。そのためにもこの授業では、かつて「太平洋の要石」と呼ばれた沖縄の歴史・文化的経験を一つの起点として取り上げ、そこから他の旧植民地地域・占領地の経験へ視野を広げることで「世界史」を異なる視座から学び、ひいては「英語圏」という枠組を再考することを目的とする。
到達目標Goal
・旧植民地地域・占領地について学び、現代の国際状況の理解につなげる。
・旧植民地地域・占領地の歴史を振り返り、その主体性を重んじながら、西洋の視点から語られる「世界史」に対する別様の視点を身につける。またそこから、多様な文化的背景をもつ人々および国々の相互交流とその意義や課題について複数の角度から理解する。
・東西の対立という観点から説明され、理解されがちな冷戦を、旧植民地地域・占領地の経験から再考する。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
・授業は学習支援システムを通じたオンライン(オンデマンド方式)での開講となる。授業開始直前に「お知らせ」を配信するので確認すること。
・毎回資料を配布するので各自で学習して、期限までに課題を提出すること。
・リアクションペーパーにおけるコメントの紹介、質問に対する応答を通じて、さらなる議論に活かしたい。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:オンライン/online
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]:ガイダンス・イントロダクション
授業の概要と進め方、成績評価の基準などについて説明。まず、アメリカと占領という視点から「英語圏の文化」とはなにか考える。
第2回[オンライン/online]:アメリカという基地帝国
「西漸運動」という美名の下に展開された領土拡張は、19世紀半ばのメキシコ戦争以後、キューバ、アラスカ、グアム、ハワイ、フィリピン、アジアへと及んだ。その進出を支えたのが、要衝として点在した駐留地の設置だった。アメリカの軍事基地拡大の軌跡を概観し、現在、世界中に点在し当たり前のように見過ごされているその基地の問題を考える。
第3回[オンライン/online]:冷戦・ポスト冷戦におけるアメリカの「解放とリハビリ」
支配国(者)から植民地住民を「解放」するというイデオロギーは、その後アメリカがその地を占領することの正当性を証明するものとして、国際社会にむけてだけでなく、アメリカ国内にむかっても宣伝された。その一事例として、アメリカの日本占領期における日本人女性のメディア表象を取り上げて、「解放とリハビリ」イデオロギーを批判的に考える。
第4回[オンライン/online]:沖縄から見る冷戦とポスト冷戦
現在もアメリカと日本の二重の共同統治におかれている沖縄では、「解放」イデオロギー(第3回テーマ)は当初のものから複雑に変遷した。近代以降の沖縄の歴史を住民の視点から概観し、「解放」イデオロギーで覆い隠された対象地域の実際の経験を沖縄の具体例から学ぶ。
第5回[オンライン/online]:冷戦期におけるアメリカの地域研究と文化統治
アメリカの地域研究は、特に冷戦期に軍事政策や外交政策などの国家的な利害関係と密接に関わりながら発展した。占領地でアメリカ軍が住民へ向けるまなざしと文化統治の実践(第6回テーマ)は、こうした地域研究が提供する知に基づいている。その一事例として、1943年以後本格化するアメリカの沖縄地域研究と占領政策および冷戦との関係を学ぶ。
第6回[オンライン/online]:占領者のまなざし——映画『八月十五夜の茶屋』を事例に
米軍による沖縄占領を題材にした映画『八月十五夜の茶屋』(1956)を観る。この映画のもととなる舞台劇は、アメリカ国務省による文化交流プログラムの一貫として国内にとどまらず、世界各地で上演された。この映画の分析を通じて、アメリカの対占領地住民観が占領政策に具体的にどのように反映されていたのかを学ぶ。
第7回[オンライン/online]:大城立裕「カクテル・パーティー」
大城立裕の芥川賞受賞作「カクテル・パーティー」(1967)は、英語圏で多数、翻訳出版され、「世界文学」の一部とみなされている。「カクテル・パーティー」の読解を通じて、占領者のまなざし(第6回のテーマ)を問い返した沖縄住民の思想を学ぶ。
第8回[オンライン/online]:沖縄の反戦運動と「第三世界」との連帯
大城立裕「カクテル・パーティー」の時代背景には、1965年のアメリカによるヴェトナム戦争での北爆を契機とした、沖縄住民の間で高まった反戦意識と「第三世界」との連帯の試みがある。平和を希求した人びとによる国際的な交流と、それを通して培われた占領、ひいては冷戦秩序をも問うたその思想と実践を学ぶ。
第9回[オンライン/online]:ブラック・ディアスポラ——ヴェトナム反戦運動の広がり
1967年に結成された「ヴェトナム反戦兵士の会(VVAW: Vietnam Veterans Against War)」に対する共感は、アメリカ国内にとどまらず、米軍基地が駐在する各地域に広がった。また、VVAWのGIたちは実際に海を渡り、ハワイ、フィリピン、沖縄などの地域の人びとと交流を深めた。そのような交流のなかで、GI達は各地域特有の住民運動に触発され、ヴェトナム反戦というシングルイシューにとどまらず、新しい視点を獲得していった。多様な文化や歴史的背景を持つ人びとの交流が生む視野の広がりを、反戦運動の文脈から学ぶ。
第10回[オンライン/online]:BLM運動におけるインターセクショナリティ
2020年に、大きな話題となったBlack Lives Matter(BLM)運動の重要な特徴の一つは、インターセクショナリティ(交差性)というフェミニスト的フレームワークを備えていることである。アフリカン・アメリカンをはじめとする、チカーナやラティーナ、先住民女性、アジアン・アメリカンなどのウィーメン・オヴ・カラーが培ってきた感性であるインターセクショナリティの概念を学び、さらにこれに呼応したアメリカ国外の運動も参照しながらその有効性の理解を深める。
第11回[オンライン/online]:軍事主義と性暴力
紛争下の性暴力は戦術の一つであり、それゆえにそれは戦争犯罪であることが国際社会で認められている。そして、紛争地にかぎらず駐留地で起きる性暴力も、戦地へ送り出す兵士の訓練を行う軍隊に起因する問題であることが世界各地で主張されている。軍事主義と性暴力の不可分な関係を考える。
第12回[オンライン/online]:「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク」(International Women’s Network Against Militarism)
1996年に沖縄の女性たちが行った「アメリカ・ピース・キャラバン」は、アメリカに加え、フィリピンなどのアジア各地、プエルト・リコなどのカリブ海地域など多様な歴史・文化的背景を持った人々との交流を生み、2004年にはトランスナショナルな運動(「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク」)を構築した。この意義を学び、9.11以後のアメリカによるアフガニスタン軍事攻撃を正当化する女性解放というレトリックと、これに同調した米国のフェミニストの主張を批判的に検討する。
第13回[オンライン/online]:アートで世界を再想像/創造する
韓国系アメリカ人アーティスト、テレサ・ハッキョン・チャ(Theresa Hak kyung Cha)の実験的著作『ディクテ』(1982)を通じて、トランスナショナルな視点から、アジア系アメリカ人のたずさえる植民地の記憶を考える。
第14回[オンライン/online]:期末課題の説明とまとめ
全体の復習をおこない、期末課題について説明する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
復習として授業時に配布したハンドアウトや資料を読み直すこと。
また、参考文献を適宜紹介するので、それを読むこと。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
資料を配布する。
参考書References
授業中に紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価の方法と基準は次の通り。
・各回の課題(リアクションペーパーなど)の提出(75%)
・期末課題(25%)
この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
受講生の思考をうながし、積極的に参加できるような講義を行うよう努力したい。
その他の重要事項Others
受講希望者は必ず1回目の授業に出席すること。