文学部Faculty of Letters
LIT200BC(文学 / Literature 200)日本文芸研究特講(2)中古A日本文芸研究特講(2)中古A
栗山 元子Motoko KURIYAMA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | A2661 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 火5/Tue.5 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリーCategory | |
他学科公開科目 | |
クラスGroup | |
昼夜表記Day or Night |
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すべて閉じるHide All
Outline (in English)
In this class,we'll read "The Tale of Genji”focusing Kaoru who is the main character of Uzi Zyuzyo(宇治十帖)-the second half of the story.Kaoru has a secret birth and has a complex personality. Therefore Kaoru was misanthropic and timid in love. Kaoru wants to be a priest and continues to sway with religious spirit and love, resulting in loss of love one after another. Such a hero image is the exact opposite of Hikaru Genji or a typical hero image of the story so far. Why did the story need such a hero image? Also, how was such a hero image accepted in posterity? We need to consider such issues through the analysis of the story or knowing oh the reception of "The Tale of Genji".
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
『源氏物語』というと主人公である光源氏の物語というイメージが強いですが、光源氏の死後の次世代のことを描く続篇では、まったく異なるタイプの主人公・薫が登場します。薫は光源氏の子として育てられましたが、実は密通の結果生まれた子であり、そうした出生の秘密を負っているため厭世的で、恋にも後ろ向きという特異な設定となっています。そんな薫が没落皇族の八宮の三人の娘たちと出会い、次々にその恋を失っていくーというのが宇治十帖の顛末になりますが、中でもその最後の相手である浮舟との関係の中で、薫の人物像にも変容が見られ、物語についての理解を一層複雑なものにしています。
この授業では、この薫という人物に照準を当てながら続編の物語を宇治十帖を中心に読み進めていきます。具体的には薫と八宮の姫君たちとが関わる場面を取り上げ、その人物像についての考察を行います。この薫の造型がその後の平安時代の物語の主人公像に強い影響を与えたと指摘されていますが、それは当時の読者には薫が人気だったことを意味しています。現代では薫像への受け止め方は平安期とはかなり異なっているようですが、こうした薫像の享受のあり方についても触れていきます。続編の物語世界を味わい、その表現についての理解を深め、かつこの物語が後世に与えた影響についても考えていきます。*なお授業の形態については、初回以外は対面講義で行います。
到達目標Goal
①『源氏物語』の原文に触れてその内容を精読することで、古典作品についての知識を深め、また古典や古語ならではの表現の魅力や意義を自ら見出す。
②『源氏物語』が後世の物語に与えた影響について考えることで、文学史における『源氏物語』の位地やその達成についての理解を深める。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
・講義形式です。第一回目はオンラインになりますが、基本的に対面授業になる予定です。ただ今後の状況により変更する場合もあります。変更の場合は授業内掲示板等で通知します。
・理解度をはかるためにリアクションペーパーを毎時間作成し提出してもらいます。フィードバックとしては質問や意見などを次の授業で回答・紹介します。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:オリエンテーション
正編の物語の確認(オンライン)
授業方法や内容などについてのガイダンスを行います。また『源氏物語』正篇の物語の世界を概観し、人物関係やテーマの継承などについても見ていきます。
第2回:源氏物語』続篇の世界―主人公・薫についての概観
第一回に続き正篇の物語世界から続篇の物語への継承ということを考えつつ、第三部の主人公・薫の造型の特異性について見ていきます。
第3回:薫と大君①
薫と没落皇族である八の宮の娘・大君との出会いについて見ていきます。
第4回:薫と大君②
八宮亡き後、その娘である大君への恋愛感情をたかぶらせていく薫の様子を見ていきます。
第5回:薫と大君③
薫と大君とのすれ違いについて見ていきます。
第6回:薫と大君④
薫の思いと薫を拒否したまま死に向かう大君の複雑な心情を読み解いていきます。
第7回:薫と大君⑤
大君の死の場面を中心に読み、薫の悲しみについて考えます。
第8回:薫と中君・浮舟①
薫が大君の妹である中君に思いを寄せていく様相を確認していきます。また大君の身代わりとして登場してきた浮舟に対する薫の態度や反応を描いた場面を精読していきます。
第9回:薫と浮舟①
薫と浮舟とのずれ、そして匂宮が浮舟と関係を持つことで勃発した三角関係について考えていきます。
第10回:薫と浮舟②
苦悩し入水しようとまで追い詰められていく浮舟の心情と、浮舟に対する薫の反応を見ていきます。
第11回:薫と浮舟③
浮舟失踪後の薫と匂宮の反応や横川僧都一行に助け出された浮舟のその後を見ていきます。
第12回:薫と浮舟④
浮舟の生存を知った薫の反応について見ていきます。
第13回:薫像の享受について
後世の作品での薫評や薫型の主人公が登場する作品などについて紹介します。
第14回:全体のまとめと確認
授業全体を振り返ってのまとめ
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
事前学習として各授業前に、授業で取り上げる箇所に至る迄の展開などを確認しておいてください。またその際に各巻の概容や年立上の位置、登場人物の人間関係や年齢などの確認をしておき、授業内容の理解につなげていってください。また授業後は授業内容を確認し、物語への理解を深めてください。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
授業時に講師作成のプリントを配布します。
参考書References
中野幸一編『新装版 常用 源氏物語要覧』(武蔵野書院 2012)、秋山虔・小町谷照彦編『源氏物語図典』(小学館 1997初版)、林田孝和他編『源氏物語事典』(大和書房 2002)、秋山虔・三田村雅子『源氏物語を読み解く』(小学館 2003)など。またさまざまな新書版での入門書もあります。原文で読みたい人には、角川ソフィア文庫や岩波文庫などのものが入手しやすいと思います。なお風俗博物館(京都)のサイトは、平安時代の風俗や年中行事を知る上で非常にわかりやすく参考になります。http://www.iz2.or.jp/
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業時作成するコメントシートによる評価(70%)と期末レポートにおける評価(30%)とを合算して成績をつけます。なお評価方法については、前者は授業の到達目標①の達成度を、後者は到達目標の①と②をそれぞれ50%ずつの配分にしてその達成度を計り評価します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
授業時間内に一つのテーマがまとまるように時間配分に留意します。
分かりやすくめりはりのついた授業になるよう心がけます。