公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance
POL500P1－127（政治学 / Politics 500）公共政策実践論3（人材育成と専門教育）Public Policy Studies 3
折田 朋美、宇佐美 淳、鳥山 亜由美Tomomi ORITA, Jun USAMI
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 公共政策研究科Graduate School of Public Policy and Social Governance |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2024 |
| 授業コードClass code | X9062 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 春学期後半/Spring(2nd half) |
| 曜日・時限Day/Period | 土 3/ Sat.3,土 4/ Sat.4 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 市院棟‐301 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory |
公共政策学専攻 （修士課程）公共マネジメントコース専門科目 |
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Outline (in English)
The world is facing compounded crises, due to the remaining influence of the COVID-19 pandemic, the intensification of natural disasters caused by climate change, the impact of the situation in Ukraine, among others. In Japan, the society is facing challenges owing to a declining birth rate, an aging population and a resulting shortage of human resources, the need to respond to rapid digitalization, as well as the prolonged economic slump.
These issues are closely and intricately related from the world and to Japan, even down to the present conditions of local governments and communities.
In this context, the importance of the public policy’s role has been reaffirmed, and the need for the development of new public policy is significantly increasing. The local, regional, national, and international communities need to work together in a multi-layered approach to solve complex social issues.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
世界をめぐる今日的状況は、新型コロナウイルス感染症、気候変動による自然災害の激甚化、ウクライナ情勢の影響など、複合的危機を迎えているといえる。日本においては、少子高齢化とそれに伴う人材不足、急速なデジタル化への対応、経済活力の低下などの課題に直面している。これらの課題は、世界から日本まで、それも国内の自治体や地域といった細かなコミュニティの現状に至るまで密接にかつ複雑に関係している。
かかる状況において、今公共政策の役割の重要性が再認識され、新たな公共政策展開の必要性が高まっている。地域、自治体、国、そして国際社会は、複雑な社会課題の解決に向けた複層的な取り組みを行っていくことが必要である。
本講義では、これら現代的諸課題が、地域・自治体・国・国際社会を通してつながっている構造にあること、また、各層における取り組みについて、特に課題解決の鍵ともなる人材育成や専門教育を軸とし、理解・考察することを目的とする。
