文学部Faculty of Letters
HIS200BE(史学 / History 200)日本史特講ⅦSpecial Lecture on Japanese History VII
山田 康弘Yasuhiro YAMADA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | A3160 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 金1/Fri.1 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリーCategory | 史学科 |
他学科公開科目 | ○ |
クラスGroup | |
昼夜表記Day or Night |
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すべて閉じるHide All
Outline (in English)
Learn historical research methods of reading historical materials, pursuing historical facts, and drawing historical images.
The goals of this course are to learn historical research.
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than 2 hours for a class.
Your overall grade in the class will be decided based on the following.
Term-end examination: 70%、Short reports : 20%、in class contribution: 10 %
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
本講義は、主として日本史を素材にしながら、「歴史学とは何をする学問なのか」という問題を考えていくことを目的とする。
歴史学は、過去を研究対象とし、過去の事実を明らかにしていく。では、現代に生きる私たちにとって、現代から何十年も、あるいは何百年も昔の過去を知ることに、いったいどのような意味があるというのだろうか。過去を知っても、現代に活かせる教訓をただちに得られるとはかぎらない。なぜならば、過去と現代とでは状況が異なっているからである。また、過去を知っても、それで未来が見通せるわけでもない。なぜならば未来は、過去⇒現在という連続線上の先にあるわけではないからである。では、過去を知ることには、何ら意味も、価値もないのだろうか。
確かに、ただ単に過去を知るだけでは、何の意味もない。せいぜい「娯楽になる」といったことだけだろう。しかし、私たちは過去――とりわけ現代から近い過去(近現代史)を知り、それによって現代に生起しているさまざまな問題の「起源」を明らかにすることで、現代の問題をよりいっそう理解することができるようになる。また私たちは、過去――とりわけ現代から遠く離れた過去(古代史や中世史)を知り、その過去を現代と比較してみることで、現代を見ているだけでは「当たり前」すぎてわからない、現代の問題に気づくことができるようにもなるのだ。
このように、私たちは過去を知ることで、自分たちが生きている現代をより深く知ることができるようになる。そしてここにこそ、歴史学という学問の存在意義があるのだ。よく誤解されるのだが、歴史学は単に「過去を知るだけ」の学問ではない。過去を知り、そしてその過去を使って現代における問題の起源を探ったり、あるいは過去と現代とを比較したりすることによって「現代を知っていく」という学問なのである。本講義では、このことを解説していく。
具体的には、以下のような三部構成で講義を進めていく。まず第1~3回では、歴史学とは何を目的とする学問なのか、ということをあらためて示し、また、歴史学の研究はどのように進めていくのか、といった、歴史学のいわば「型」を解説していく。次いで第4~8回では「過去を知ることで現代を知る」ことを、戦国時代の日本と現代の世界とを比較しながら具体的に説明していく。そして第9~13回では、この「過去を知ることで現代を知る」ことをよりいっそう理解することができるよう、戦国時代から近代にいたるさまざまな事柄を歴史学の手法を使いながら分析し、議論していく予定である。
到達目標Goal
歴史学の存在意義を認識しうるとともに、論理整合性と事実立脚性という歴史学の決まりごとを理解することができる。また、データ(史料)の正しい取り扱い方や、問題設定から歴史像の構築にいたるまでの手法を把握することができ、さらに、歴史学研究の「社会的使命」をきちんと理解したうえ、歴史学の隣接諸科学におけるさまざまな理論の使い方などを身につけることができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
3部構成とし、講義形式で進める。配布プリントを使って解説する。出席カードやリアクションペーパー記入された疑問点については、次回の授業で回答する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]:歴史学はリベラルアーツである――「当たり前」から自由になるアーツ。
何百年も昔の過去を知って、現代に生きる私たちに何か役に立つのか。過去を知れば、教訓や得たり、未来を見通したりすることができるのか……。ここでは、歴史学とは何をする学問であり、何のためにあるのか、といった、歴史学のパーパス(存在意義)を説明していく予定である。
第2回[対面/face to face]:歴史学の研究はどのように進めていくのか。
