経営学研究科Graduate School of Business Administration

本授業は東アジアおよび中国経済を中心にこの地域経済の発展過程と発展条件、経済発展の背景と要因、経済発展の特徴・形態などについて様々な視点から研究する。授業内容が前半と後半によって構成される。授業の前半は、東アジア地域の経済発展に関わる内容であり、理論から実証研究まで東アジア経済を徹底検証する。後半では、世界の新興経済大国―中国を中心にして講義する。具体的には「改革・開放」方針の導入を境に中国経済はどのように経済大国になったかを問題意識とし、中国経済の過去・現在および今後について分析・研究する。

①アジア経済の研究視点、方法について理解する；
②アジア経済の発展に関わる諸仮説および理論をマスターする；
③中国経済の発展メカニズムおよび移行過程を理解することができる；
④中国経済の高度成長の背景・要因および特徴についてマスターすることができる。

ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連、特に「DP1」は強く関連している。

日本語 / Japanese

本授業は教員講義を中心に出席者による討論という方式を採用する。毎回の授業は、1つのテーマを中心に教員がまず講義して論点を絞り出し、出席者全員参加の形式で討論することによって内容への理解を深める。

なし / No

なし / No

春学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：イントロダクション

授業全体に関する説明

第2回：アジア地域研究にあたって

東アジア・中国経済の現状と問題提起

第3回：東アジア経済の研究視点

東アジア経済の研究方法

第4回：アジア経済研究の歴史

アジア経済研究の理論

第5回：東アジア経済発展の背景

東アジア経済発展背景

第6回：戦後の東アジア経済発展の条件

東アジア経済発展の内部・外部条件

第7回：政府か、市場か

政府主導型モデル

第8回：東アジア経済発展と政府の役割

東アジア経済の発展戦略

第9回：東アジア経済発展の担い手

欧米と異なる特徴

第10回：「鼎構造」

〔公企業・外資系企業・地場資本〕の三位一体型構造の検証

第11回：対内直接投資と途上国経済

外資と東アジアの経済発展

第12回：何故、外資が必要か

対内直接投資の役割・意義の検証

第13回：華人・華僑とは

東アジア地域の華人・華僑の歴史と所在国の経済発展への役割

第14回：東アジア経済と華人・華僑資本

東南アジアを中心とする検証

第15回：「チャイナ・ミラクル」　

中国経済をどう捉えるか

第16回：改革・開放

制度移行の背景と過程

第17回：中国経済の発展モデル

「北京コンセンサス」

第18回：漸進主義的市場化改革

比較制度分析による検証

第19回：中国経済制度の改革（１）

農業改革

第20回：中国経済制度の改革（２）

工業改革

第21回：中国経済制度の改革（３）

国有企業をめぐる改革

第22回：中国経済制度の改革（４）

民営企業の発展

第23回：対外開放の狙いと効果

対外開放の過程と結果

第24回：国際分業へ関わり

経済発展への対外貿易の役割

第25回：海外資本の「引進来」（外資導入）

外資の対中進出の意義

第26回：中国の経済発展と対内直接投資の役割

中国経済成長への外資の貢献

第27回：中国資本の「走出去」（海外進出）

中国企業の対外直接投資

第28回：中国経済のグローバル化

世界経済へのインパクト

①週の授業終了後に参考文献や予習資料などを指定するので、これを予習する。
②授業時に配布される教材や資料を復習し、次回の授業時に問題提起を考える。
③授業の予定テーマに関連する資料を自ら収集し、これを持って授業討論に臨む。

少数の教科書を持って本授業の内容をカバーしきれないため、テキストを使用しない方針。その替わりに教員が用意する独自の教材を使用する。

（１）北原　淳・西澤信善編著 [2004]『アジア経済論』ミネルヴァ書房。
（２）星野妙子・末廣昭編[2006]『ファミリービジネスのトップマネジメント』 岩波書店。
（３）末廣昭著 [2000]『キャッチアップ型工業化論－アジア経済の軌跡と展 望』名古屋大学出版会。
（４）渡辺利夫編 [1997]『アジア経済読本』東洋経済新報社。
（５）南　亮進・牧野文夫編 [2012]『中国経済入門』（第 3 版）日本評論社。
（６）加藤弘之・上原一慶編 [2011]『現代中国経済論』ミネルヴァ書房。
（７）毛里和子 [1997]『改革・開放時代の中国』日本国際問題研究所。
（８）苑　志佳著[2009]『現代中国企業変革の担い手－多様化する企業制度とその焦点』批評社。
（９）苑　志佳［2014］『中国企業対外直接投資のフロンテア―「後発国型多国籍企業」の対アジア進出と展開―』創成社。
（１０）加藤弘之［2016］『中国経済学入門―「曖昧な制度」はいかに機能しているか』名古屋大学出版会

配分方針
（１）平常点（50 点）：予習状況、報告準備状況、問題提起のレベルなどを考慮する。
（２）クラス討論への貢献点（50 点）：クラス討論への参加を強く勧める。質問の有無やコメントの質をも重視する。

授業改善にかかわるご意見、アイデアなどあれば、オンラインクラス中だけでなく、メールなどを通して率直に発言してください。

この授業は、オンライン形式を採用するため、学生は、授業を受けるためのIT機器（パソコン、i-Pad など）を必ず事前に用意してください。

やむを得ない事情によって欠席する場合、必ず事前に連絡してください。

＜専門領域＞世界経済論（アジア経済、中国経済）
＜研究テーマ＞中国の産業競争力の実証研究、中国対外直接投資の研究
＜主要研究業績＞①『現代中国企業変革の担い手―多様化する企業制度とその焦点』（単著、批評社、2009 年）
②『中国社会主義市場経済の現在』（共著、御茶ノ水書房、2011 年）。
③『中国多国籍企業の海外経営』（共著、日本評論社、2013 年）
④『中国企業対外直接投資のフロンテア――「後発国型多国籍企業」の対ア ジア進出と展開――』（単著、創成社、2014 年）
⑤『グローバル競争下の自動車産業――新興国市場における攻防と日本メーカーの戦略』（共著、日刊自動車新聞社、2014 年）
⑥『21世紀資本主義世界のフロンティア－経済・環境・文化・言語による重層的分析－』（共編、批評社、2017年4月）