法務研究科Law School
LAW500A2(法学 / law 500)民法演習ⅠSeminar on Civil Law I
高須 順一、新堂 明子、大澤 彩Junichi TAKASU, Akiko SHINDO, Aya OHSAWA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | V1521、V1522、V1523、V1524 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 水2/Wed.2, 水3/Wed.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | 2 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 必修 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
法律基本科目群(応用科目) 民事系 |
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Outline (in English)
This seminar's aim is to cultivate abilities to construe the Japanese civil law of contract and apply them to the actual examples and problems.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
民法総則、債権総論、契約総論、契約各論、さらに家族法の中から契約法に関わる分野をとりあげる。この演習においては、上記主題に関わる具体的な教材事案を示してこれを要件事実に整理し、問題解決のための基本論理を、判例および学説の現況をふまえたうえで、学習し、あわせて関連する主な制度および裁判例を検討する。
到達目標Goal
民法演習Ⅰでは契約法および契約法と家族法が交錯する分野に関する諸問題を学習する。討論、対話を通して具体的事案の解決に当たっての法的な分析能力や思考能力を養成することを目標とする。
すなわち、契約法における諸制度の趣旨を正確に理解できること、基礎知識を応用して紛争を解決するための法律構成を展開できること、問題解決に至る推論過程を論理的に表現できること、以上を到達目標とする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」と「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業においては、事前に学生に実際的な紛争に関わる具体的事例を提示し、基本類型およびそれと関連する展開例について、双方向的ないし多方向的な議論を行いつつ、事例の問題解決に導いていく。
また、特に重要であると考えられる事例については、知識を確実なものとするため小テストやレポートを課す。
授業開始直後に、インターネット上のデータベースの見方、使い方を説明する。
中間試験、定期試験実施後、問題解説、答案返却を行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:制限行為能力者制度
意思能力の意義及び意思能力のない者がした意思表示・法律行為の効力について、説明することができる。/行為能力制度の趣旨(目的・必要性)について説明し、どのような類型があるかを示し、各類型の要件及び効果について、条文を参照して説明することができる。/行為能力制度における、相手方の保護を図るための制度について、条文を参照して 説明することができる。
第2回:公序良俗違反の法律行為の効力
公序良俗とはどのような概念であるか、公序良俗に反する法律行為にはどのような類型があるかについて、具体例を挙げて説明することができる。/公序良俗違反の法律行為が無効であるという意味について、具体例に即して説明することができる。
第3回:代理関係、無権代理と相続
代理とはどのような制度であるか、またなぜ必要であるかを、具体例を挙げて説明することができる。/代理人の行った法律行為の効果が本人に帰属するためにどのような要件が必要であるかを、具体例に即して説明することができる。/代理人が、代理権なくして代理行為を行った場合に、代理行為の効果がどうなるかを説明することができる。/無権代理行為の相手方が、無権代理人に対して、どのような要件の下でどのような責任を追及することができるかを、具体例を挙げて説明することができる。/無権代理人の本人相続/本人の無権代理人相続/双方相続
第4回:表見代理
表見代理とはどのような制度であり、また無権代理とどのような関係にあるかを、具体例に即して説明することができる。/表見代理にはどのような類型があり、本人は、それぞれ、どのような要件の下で、どのような根拠に基づいて責任を負うかを、各類型の具体例を挙げて説明すること ができる。
第5回:通謀虚偽表示、錯誤、詐欺・強迫
通謀虚偽表示の意義及び当事者間における効力について、説明することができる。/通謀虚偽表示の第三者に対する効力について、具体例を挙げて説明することができる。/錯誤にはどのような種類があるかについて、具体例を挙げて説明することができる。/錯誤の要件及び効果について、説明することができる。/動機の錯誤の法的処理について、判例・学説の考え方とその問題点を説明すること ができる。/詐欺・強迫の要件及び当事者間における効力について、説明することができる。/詐欺・強迫による意思表示の第三者に対する効力について、説明することができる。
第6回:消滅時効
