国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications
PSY500G1－117（心理学 / Psychology 500）異文化社会論ⅡＢPerspectives on Diverse Cultures & SocietiesⅡ B
文化はどのように人の心を形成するのか
浅川 希洋志Kiyoshi ASAKAWA
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2024 |
| 授業コードClass code | X2020 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 水3/Wed.3 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 市BT‐0904 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
(1) Course Outline
This seminar will read theory-oriented books and articles in cultural psychology and try to understand relevant issues with a theoretical framework of cultural psychology. Main topics of this seminar will be on how cultural settings shape people’s emotion, cognition, motivation, and relationships. In addition, what adjustment and psychological well-being mean to people who reside in culturally different societies from their own as well as in multicultural societies will be argued throughout the course.
(2) Learning Objectives
By the end of the course, students are expected to understand (a) how cultural settings shape people’s emotion, cognition, motivation, and relationships, and (b) what adjustment and psychological well-being mean to people who reside in culturally different societies from their own as well as in multicultural societies.
(3) Learning Activities Outside of Classroom
Students will be expected to spend 4 hours to understand the course content (2 hours each for before/after class meeting). Besides, students will be expected to spend their daily lives having course topics in the back of their mind.
(4) Grading Criteria/Policy
Final grade will be decided based on following:
In-class contribution (50%), Class-presentation (50%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
異文化社会論ⅡAでは文化の違いから生じる教育システムの違いやそれによって培われる心のあり方に関する文献を読み、心の働きと文化の関連について考察していくが、本授業ではそのような「文化と心」にまつわる事象を文化心理学の枠組み、つまり文化心理学における理論として捉えなおすことを主たる目的とする。授業では、北山忍著『自己と感情：文化心理学による問いかけ』、リチャード・E・ニスベット著『木を見る西洋人森を見る東洋人：思考の違いはいかにして生まれるか』等をテキストとして用い、掘り下げた議論の必要なトピックスに関しては適宜、英語論文を含めた原著にあたっていく。また、授業全般を通して、異文化社会における適応とはどういうことなのかを考えていく。
到達目標Goal
心の働きと文化の関連性を文化心理学の枠組みの中で捉えることができる。特に、Markus & Kitayama が提唱した文化的自己観のモデルに注目し、人々の持つ文化的自己観が彼らの認知、感情、モチベーションなどとどのように関連しているのかが理解できること。また、授業で扱ったトピックスを通して、異文化社会における適応とはどういうことなのかが理解できる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
授業はゼミ形式（文献の輪読）で行う。受講者による報告、討論を中心に進めるため、受講者の関心、授業の展開などによって授業計画の一部変更もあり得る。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]：オリエンテーション
授業の概要を説明し、報告順を決定する。
2 [対面/face to face]：ニスベット『木を見る西洋人森を見る東洋人』第1章「古代ギリシャ人と中国人は世界をどう捉えたか」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
3 [対面/face to face]：ニスベット『木を見る西洋人森を見る東洋人』第2章「思考の違いが生まれた社会的背景」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
4 [対面/face to face]：ニスベット『木を見る西洋人森を見る東洋人』第3章「西洋的な自己と東洋的な自己」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
5 [対面/face to face]：ニスベット『木を見る西洋人森を見る東洋人』第4章「目に映る世界のかたち」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
6[対面/face to face]：ニスベット『木を見る西洋人森を見る東洋人』第5章「原因推測の研究から得られた証拠」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
7[対面/face to face]：ニスベット『木を見る西洋人森を見る東洋人』第6章「世界は名詞の集まりか、動詞の集まりか」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
8[対面/face to face]：ニスベット『木を見る西洋人森を見る東洋人』第7章「東洋人が論理を重視してこなかった理由」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
9[対面/face to face]：ニスベット『木を見る西洋人森を見る東洋人』第8章「思考の本質が世界共通でないとしたら」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
10[対面/face to face]：北山忍『自己と感情：文化心理学による問いかけ』第2章 「自己」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
11[対面/face to face]：北山忍『自己と感情：文化心理学による問いかけ』第3章 「感情」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
12[対面/face to face]：北山忍『自己と感情：文化心理学による問いかけ』第4章「欧米における自己高揚と日本における自己批判」を読む
学生報告にもとづき、クラス討論を行う。
13[対面/face to face]：ディスカッション
授業で扱った文化心理学的知見が、受講者の修士論文のテーマを発展させる上で、何らかの新しい視点を与え得るものだったかどうかを討論する。
14[対面/face to face]：授業の総括
授業のまとめを行なう。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
報告者は担当箇所のレジュメを作り、議論をリードできるよう準備をしておく。その他の受講生も授業日の文献を熟読し、討論に参加できるよう準備しておく。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。
テキスト（教科書）Textbooks
①北山忍著『自己と感情：文化心理学による問いかけ』（共立出版、1998年)
②リチャード・E・ニスベット著『木を見る西洋人森を見る東洋人：思考の違いはいかにして生まれるか』（ダイヤモンド社、2004年）
＊テキストはできる限りPDF化し、授業支援システムにアップする。
参考書References
必要に応じて指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
「評価基準」：（１）授業で扱う文献の予習に裏付けられた討論（討論への参加）と（２）報告担当日の十分な下調べに基づくレジュメ作成と発表（担当日の発表）により、下記の配分で評価する。
「配分（％）」：討論への参加（50％）＋ 担当日の発表（50％）
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
受講生が自身の研究を発展させる上で、本授業で扱う内容がどのような視点をそれに与え得るのかを考えさせながら授業を展開していくことで、本授業が受講生にとって、より身近なものになるのではないかと考えている。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞ ポジティブ心理学、文化心理学
＜研究テーマ＞（１）フロー経験と心理的ウェルビーイングの関連性について、（２）文化と心理機能の関連性について、（３）フロー経験と生理指標の関連性について。
＜主要研究業績＞
『フロー理論の展開』世界思想社（2003年）、「フロー経験の諸側面」島井哲志編『ポジティブ心理学：21世紀の心理学の可能性』ナカニシヤ出版（2006年）、“Flow experience, culture, and well-being: How do autotelic Japanese college students feel, behave, and think in their daily lives?” Journal of Happiness Studies（2010年）、『フロー理論にもとづく「学びひたる」授業の創造』学文社（2011年）、「楽しさと最適発達の現象学―フロー理論」鹿毛雅治編『モティベーションを学ぶ12の理論』金剛出版（2012年）、『クリエイティヴィティ』チクセントミハイ著 浅川希洋志監訳 世界思想社（2016年）、"Universal and cultural dimensions of optimal experiences." Japanese Psychological Research（2016年）、「持続的な幸福（マーティン・セリグマン）―ポジティブ心理学と感情」『臨床心理学』（第20巻第3号）金剛出版（2020年）、「心理学者ミハイ・チクセントミハイが残したもの」『心と社会』（第53巻第2号）日本精神衛生会（2022）。