授業コード Class code |
B2149 |
年度 Year |
2016 |
学部・研究科 Faculty/Graduate school |
デザイン工学部 |
添付ファイル名 Attached documents |
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カテゴリー | 建築学科 専門科目 学科基礎科目 |
カテゴリー | |
カテゴリー | |
選択・必修 | 必修 |
開講時期 Term |
春学期 |
入学年度 Admission year |
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曜日・時限 Day/Period |
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キャンパス Campus |
市ヶ谷 |
備考 Notes |
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グローバル・オープン科目 Global Open Program |
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公開科目 |
【授業の概要と目的(何を学ぶか) / Outline and objectives】
建築の構成の基礎,および,図面と模型による建築の表現について学ぶ。
【到達目標 / Goal】
建築は「デザインして建設される」ものである。建築デザインを学ぶことの最終的な目的は,建築を実現させるための技術の習得だけではなく,建築のあり方,建築と社会・環境・歴史との関わりなどを考察し,建築に関わる総合的な判断力・思考力を養うことにあると考えられる。そのための第一歩として,1年生春学期に開講される本授業では,建築を表現するための図面や模型の基本の習得を到達目標とする。
(以下,教科書の「はじめに」より)
建築は,物理的に3次元の〈形態〉をもつと同時に,その内部あるいは外部に何らかの〈空間〉を現象させる。空間という言葉は多様な意味をもつが,建築の空間は,建築形態が生み出す場所の総称だと考えることができる。たとえば,建築形態で囲まれた建築の内部には,生活・仕事などを行うための部屋や,設備の設置,物品の収納などのための空間が配置される。建築形態の外部には,入口へのアプローチや庭などの空間が配置される。その他,場所や部屋を「開放的な空間,美しい空間,詩的な空間」などという場合のように,空間は,心理的な事象であることもある。形態と空間は一体となって建築の特質を規定する概念に他ならない。
したがって,建築は必ず何らかの空間・形態をもつ。建築デザインの最終的な目的は,美しく調和した建築の空間・形態を実現することだといえるだろう。もちろん,過去の建築の歴史を眺めればわかるように,一見,美しくないと思えたものが認識の変化により美しいものに変わることもあるし,調和していなかったことが次の時代の調和であったりするから,美しさを固定的なものととらえることはできない。概念的に過ぎる美しさという言葉を,使いやすさ・住みやすさというやや身近な言葉に置き換えたとしても,やはり,建築の使いやすさ・住みやすさを固定的に考えることは困難である。建築のデザインは,このように一意には捉えられない問題に立ち向かわなければならない難しさをもっている。
【修得できる能力】
総合デザイン力 | ◎ |
文化性 | |
倫理観 | |
建築の公理 | |
芸術性 | ◎ |
教養力 | |
表現力 | ◎ |
【授業の進め方と方法 / Method(s)】
本授業では建築設計製図の基本を学びます。
授業は11つの課題より成ります。
課題1では,自室の実測から始まり,建築の部位や家具のスケールを知り,その図面化を行うことによって,空間を表現方法を学びます。
課題2は,図面表現の基本である線の表現について学ぶとともに,美しい図面を仕上げるための,図面構成(レイアウト)について学びます。また,製図に必要な道具の使い方も学びます。
課題3〜6では,建築の単純モデルを題材として,その空間を図面よって記述し表現することを学びます。最初に,壁,床,開口部からなる模型(モデル)を製作し,そのモデルの水平切断図としての平面図,垂直切断図としての断面図の表現の原理を学びます。同時に,課題1(自室の実測)に基づき,平面に階段,家具等を配置し,建築の平面構成,断面構成のあり方と表現について学びます。
演習7〜9では,実在のRC造(鉄筋コンクリート構造)の住宅を題材として,実際の建築の平面構成,断面構成,立面構成について学ぶとともに,その平面図,断面図による記述・表現の方法について学びます。ここでも,最初に模型を製作し,建築の立体構成を理解した後に,その図面表現について学んでいきます。
課題10〜11は,上記の学習の成果を踏まえて,建築を構想し,物理的に架構し,模型と図面により表現する演習に取り組みます。
毎回の課題は,正確であるだけではなく,美しい作品として製作されなければなりません。
冒頭の解説をよく理解するように努め,疑問点があれば質問してください。演習への回答時には,教員の他,TAも質問等に対応します。演習はまずはTAにチェックを受け,間違いがあれば修正をしてください。そして,指定された時間内に完成するようにしてください。作品の製作においてはスピードも重要です。繰り返し練習をすれば,より早いスピードで製作が進められるようになるはずです。