時効とはどのような制度であり、何のために認められているのかを、具体例を挙げ て説明することができる。/時効完成の効果(援用権の発生、援用権の趣旨、援用の効果、時効の効力)について、説明することができる。/時効が完成した場合に、その時効を援用することができるのは誰かについて、判 例・学説の基本的な考え方と問題点を説明することができる。/時効の援用権者がその援用権を行使することができないのはどのような場合か、またその理由は何かを、具体例を挙げて説明することができる。/時効の完成猶予及び更新がどのような制度であるかを説明し、どのような場合に完成猶予、更新が認められるかを、条文を参照しつつ説明することができる。/消滅時効とはどのような制度であり、また、どのような権利がその対象となるかについて説明することができる。/消滅時効の一般的な要件について、説明することができる。
第7回:債務不履行による損害賠償
債務不履行のさまざまな類型を、それぞれの類型に結びつけられた効果と合わせて説明することができる。/債務不履行に基づく損害賠償の要件及び効果について、債務不履行の類型の相違に留意しつつ、それぞれ具体例を挙げて説明することができる。
第8回:弁済の提供と受領遅滞、危険負担
弁済の提供とはどのような制度であり、弁済の提供があった場合にどのような効果が生ずるか、また、どのような行為をすれば弁済の提供があったといえるかを説明することができる。/受領遅滞とはどのような制度であり、その要件及び効果はどのようなものかについて、弁済の提供の制度と関連づけながら説明することができる。/双務契約において危険負担がどのような場合に問題となり、その場合に契約上の債権債務がどうなるかについて、具体例を挙げて説明することができる。
第9回:解除
解除が何を目的とした制度であるかについて、説明することができる。/債務不履行を理由とする解除が認められるための要件について、債務不履行の類型の相違を考慮しながら説明することができる。/解除権が行使された場合の当事者間での効果について、説明することができる。/解除権の行使が第三者との関係でどのような意味を持つかについて、説明することができる。
第10回:詐害行為取消権
責任財産とは何か、その保全がなぜ必要になるのかについて、債権者平等の原則との関連にも留意しながら説明することができる。/詐害行為取消権とはどのような制度であるのかについて、詐害行為取消権の法的性質をめぐる議論の概要を含めて説明することができる。/詐害行為取消権の要件(詐害行為と詐害意思)について、いくつかの具体例を挙げて説明することができる。/詐害行為取消権は誰を相手として行使すべきであり、その相手方に対する詐害行為取消権行使の効果が誰にどのような影響を及ぼすかを、具体例を挙げて説明することができる。
第11回:債権譲渡
債権の譲渡とはどのような制度であり、どのような場合に債権譲渡が行われるかを説明することができる。/債権の譲渡可能性(将来発生すべき債権の譲渡可能性・包括的な債権譲渡の可能性を含む)とその例外(譲渡禁止特約を含む)について、説明することができる。/債権譲渡の対抗要件の構造・仕組みについて、説明することができる。/
第12回:売買、契約不適合責任
売主がどのような義務ないし責任を負うかについて、説明することができる(債権法改正の内容を説明することができる)。/売買において目的物が滅失・損傷した場合における法律関係について、説明することができる。
第13回:賃貸借
賃貸借とはどのような契約であり、賃貸人と賃借人の間でどのような権利義務(賃貸人の修繕義務・費用償還義務等を含む)が生じるかを、説明することができる。/賃貸借の終了に関する民法の規律及び判例・学説の基本的な考え方について、説明することができる。/賃借権の譲渡や賃貸物の転貸がなされた場合の法律関係について、説明することができる。/賃貸借の目的物が第三者に譲渡された場合の法律関係について、説明することができる。/賃借権が第三者によって侵害された場合に、賃借人にどのような救済が認められるかについて、説明することができる。/賃貸借契約の締結に際して交付された敷金とはどのようなものであるか、また、その返還に関する権利義務関係がどうなるかについて、説明することができる。/借地借家法における借地権及び建物賃借権の対抗力に関する規律の趣旨及び概要について、説明することができる。
第14回:請負
請負人がどのような義務ないし責任を負うかについて、売買における売主の場合と対比して、説明することができる(債権法改正の内容を説明することができる)。/建物建築請負契約において、完成した建物の所有権の帰属に関する判例の考え方とこれに関する学説の主要な見解について、具体的な効果の相違に留意しながら説明することができる。/請負において仕事の目的物が滅失・損傷した場合における法律関係について、説明することができる。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業内容を確実に消化するために、教員の指示に従い、インターネット上の判例データベース・法律文献情報等を使用して事前・事後学習を行うことが要求される。なお、本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
債権法改正に応じて、授業中に適宜指示する。
参考書References
民法演習Ⅰ&Ⅱに共通(第何版かは省略)
佐久間毅『民法の基礎1、2』
潮見佳男『債権各論Ⅰ』、『債権各論Ⅱ』
中田裕康『契約法』
松井宏興『担保物権法』、『債権総論』
内田 貴『民法Ⅲ[第4版]債権総論・担保物権』
家族法につき、有斐閣双書、有斐閣アルマ等。
債権法改正につき、筒井健夫=村松秀樹編著『一問一答・民法(債権関係)改正』(商事法務、2018年)
相続法改正につき、堂薗幹一郎=野口宜大編著『一問一答・新しい相続法〔第2版〕』(商事法務、2020年)
『民法判例百選Ⅰ~Ⅲ[第8版]』(有斐閣、2018年)
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業期間中における評価(平常点)
授業態度、質疑応答 10%
中間試験 10%
期末における評価
定期試験 80%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
事例を正確に理解するため、時系列、関係図を板書することとする。