疑問はいかにして得るのか、データ(史料)はどのように扱うべきか、そして、なぜ他者と論じ合う必要があるのか……。ここでは、「疑問を持ち、データを集めて分析し、自分なりの仮説を立て、他人と議論してこの仮説を修正していく」という、歴史学の基本的な「型」を伝授していく予定である。
第3回[対面/face to face]:歴史学が直面する問題とは何か。
歴史学の研究成果は、なぜ一部のマニアだけのものになりつつあるのか……。ここでは、専門化・細分化し、一般人はもとより他分野の研究者にとっても難解すぎて理解不能になっている歴史学の現状を説明し、なぜこういった事態にいたっているのかを考えていく予定である、
第4回[対面/face to face]:戦国時代の足利将軍とは何だったのか。
戦国時代、将軍はどこで、何をしていたのか……。戦国期においても、将軍はなお「日本列島全体の存在」であった。それゆえ戦国日本を知るためには、将軍を理解することが欠かせない。そこでここでは、戦国時代に活躍した将軍七人をとりあげ、その生涯を概説していく予定である。
第5回[対面/face to face]:なぜ足利将軍はすぐには滅亡しなかったのか。
足利将軍が戦国末まで存続しえた理由は何か……。ここでは、前回に引きつづいて戦国期将軍たちの生涯を概観するとともに、「大名たちにとって、将軍にはいかなる利用価値があったのか」という問題を考えていくことで、将軍がすぐに滅亡しなかった謎を解明していく予定である。
第6回[対面/face to face]:「信長包囲網」がうまくいかなかったのはなぜか。
義昭や毛利・武田・上杉・本願寺といった反信長の連合は、なぜ織田信長の封じ込めに失敗したのか……。ここでは、現代でも当てはまる「対等な者同士が団結しつづける」ことの困難さを、心理学や社会学の知見も援用しながら考えていく予定である。
第7回[対面/face to face]:戦国社会について、どのような「全体の見取り図」を描けるのか。
戦国期日本列島は、全体としてどのような姿をしていたのだろうか……。ここでは、戦国社会の「構造」(=骨組み)に注目していくことで、全体の見取り図を描き出していく。そしてそのうえで、戦国社会と現代世界とをくらべ、現代世界の特徴をあぶり出していく予定である。
第8回[対面/face to face]:戦争はなぜ起きるのか、協調が成立するのはなぜか――大名同士の「つき合い方」から考える。
なぜ戦国大名間では大規模な戦争が継起しなかったのか……。ここでは、「情報の非対称性」をはじめとする、戦争を引き起こす諸要因を紹介するとともに、戦国大名たちが近隣の者同士でそれなりに協調しあうことができたのはなぜか、といった問題を考えていく予定である。
第9回[対面/face to face]:「文化の相違」は、いかなる問題を引き起こすのか――キリスト教の伝来と禁教から考える。
キリスト教が戦国末に禁止されるのはなぜか……。ここでは、戦国の人たちがキリスト教という「異文化」をどのように「誤解」したのか、そしてその誤解を正さんとして宣教師たちが何をしたのか、といったことを見ていくことで、現代でもしばしば紛争を引き起こす「文明の衝突」を考える予定である。
第10回[対面/face to face]:天皇はなぜ生き残ったのか――英仏の王権と比較する。
武家政権は、なぜ天皇を存続させたのだろうか……。ここでは、「歴代武家政権と天皇との関係」を「中世における英・仏王権と教会との関係」と比較しながら考察し、「権威があったからだ」といったことで片づけられがちな、天皇存続の謎を解き明かしていく予定である。
第11回[対面/face to face]:「主君押込め」とは、どのようなメカニズムなのか。
「家臣たちが主君を押込める」という行為はどのような論理に基づくのか……。ここでは、室町・戦国から江戸時代末における「主人と従者の関係」を考えることで、私たちには自明すぎて気づきにくい、現代社会におけるさまざまな組織の「トップと現場」の関係を問い直していく予定である。
第12回[対面/face to face]:ボトムアップの問題点は何か。
現場の指揮官がトップの指示通りに動かないことは是なのか非なのか……。ここでは、戦国大名の軍隊、江戸時代の藩、戦前の軍部、終戦直後の半導体やデジカメ開発などの事例をとりあげながら、現代における組織のあり方についてあらためて考えていく予定である。
第13回[対面/face to face]:権力集中は何がきっかけで起きていくのか――ショック・ドクトリン。
権力とは何であり、権威との違いは何か。また権力は何が「きっかけ」で強化されるのか……。ここでは、戦国大名の強力な権力がどう形成されていったのか、という問題などを考えることで、「コロナ対策として政府への権限を強めるべき」という見方について考察していく予定である。
第14回[対面/face to face]:まとめ
これまでのまとめ、または試験を実施する予定である。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
プリント、ノートを見直して復習する。また、授業時に紹介する参考文献を可能な限り読む。本授業の準備学習・復習時間は、合計2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
特に指定しない。毎回、プリントを配布する。
参考書References
山田康弘『足利義輝・義昭――天下諸侍、御主に候』(ミネルヴァ書房、2019年)。その他は、授業時に適宜指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
学期末試験の点数70%、レポート20%、平常点10%の合計で評価する予定である。正当な理由による欠席の場合、自作の「欠席理由書」を提出すれば考慮する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
出席カードやリアクションペーパーなどで授業に関する疑問点などを書いてもらえれば、次回授業の際に取り上げていきたい。