具体的には、まず、地域コミュニティ及び自治体行政（地方政府）の観点から、宇佐美は、ローカル・ガバナンスが重視される時代の地域コミュニティにおける自治体職員、人材育成方針と地域コミュニティにおける活動との関係性や、若手・女性職員の早期離職等をテーマに、特に、自治体内の最前線の地域コミュニティを現場として活動する自治体職員に着目しつつ、自治体行政（地方政府）と地域コミュニティで活動する各種アクターとの関係性等に関する理解を目指す。
次に、自治体における人材育成に関し、宇佐美に続いて鳥山が、高等教育の視点から公立大学の実践に着目し解説する。その後、公立大学のほか、国立大学、私立大学も含め、国の高等教育全体に目を向け、それらの成り立ち、高等教育行政との関わり等について、設置者別に解説のうえ、答申等に示される、政府、行政が高等教育に求めるおける人材育成に関する理解を目指す。
そして折田は、国際社会・途上国にとっての公共政策、同時に日本政府にとっての公共政策としての政府開発援助（ODA）を取り上げる。SDGsの文脈にもからめながら、特に人材育成・教育セクターに着眼し、政策実施と取り組みの構造理解を目指す。可能な限り具体事例を挙げながら、宇佐美の考察に呼応し、ODAにおける自治体との最近の新しい連携や、鳥山の事例を受け、国際協力における教育協力など、多様な切り口でひもとくことを試みる。
なお、本講座では全講義を通して、学術論文の技法等について、各担当者より適宜指導説明を行う予定である。
到達目標Goal
まず、参加者が、現代社会における諸課題に対し、地域・自治体・国・国際社会における公共セクターの役割を概観し理解することを目標とする。本講義では、人材育成や専門教育を軸に、講義全体を通して、それぞれの研究対象の背景にある社会の動きについて、自ら主体的に考えを深め、既定概念や固定概念にとらわれず、新たな視点からの研究の展開をもたらすことを目指す。各講師による地域・自治体・国・国際社会という異なった層から考察する講義内容は、研究対象が多種多様となる各参加者に対し、幅広く有益なものになると考える。そこで、本講義は、修士課程の院生だけでなく、広く博士課程の院生や学部の学生の参加も可能としている。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP4」に関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
講義形式は対面方式を原則とするが、状況によりオンライン併用によるハイフレックス方式もあり得る。各参加者の知識の蓄積状況に応じ、グループディスカッションを行い、プレゼンテーション能力等の育成を図る。また、必要に応じて、各講師から論文作成の技法等についてアドバイスを行う。その他、講義内で適宜、各参加者の研究における関心事項について、講義で得た知見との関係等について発表してもらい、それに各講師が所見を述べることや、レポート作成に関して個別に協議を行うこと等で、各参加者へのフィードバックを行う。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：地域・自治体・ 国・国際社会をめぐる現代的諸課題（折田・宇佐美・鳥山）
イントロダクション（3講師から講義の全体構想と担当概要等を説明）
第2回[対面/face to face]：導入としてのガバナンスとコミュニティ（宇佐美）
①ガバナンスとは
②コミュニティとは
③ガバメントに求められる役割―行政サービスから公共サービスへ
第3回[対面/face to face]：メタ・ガバナンスとしての役割を担うのは誰？―NPO編（宇佐美）
①メタ・ガバナンスとは
②NPOをめぐる現状
③ローカル・ガバナンスにおけるNPO―山梨県の事例
第4回[対面/face to face]：メタ・ガバナンスとしての役割を担うのは誰？―自治体職員編（宇佐美）
①最前線の地域コミ ュニティを現場とする自治体行政職員の役割―「地域担当職員制度」
②最新研究の報告
③教育分野における地域学校協働活動推進員
第5回[対面/face to face]：自治体行政における人材育成方針と若手・女性職員をめぐる労務環境（宇佐美）
①自治体行政における人材育成方針の現状と課題
②若手・女性職員の早期退職をめぐる問題―全国調査結果を踏まえて
③行政事務職と専門職（保健師や教育職）との違い
第6回[対面/face to face]：公立大学が地域に果たす役割（鳥山）
①公立大学の設置目的
②自治体と公立大学の関係
③地域の人材育成における公立大学の役割
第7回[対面/face to face]：地域における大学設置政策（鳥山）
①国が大学に期待した役割
②大学設置政策の変遷
③公私協力大学、公設民営大学の誕生
第8回[対面/face to face]：大学を通じた地域活性化（鳥山）
①補助事業と地域活性化
②地域系学部の設置
③他大学や産業界との連携
第9回[対面/face to face]：国における大学政策（鳥山）
①大学設置基準の改定の経緯（大綱化以降）
②骨太の方針に見る大学の言及
③法改正（国立、私立）
第10回[対面/face to face]：国際公共政策としてのODA概説（折田）