【授業計画 / Schedule】
回 / No. | テーマ / Theme | 内容 / Contents |
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1 | ガイダンス 建築を測る |
教科書・参考書,製図道具の説明 ○課題1:自室の実測(提示) |
2 | 点と線の表現 | ●課題2:点と線の表現(提示) ●課題1:自室の実測(講評) ○課題3:箱形建築の模型(課題説明/型紙準備の指示) |
3 | 模型の製作 | ●課題3:箱形建築の模型(製作) |
4 | 平面図・立面図 | ●課題4:箱形建築の平面図と立面図(製図) 立体の水平切断図としての平面図と投影図としての立面図について学ぶ。 階段を配置する(階段の立体構成について学ぶ)。 自室の実測に基づき家具を描く。 |
5 | 断面図 | ●課題5:箱形建築の断面図(製図) 立体の垂直切断図としての断面図について学ぶ。 切断面の向こうに見える正投象図としての姿図(階段,家具など)を描く。 |
6 | 立体図 | ●課題6:箱形建築の立体図(製図) アイソメトリック,アクソノメトリック,透視図について学ぶ。 ○課題7:住吉の長屋の模型(説明) |
7 | RC造住宅の模型 | ●課題7:住吉の長屋の模型(製作) |
8 | RC造住宅のしくみ | ○課題7:RC造住宅の模型(完成&講評) |
9 | RC造住宅の平面図 | ●課題8:住吉の長屋の平面図 |
10 | RC造住宅の断面図 | ●課題9:住吉の長屋の断面図 |
11 | 住宅のデザイン(1) | ○課題10:「ギャラリーのある家」(1) エスキスチェック |
12 | 住宅のデザイン(2) | ○課題10:「ギャラリーのある家」(2) 模型 |
13 | 住宅のデザイン(3) | ○課題10:「ギャラリーのある家」(3) 図面 |
14 | 住宅のデザイン(4) | ●課題10:「ギャラリーのある家」(4) 講評会 模型,図面(平面図,立面図,断面図,その他)を提出 発表及び講評 優秀作品の選出 |
15 | まとめ | ●課題11:「ギャラリーのある家」の模型写真 模型写真の提出 |
【授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等) / Work to be done outside of class (preparation, etc.)】
授業内で図面の理解に時間を要し,作業の時間な時間がとれない傾向が見受けられます。前もっての図面の理解(予習)と,次の課題に向けての自己チェック(復習)が必要です。
【テキスト(教科書) / Textbooks】
『建築のしくみ/住吉の長屋,サヴォワ邸,ファンズワース邸,白の家』安藤直見・柴田晃宏・比護結子著(丸善)
『住まいの空間 独立住居』日本建築学会編(彰国社)
【参考書 / References】
『建築設計演習基礎編』武者英二・永瀬克己著(彰国社)
『建築設計演習応用編』独立住居から集合住居の設計まで、武者英二・永瀬克己著(彰国社)。
【成績評価の方法と基準 / Grading criteria】
課題の完成度と授業への取り組みによって成績を評価します。
各課題をそれぞれに採点する。以下が採点のポイントです。
課題1(点と線の表現):線が正確に描かれ,図面が美しく構成されているかどうか。
課題2(自室の実測):見落としなく実測図が作成できているか。実測をもとに正確な平面図,室内立面図,天井見上図,家具図等が描けているか。
課題3と7(模型):正確で美しい模型が完成しているかどうか。端部の処理などの細部にも配慮されているかどうか。
課題4〜6と8〜9(平面図・断面図):建築の空間(立体構成)が正しく表現されているかどうか(切断面と切断面の向こうに見えるものが正しく表現されているかどうか)。図面が美しく仕上がっているかどうか。
課題10(設計課題):総合的評価。
課題11(模型写真):模型が正しく,美しく製作されているかどうか。建築が正しく表現されているかどうか。
【学生の意見等からの気づき / Changes following student comments】
学生のみなさんの課題制作のスピードにかなりの個人差があります。解説は冒頭に集約し,その後に演習に取り組んでもらいます。遅刻をすると冒頭の解説の理解が遅れることになるので,遅刻をしないようにしてください。また,演習時間には積極的に質問をしてください。学生のみなさん同士が教え合うことも重要です。
【学生が準備すべき機器他 / Equipment student needs to prepare】
液晶プロジェクター:授業内容の解説にプレゼンテーション機器(液晶プロジェクターによる映像表現)を用います。
【その他の重要事項 / Others】
平行定規は各スタジオに用意されているが,その他の製図道具は各自が用意する。
製図および模型製作に必要な各種道具(各自が用意する):
勾配定規,三角定規,直定規,三角スケール,鉛筆(シャープペン),ペン,鉛筆削り,消しゴム,字消し版,カッター,カッターマット,鉄定規,接着剤など