文学部Faculty of Letters
PHL200BB(哲学 / Philosophy 200)社会思想1(社会学概論)1Introduction to Sociology 1
岩野 卓司Takuji IWANO
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | A2264 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 木3/Thu.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリーCategory | 哲学科 |
他学科公開科目 | |
クラスGroup | |
昼夜表記Day or Night |
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Outline (in English)
In modern times the relationship between people and society is becoming thin. The spread of video games and the Internet has accelerated the isolation of human beings and the development of communication means such as mobile phones and e - mails, on the contrary, makes the "raw" human relationship less obscure. Even though it is not a withdrawal or a geek, modern society forces people to live "lonely". However, although interpersonal relationships are scarce, we are subject to various social constraints as they try to be conscious of themselves. "Nationality", "Law", "Age", "Fashion", "Media" and so on. In the lesson, it is the goal of the lesson to think about how human beings are "social animals" and to understand this. Your overall will be decided based on the following Term-end examination 70% and in class contributions 30%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
現代では人と社会の関係は希薄になりつつある。テレビゲームやインターネットの普及は人間の孤立化を加速させているし、ケータイやメールというコミュニケーション手段の発展も逆に「生の」人間関係を影の薄いものにしている。引きこもりやオタクでなくても、現代社会は人に「孤独に」生きることを強いるのである。しかし、対人関係が希薄であるとはいえ、私たちは自分が意識しようとしまいと様々な社会的な制約を受けているのだ。「国籍」、「法」、「時代」、「流行」、「メディア」等々。授業では、人間がいかに「社会的動物」であるかということを考えていき、このことを理解していくことが授業の目標である。
到達目標Goal
今期のテーマは「借り」である。「借りること」は私たちの日常ではごく当たり前の現象である。私たちは図書館で本を借りたり、友達からノートを借りたり、人からお金を借りたりする。そしてその場合、必ず「返す」ことが前提になっている。未開社会の贈与交換も貸し借りであるし、商業的な交換でも同時決済であろうとクレジットの決済であろうと貸し借りの論理を前提にしている。現代の資本主義も、企業が銀行から資金を借りることで成立している。それのみならず、「借り」は精神的な価値を伴う。「貸し手」は「借り手」に対して精神的に優位に立つし、返せない場合は「借り手」は罪悪感を覚える。負債と負い目は密接な関係にあるのだ。授業ではこの「借り」を主に贈与と交換との関係から考えていき、次の5つのテーマを検討していく。(1)負債(借金)というかたちで、「借り」がどのように資本主義の原動力となっているのか。(2)負債と負い目という形での「借り」がもつ物質的か価値と精神的な価値が「贈与交換」や道徳にどういう影響を与えているのか。(3)人間は生まれながらにして根源的な「借り」を背負っているのではないのか。原罪はどうだろうか。母との関係はどうだろうか。(4)臓器移植のように相手に「お礼」ができないときに背負う「借り」はどう解消すべきなのか。「返す」ことのできない「借り」はどう考えるべきか。(5)人から受けた恩は返すものではなく、他の人に「送る」べきではないのか。「借り」は贈与の連鎖を生み出すのではないのか。
授業では、これらのテーマを通して、「借り」と共同体についての理解を深めることを目標にする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
講義形式
毎回、前回の授業の復習をしたうえで、授業をすすめていく。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]:イントロダクション
共同体における借りと贈与
第2回[対面/face to face]:負債(借金)とは?
資本主義の原動力
第3回[対面/face to face]:負債(借金)のもたらす悪夢
宮部みゆき『火車』の分析
第4回[対面/face to face]:資本主義とキリスト教
キリスト教はどう資本主義の足かせとなっていたのか。しかし、時代が経つにつれてどう資本主義の発展を促したのか。
第5回[対面/face to face]:資本主義の交換VS慈愛と友情の贈与論。
シェイクスピア『ヴェニスの商人』の分析
第6回[対面/face to face]:負債と負い目
マルセル・モース『贈与論』:贈与交換における贈与者の優位
第7回[対面/face to face]:負債と負い目(2)
ニーチェ『道徳の系譜』:宗教と道徳の起源における負債
第8回[対面/face to face]:根源的な借り
原罪とは?フロイトのトーテム論
第9回[対面/face to face]:根源的な借り(2)
母と子の関係、母の暴力性
第10回[対面/face to face]:返せない贈与
臓器移植の場合
第11回[対面/face to face]:贈与の連鎖
「恩送り」の原理:「返す」のではなく「送る」こと
第12回[対面/face to face]:贈与が贈与を呼ぶ!
ペイ・フォワード:カルマ・キッチンなど
。
第13回[対面/face to face]:贈与が贈与を呼ぶ!(2)
クルミド・コーヒー店の冒険
第14回[対面/face to face]:まとめと試験
復習と解説
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業で配布したプリントや参考文献に基づいて復習し、自分の日常や取り巻く社会との
関係に照らし合わせて、よく考えてみること。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
授業でプリントを配布
岩野卓司『贈与論 資本主義を突き抜けるための哲学』(青土社)
参考書References
マルティン・ハイデッガー『存在と時間』(岩波文庫)
岩野卓司編『共にあることの哲学』(書肆心水)
フリードリッヒ・ニーチェ『道徳の系譜』(岩波文庫)
マルセル・モース『贈与論』(岩波文庫)
宮部みゆき『火車』(新潮社)
ナタリー・サルトゥー=ラジュ『借りの哲学』(太田出版)
ウイリアム・シェイクスピア『ヴェニスの商人』(新潮文庫)
デヴィッド・グレーバー『負債論』(以文社)
マウリツィオ・ラッツァラート『〈借金人間〉製造工場』(作品社)
山崎吾郎『臓器移植の人類学』(世界思想社)
クロード・レヴィ=ストロース『親族の基本構造』(青弓社)
小島庸平『サラ金の歴史』(中公新書)
平川克美『株式会社の世界史』(東洋経済新報)
三好春樹・芹沢俊介『老人介護とエロス』(雲母書房)
芹沢俊介『現代〈子ども〉暴力論』(春秋社)
今村仁司『貨幣とは何だろうか』(ちくま新書)
影山知明『ゆっくり、いそげ』(大和書房)
吉本隆明『母型論』(思潮社)
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点(30%)と学期末の試験(70%)
到達目標がどれだけ反映されているかが成績評価の規準となる。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし
その他の重要事項Others
外国語の能力は必要とされない。哲学や社会思想の予備知識もいらない。