国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications
HIS500G1-210(史学 / History 500)多民族共生論ⅡAMultiethnic Coexistence II A
人物でたどる日本近現代史
髙栁 俊男Toshio TAKAYANAGI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | X2030 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 木2/Thu.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 市BT‐0702 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
This class aims to study about the trends of contemporary Japanese thought and social movements over Asia, by reading of a biographical work on Japanese individual closely related to Korea or Asia. In this year, we read the book on Masamu Yanase.
Final grade will be calculated according to the following process. In-class presentation 30%, in-class contribution 40%, and term-end report 30%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
「多民族共生論Ⅱ」は、春学期と秋学期で学ぶ内容を変えている。
春学期のⅡAでは、朝鮮やアジアと関係の深い日本人個人に関する伝記的著作を読んで、アジアをめぐる近現代日本の思想や社会運動の潮流を振り返っている(秋学期のⅡBは、在日朝鮮人をめぐる日本の多民族共生について考察)。
ⅡAではこれまで、鶴見俊輔・和田春樹・石田雄・富山妙子・岡部伊都子・日高六郎・松本昌次・上田正昭・茨木のり子などを扱ってきた。今年度は、数年前に他界した井出孫六への追悼も込めて、「無産者新聞」のポスターなどで知られる美術家 柳瀬正夢(1900~45年;本名は正六)を取り上げたい。
①柳瀬正夢という一個人の歩んだ道や、その中で身につけた思想・ものの見方を知る
②柳瀬正夢や彼と関わりのあった他の人物を通して、近現代日本の社会・思想・文化などの潮流をたどる
③とくに、アジアとの関わりの中で、どのような社会運動・思想潮流があったかに着目する
④特定の個人に関する伝記的著作の中から追究すべき課題を見出し、調査・探求する
⑤これまでの各人の研究や関心に応じて、受講者相互間に有益な討論を成立させる
到達目標Goal
上記「授業の概要と目的」にある各項目について、大学院修士課程の学生として求められるレベルに達することを目標とする。
具体的には、歴史の中を生きる個人の伝記的記述を読むことを通して、日本近現代史をアジアとの関わりの中で再検証するための契機をつかめるようにする。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
今回のテキストは、柳瀬正夢に関する評伝である。350頁近くあるので、1回につき約40頁のペースで読み進めていく。
レポーターの報告と全員の討論により、ゼミのような形で進める。レポーターは、登場する人物や事件などの事象のうち、大切と思われる点や関心のある点を中心に事実調べをし、授業で議論すべき論点を提出すること。とりわけ、後掲の図録も参照し、関連する図像に直接当たること。また、近年格段に検索が容易になった各種のデータベースを駆使し、当時の新聞・雑誌記事などにも目配りをしながら、時代を実証的に再現するよう努めることが大事である。
受講者数が少ない場合は、負担が極端に多くなることを避け、レポーター無しで進める回も設ける。
毎回、冒頭に前回の振り返りを入れることでフィードバックとする。また、関連する映像を観ながら既習事項を定着させる回も、数回設ける。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:導入(その1)
受講者各自の自己紹介、授業計画の解説、参考文献の紹介などのガイダンス
第2回[対面/face to face]:導入(その2)
年譜や各種新聞記事などを使いながら、柳瀬正夢や著者の井出孫六の伝記的な事項をあらかじめ整理する
第3回[対面/face to face]:テキスト 第1章・第2章
戦争末期の非業の死と、松山での生い立ち
第4回[対面/face to face]:テキスト 第3章・第4章
「大陸への玄関口」門司への転居、上京して田端モンマルトルへ
第5回[対面/face to face]:関連映像の上映①
関連映像の視聴
第6回[対面/face to face]:テキスト 第5章・第6章
院展への入選、画家としての順調なスタート
第7回[対面/face to face]:テキスト 第7章・第8章
米騒動、長谷川如是閑との出会い
第8回[対面/face to face]:テキスト 第9章・第10章
「種蒔く人」同人、MAVOの活動へ
第9回[対面/face to face]:関連映像の上映②
関連映像の視聴
第10回[対面/face to face]:テキスト 第11章・第12章
関東大震災と「無産者新聞」、槿の画家
第11回[対面/face to face]:テキスト 第13章・第14章
「ねじ釘の画家」の所以、投獄と妻の死
第12回[対面/face to face]:テキスト 第15章・第16章
満蒙視察と戦時体制下へ
第13回[対面/face to face]:関連映像の上映③
関連映像の視聴
第14回[対面/face to face]:全体のまとめ
柳瀬正夢のアジアとの関わりをふり返る
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業中に指示する関連文献の講読、関連映像視聴、関連箇所への訪問など。
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。
通常の授業内では難しいので、夏休みに希望者により、関連するフィールドワークを実施することがあるかもしれない。
テキスト(教科書)Textbooks
井出孫六『ねじ釘の如く:画家・柳瀬正夢の軌跡』(岩波書店、1996年)。すでに絶版だが、Amazonなどでは定価(本体価格 2,400円)の半額程度で入手可能。
参考書References
図書館に展覧会図録として、『柳瀬正夢:1900-1945』(2013年、451頁)を入れてある。そこに盛られた図像を常に参照すること。
そのほか、本書のなかで登場する他の作家・美術家たちの作品に、適宜あたってみること。
成績評価の方法と基準Grading criteria
レポーター時の報告30%、普段の授業への貢献度40%、学期末に提出する授業総括報告書30%を目安とし、総合的に判断する。本授業の到達目標の 60%以上を達成した者を合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
私の授業では教員を含む参加者全員が、最後に自分なりの授業総括報告書を作成し共有化しており、それを次年度の授業改善に活かすよう努めている。
近年、留学生の受講も増えてきたが、一般学生も留学生も、ともに意義を感じるような授業を目指したい。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
朝鮮近現代史、とくに在日朝鮮人(広義)の歴史や文化の研究
<研究テーマ>
在日朝鮮人の歴史や文化を、従来の「差別問題」という視角からでは抜け落ちてしまう諸側面も含めて、多面的に描き出し、新しい時代に合わせた等身大の在日像と、日本社会のあるべき姿を考察すること。そのために文献収集や聞き書きを行ない、これまで光が当てられなかったような個人の事例を数多く集めること。
<主要研究業績>
・「渡日初期の尹学準―密航・法政大学・帰国事業」(法政大学国際文化学部『異文化』第5号論文編、2004年)
・「短歌と在日朝鮮人―韓武夫を手がかりとして」(日本社会文学会『社会文学』第26号、2007年)
・「飯田・下伊那研修を意義あるものとするために―国際系学部の事前学習授業の実際から」(「学輪IIDA」機関誌『学輪』第2号、2016年)
*詳細は、「学術データベース」をご参照のこと。