経営学研究科Graduate School of Business Administration
ECN500F1-0031(経済学 / Economics 500)産業組織論Industrial Organization
大木 良子Ryoko OOKI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 経営学研究科Graduate School of Business Administration |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X7029 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 年間授業/Yearly |
曜日・時限Day/Period | 金2/Fri.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 4 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 修士課程(昼間)授業科目 |
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Outline (in English)
The course provides a graduate level introduction to the theoretical Industrial Organization. Students will learn firms' behavior and its consequences in oligopolistic markets where the assumptions of perfect competition do not hold. For example, the pricing and marketing strategies of individual firms; the interactions between firms and anti-competitive issues. This course consists of lectures and presentations by students. Studying Industrial Organization will help you to understand how markets work in a logical way and to obtain a new perspective on firms' behaviors.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
産業組織論は、ミクロ経済学とゲーム理論から、企業行動や企業間のインタラクションを分析するために有効なツールについて扱う。ミクロ経済学で最初に学習する「完全競争」の概念から離れ、より現実的で複雑な市場における競争を分析し、それらが消費者や経済全体に与える影響を明らかにする。加えて、理論的な分析から市場の競争に対する政策(競争政策)への示唆を導く。産業組織論の各トピックに対応する現実の事例について、理論の分析結果と現実との一致や相違点を参加者で議論し、経営学など隣接分野への応用可能性について考える。
到達目標Goal
1.産業組織論の理論的基礎を体系的に理解する。またその知識を活用して応用的な文献を理解できるようになる。
2.学んだ理論を使って、現実の企業の行動を自らの言葉で説明し、経済学的な視点で評価することができるようになる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連、特に「DP1」は強く関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
産業組織論の各トピックに対応する現実の事例について、理論の分析結果と現実との一致や相違点をレクチャーで解説したり、受講生による報告や質疑応答によって議論することで、産業組織論の考え方と経営学など隣接分野とのリンクをはかる。
講義の進め方としては、教員がレクチャーを行った後、そのトピックに関連する専門書を輪読する。報告者は、レジュメを作成し、要点を整理する。報告者以外は、予習の上、報告者への質問を考え教員に提出する。また、報告で用いた文献の理解度を確認するために、教員から受講者に複数の質問を行う。報告では、要点を整理する力と理論的結論を解釈する力を評価する。またレポート課題により問題を解くことによる理論の習熟度を確認する。提出された受講生のレポートについて、各学期最終回の授業でフィードバックを行い、議論のポイントや間違いやすい点について共有する。
オンラインでの講義動画配信・Zoom等を用いたリアルタイム講義、また教室での対面講義を組み合わせて実施する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
通年
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:独占市場レクチャー1
独占市場の経済理論について概略を説明する。経済学初学者に向けた基本的な用語解説、文献紹介を行う。
第2回:寡占市場レクチャー2
寡占市場の具体例:数量競争・価格競争
ゲーム理論の基礎:戦略とは、ナッシュ均衡とは?
