人文科学研究科Graduate School of Humanities
LIT500B2(文学 / Literature 500)日本文芸批評史特殊研究AResearch: History of Japanese Literary Criticism A
田中 和生
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0624 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 火5/Tue.5 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 日本文学専攻(博士後期課程) |
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Outline (in English)
Acquire an overview of the history of literary criticism in the Japanese modern literature through the writings of each critic and the stream of criticism.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
日本の近代文学における文芸批評の歴史を、個々の文芸評論家の文章と批評自体の流れから概観します。
到達目標Goal
まず近代文学における批評の役割を理解すること、次に日本の近代文学史を相対化する視点を手に入れることが目標になります。理想としては、文芸評論家の文章を要約・分析・模倣することを通じ、自らのうちに一つの批評眼を確立したいと思います。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
講義と発表を組みあわせて進めます。
まず講義では、具体的な評論文を読みながら批評自体の流れについて解説します。次に発表では、個々の文芸評論家の文章について、内容と文体の両面から紹介・解説・考察を加えてもらいます。
また個々の文芸評論家について理解が深まったところで、レポート提出を求めることがあります。レポートでは、文芸評論家の文章を模倣して自ら文芸批評を実践することによって、批評というものの内的な理解を目指します。
授業では、できるだけ学生からの発言と発表についての質疑を引き出すようにしますが、必要に応じて教員からのフィードバックを行い、授業内容についての理解を深めます。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:日本の近代文学について
近代ヨーロッパと近代日本を比較して、近代文学全体について概説します。
第2回:坪内逍遙と二葉亭四迷
坪内逍遙「小説神髄」と二葉亭四迷「小説総論」を読み、その意義を理解します。
第3回:島崎藤村と自然主義の誕生
島崎藤村「千曲川のスケッチ」を読み、日本における自然主義文学のはじまりについて解説します。
第4回:北村透谷『透谷選集』を読む
本の文芸批評の出発点として、北村透谷『北村透谷選集』について発表してもらいます。
第5回:1910年と石川啄木
日本の近代文学史における1910年の状況を解説し、石川啄木「時代閉塞の現状」を読みます。
第6回:佐藤春夫の評論文を読む
印象批評の例として、佐藤春夫の評論文について発表してもらいます。
第7回:平塚らいてうと与謝野晶子
平塚らいてう「元始女性は太陽であつた」と与謝野晶子「母性偏重を排す」を読み、その意義を理解します。
第8回:小林秀雄の出発
日本の文芸評論の誕生を告げる、小林秀雄の前期の評論文について発表してもらいます。
第9回:白樺派の登場と私小説の完成
生田長江「自然主義前派の跳梁」と武者小路実篤「新しき村に就て」を読み、その意義を理解します。
第10回:中野重治の批評
プロレタリア文学以降のもっとも重要な成果の一つである、中野重治の評論文について発表してもらいます。
第11回:谷崎潤一郎と芥川龍之介
谷崎潤一郎「饒舌録(抄)」と芥川龍之介「文芸的な、余りに文芸的な(抄)」を読み、その意義を理解します。
第12回:平野謙の登場
戦後文学の代表的な文芸時評家である、平野謙の評論文について発表してもらいます。
第13回:中村光夫と1945年
中村光夫「『近代』への疑惑」を読み、1945年の敗戦にいたるまでの日本文学の状況を概括します。
第14回:江藤淳の出発
戦後文学を問い直す視点を提示しつづけた、江藤淳の評論文について発表してもらいます。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
日本の近代文学史についての基礎的な知識を確認して授業を受けてください。また授業で取りあげられる作家や評論家の代表作に目を通してから授業に臨むことが望まれます。発表の対象となる文章は、ぜひ全員が読んで参加することで活発な議論が起きることを期待します。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
千葉俊二/坪内祐三編『日本近代文学評論選』[明治・大正篇]および[昭和篇](岩波文庫)
参考書References
必要に応じて授業で指示します。
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績は平常点4割、発表およびレポート6割で総合的に評価します。
まず平常点では、きちんと出席しているか、授業内容に積極的に取り組んでいるか、授業外の学習ができているか、を授業態度から判断します。
また発表では、発表対象の評論文についてしっかり理解できているか、発表の仕方とレジュメの内容は適切か、ただの解説にとどまらず分析から考察まで行おうとしているか、を発表内容から判断します。加えてレポートでは、積極的に取り組んでいるかどうかを判断します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
発表の内容を受講生の研究テーマに応じて修正しました。
担当教員の専門分野等
〈専門領域〉日本近・現代文学、文芸評論
〈研究テーマ〉
現在の主な関心は、日本の近代文学の特質を明らかにすること、そこから現代文学の条件を考えること、同時に詩・物語・批評といった言葉の機能から文学について論じる方法を探ることである。具体的には戦後文学史の検証、北村透谷・小林秀雄についての研究、新しい近代文学史の切り口を準備している。
〈主要研究業績〉
1、『江藤淳』(慶應義塾大学出版会)2001年
2、『あの戦場を越えて――日本現代文学論』(講談社)2005年
3、『新約太宰治』(講談社)2006年
4、『吉本隆明』(アーツアンドクラフツ)2014年
5、『震災後の日本で戦争を引きうける』(現代書館)2017年