①3重の公共政策としてのODA ：国際規範と日本の行政
②なぜ国際協力は必要なのか
③社会課題への対応：SDGsとODA、人造りと国造り
第11回[対面/face to face]：国際協力の構造理解：具体事例とともに（折田）
①ステークホルダー構造の理解、パートナーとの連携：民間、市民社会 他
②地域別戦略、セクター別戦略
③能力開発の手法
第12回[対面/face to face]：テーマ別理解：国際教育協力（折田）
①国際教育協力の概要
②研修・留学生事業 他
第13回[対面/face to face]：社会課題解決へのグローカルな地平（折田）
①内外一元化：日本の地域コミュニティと国際の関係
②新しい潮流：環流人材、DX
③開発教育／国際理解教育
第14回[対面/face to face]：地域・自治体・ 国・国際社会における人材育成・専門教育（折田・宇佐美・鳥山）
まとめ（講義全体の振り返り、各参加者の問題意識の変化、課題提出方法の説明等）
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
参考書を事前に読むほか、講義資料に関連する案件につき、調査・検索し、まとめる。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト（教科書）Textbooks
適宜講師が資料配付を行う。
参考書References
・折田朋美『日本の政府開発援助（ODA）の目的と国益―ODA大綱を軸とした政策と実施の変遷から―』博士学位論文、2022年。
・宇佐美淳「地域コミュニティの活性化」武藤博己監修、南島和久・堀内匠編著『自治体政策学』法律文化社、2024年。
・鳥山亜由美『「公立大学化」の政策過程：公私協力大学を事例に』博士学位論文、2023年。
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業での学習状況や参加度である「平常点」70%、期末試験(レポート)30%。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
本講義は、参加学生との双方向で行われることから、学生から寄せられる気付きや所感等から、逐次講義のブラッシュアップを行う。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特になし。
その他の重要事項Others
授業終了後に教室で質問を受け付ける。なお、本授業を担当する講師の折田は高校・大学院で米国に学び、フィリピン・スリランカにおける駐在他、政府開発援助の実施機関(JICA)の職員として幅広い経験を有するとともに、宇佐美は市役所や地域シンクタンクにて勤務の経験を有し、自治体行政職員とシンクタンク研究員として、鳥山は大学団体職員として高等教育政策の変遷に身近に触れてきたほか、新設公立大学職員として、各々の経験を踏まえた実務的観点からの内容を交えて講義を行う。
折田 朋美
＜専門領域＞行政学、公共政策、国際協力・政府開発援助（ODA）
＜研究テーマ＞ODA政策と実施、ガバナンス、国際協力・多文化共生
＜主要業績（企画・全体編集・部分執筆）＞
①国際協力機構(JICA) 地球ひろば・国際開発センター(IDCJ)、「文部科学省国立教育政策研究所・JICA 地球ひろば共同プロジェクト グローバル化時代の国際教育のあり方国際比較調査(第一文冊、第二分冊)」、東京、2014
②国際協力機構、「日本・途上国相互依存度調査（要約、本編、資料編）」、東京、2009
③国際協力機構、フィリピン共和国地方分権・地方開発／地方自治体行政能力向上プロジェクト形成調査、東京、2005
宇佐美 淳
＜専門領域＞行政学、公共政策学
＜研究テーマ＞地方自治論、ガバナンス論
＜主要研究業績＞
①『コミュニティ・ガバナンスにおける自治体職員の役割 ―“地域密着型公務員”としての「地域担当職員制度」―』公人の友社、2023年。
②「地域コミュニティの活性化」武藤博己監修、南島和久・堀内匠編著『自治体政策学』法律文化社、2024年、pp.198-208。
③「研究報告 コミュニティ・ガバナンスにおける地域活動拠点としての公民館と自治体職員―地域担当職員としての社会教育職員の役割を踏まえて―」『都市政策研究』第25号、2024年2月、公益財団法人福岡アジア都市研究所、pp.23-32。
鳥山 亜由美
＜専門領域＞公共政策学（特に高等教育政策、自治体政策）
＜研究テーマ＞地域における大学の役割
＜主要研究業績＞
①「地域で、地域と、人材を育てる公立大学―直近の設置事例を参照して」斉藤俊幸編著『地域活性化未来戦略』ぎょうせい、2024年。
②『「公立大学化」の政策過程―公私協力大学を事例―』博士学位論文、2023年。
③「私立大学の公立大学化に関する意思決定要因についての一考察 : 一般市を事例として」『自治体学』36巻1号、自治体学会、2022年12月、pp.55-60。