第3回:寡占市場レクチャー3
同質財のクールノー競争・ベルトラン競争の均衡分析
クールノー競争とベルトラン競争の比較
第4回:独占市場に関するテキストの輪読1
参加者によるテキスト0章の報告、ディスカッション
第5回:独占市場に関するテキストの輪読2
参加者によるテキスト1章の報告、ディスカッション
第6回:価格差別レクチャー1
企業が用いる価格差別の手法の紹介
第7回:価格差別レクチャー2
現実の価格差別事例を経済理論で分析する。それぞれの価格差別が競争に与える影響を考える。
第8回:価格差別に関するテキストの輪読1
参加者によるテキスト2章前半の報告、ディスカッション
第9回:価格差別に関するテキストの輪読2
参加者によるテキスト2章後半の報告、ディスカッション
第10回:寡占市場に関するテキストの輪読1
参加者によるテキスト4章前半の報告、ディスカッション
第11回:寡占市場に関するテキストの輪読2
参加者によるテキスト4章後半の報告、ディスカッション
第12回:寡占市場に関するテキストの輪読3
参加者によるテキスト5章の報告、ディスカッション
第13回:問題演習、事例研究
これまでに学んだ内容について、具体的な競争政策上問題になった事例を用いて分析する。またテキストの内容に沿った練習問題を解く。
第14回:レポート課題の解説
レポート課題を提出後その内容について解説する。
第15回:垂直的取引制限レクチャー1
垂直的な取引関係と垂直的取引制限の具体的な事例
第16回:垂直的取引制限レクチャー2
なぜ企業は垂直的取引制限を用いるのか。市場競争に与える影響。
第17回:垂直的取引制限に関するテキストの輪読
参加者によるテキスト3章前半の報告、ディスカッション
第18回:垂直的取引制限に関するテキストの輪読
参加者によるテキスト3章後半の報告、ディスカッション
第19回:製品差別化レクチャー
製品差別化と市場支配力
立地モデルによる製品差別化の分析
第20回:製品差別化に関するテキストの輪読1
参加者によるテキスト6章前半の報告、ディスカッション
第21回:製品差別化に関するテキストの輪読2
参加者によるテキスト6章後半の報告、ディスカッション
第22回:カルテルレクチャー
カルテルの具体的な摘発例
カルテルの経済モデルによる分析
第23回:カルテルに関するテキストの輪読1
参加者によるテキスト7章前半の報告、ディスカッション
第24回:カルテルに関するテキストの輪読2
参加者によるテキスト7章後半の報告、ディスカッション
第25回:ネットワーク効果に関するレクチャー
・ネットワーク外部性とはなにか
・ネットワーク外部性がある市場の具体的な例と特徴的な企業戦略とは?
・プラットフォームと競争政策:最近の動向
第26回:ネットワーク効果に関するテキスト輪読
参加者によるテキスト11章の報告、ディスカッション
第27回:問題演習、事例研究
これまでに学んだ内容について、具体的な競争政策上問題になった事例を用いて分析する。またテキストの内容に沿った練習問題を解く。
第28回:レポート課題の解説
レポート課題を提出後その内容について解説する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
レクチャー部分については、レポート課題を念頭に、授業後の復習が必要です。
輪読部分については、予習をし、報告者はレジュメを用意、報告者以外は質問を準備し、授業中の活発な議論に役立ててください。各受講生には、レポート課題に加え、年間4回程度のプレゼンテーションを求めます。
テキスト(教科書)Textbooks
花薗誠(2018)「産業組織とビジネスの経済学」 有斐閣を指定します。
参考書References
レクチャー部分の参考文献として、以下を中心に適宜紹介します。
小田切宏之(2019)「産業組織論」有斐閣
小田切宏之(2001)「新しい産業組織論」有斐閣
柳川隆・川浜昇編(2006)「競争の戦略と政策」有斐閣
小田切宏之 (2008)「競争政策論」日本評論社
小田切宏之 (2016)「イノベーション時代の競争政策」有斐閣
小田切宏之 (2010)「企業経済学」東洋経済新報社
岡田羊祐・川濱昇・林秀弥 (2017)「独禁法審判決の法と経済学: 事例で読み解く日本の競争政策」東京大学出版会
岡田羊祐・林秀弥 (2009)「独占禁止法の経済学」東京大学出版会
Belleflamme, P. and M. Peitz (2015) Industrial Organization: Markets and Strategies 2nd edition, Cambridge University Press
Motta, M. (2004) Competition Policy, Cambr」idge University Press
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価は以下の基準で決めます。
輪読時の報告40%
授業内における質問・討論への参加30%
レポート課題の評価30%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
受講生のレベルに合わせ、輪読テキストの選択やレクチャーの難易度を調整していく。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
リアルタイムのオンライン授業や、授業動画配信を行うため、インターネット環境及びパソコン等の通信機器を必要とします。
その他の重要事項Others
ミクロ経済学について基本的な知識を習得していることを受講の前提とします。学部においてミクロ経済学やそれに関連する授業を既に学習済みでない場合には、基礎的な内容を並行して学習してください。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
産業組織論
<研究テーマ>
競争政策の経済分析
<主要研究業績>
Exclusive Content in Two-sided Markets, Journal of Economics and Management Strategy, forthcoming (with Akifumi Ishihara)